行動経済学おすすめテキスト教科書(初学/学部/大学院) – わかりやすい入門から応用本まで

行動経済学について

人々が経済活動を行う上で、理性的に行動するとは限らないことを踏まえ、心理学や行動科学の知見を取り入れ、経済学の分野において新たな考え方を提示してくれるのが行動経済学となります。

少し前までは行動経済学の単体のテキストも少なく、ミクロ経済学の教科書の一部分として取り入れる形で紹介されてきましたが、今ではテキストも豊富になってきました。ここでは行動経済学の教科書を紹介しますので是非手にとってみましょう。

 

1 行動経済学(日本評論社)
2 行動経済学入門
3 行動経済学 — 伝統的経済学との統合による新しい経済学を目指して
4 MBA実況中継 04 行動経済学
5 ビジネス教養 行動経済学
6 ファスト&スロー(上、下) あなたの意思はどのように決まるか?
7 NUDGE 実践 行動経済学
8 予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

 

 

 

 

 

行動経済学(日本評論社)

室岡 健志
出版社:日本評論社、出典:出版社HP

 

行動経済学の理論が、現実世界にどのように応用されるかを例えば、消費者の行動を変えるための施策や、企業の意思決定に行動経済学の観点を取り入れる方法などにも言及があり、理論と実証のバランスが良いです。日本語書籍での行動経済学でスタンダードになりそうです。

 

行動経済学入門

筒井 義郎、佐々木 俊一郎、山根 承子 、グレッグ マルデワ
出版社:東洋経済新報社、出典:出版社HP

 

網羅的なトピックを簡易的な言葉で表されている初級向けのテキストになります。

本書では、まず第1章で行動経済学が生まれた背景を紹介します。行動経済学が何を目指しているのかと、その問題意識が理解できることでしょう。続く第2章では、私たちの意思決定のクセについて知ることができます。第3~5章では、時間選好、危険回避、社会的選好という行動経済学の基幹部分を学修します。第6章は、私たちにとって最も身近な「お金」にまつわる意思決定の話題です。第7章以降は応用的なトピックスです。第7章はファイナンスに関する話、第8章は幸福度に関する話を紹介し、第9章では、実際に現実世界で使われている行動経済学に触れます。これらを網羅した教科書は珍しいと思います。
この教科書はできるだけ平易な文章で書かれており、平均的な大学生が、特に予備知識がなくても独学できるようになっています。統計手法や数理モデルを使用する部分はウェブ上の〈より進んだ内容〉に回すことによって、本文は易しく記述するよう心がけています。行動経済学を体系的に学びたいと思っているビジネスマンの方や、経済学に初めて触れるような方にもおすすめです。

行動経済学 — 伝統的経済学との統合による新しい経済学を目指して

大垣 昌夫 、田中 沙織
出版社:有斐閣、出典:出版社HP

 

包括的な既に改正もされて長年読まれている行動経済学のテキストとなります。神経経済学、実験経済学の要素も含まれております。

 

【はじめにも確認する】
新版では,初版の第11章で規範行動経済学の理論とナッジを含む応用政策をまとめていたものを,第12章の理論と,第13章の応用・政策とに分けている。また,初版の第8章での社会的選好の神経経済学以外の研究の解説が2000年ごろまでの不平等回避モデルで終わっていたのに対し,それ以降の社会的選好の研究の発展を中心に解説する章を追加し,新たに第9章とした。第9章には,利己的な経済人(ホモ・エコノミカス)なら選択しない利他的な行動について,社会的選好だけでは説明できない実験結果を多く含んでおり,第10章での規範や倫理観・価値観などの世界観による説明への橋渡しとしての役割がある。そこで,第9章では応報性の規範や倫理観で説明することが多い贈与交換の実験結果も解説した。その他の初版からの大きな改訂は,第4章でプロスペクト理論と累積プロスペクト理論の違いについて解説し,これに伴い「確率ウェイト関数」の用語を累積プロスペクト理論に限定して用いたことである。

神経経済学の分野でもここ数年で大きな動きがあった。神経経済学のアプローチから,意思決定の機能障害として,疾患や問題行動のメカニズムを調べる” Computational Psychiatry”という新たな研究分野が注目されてきている。この新しいアプローチをより深く学びたい読者らに情報を与えることを目的とし,第2章ではその概要とレビュー論文を紹介し,第6章では筆者(田中)らが行った疾患患者を対象とした具体的な研究結果を紹介した。

本書はミクロ経済学の基礎と最小二乗法などの計量経済学の基礎をすでに学
んだ経済学部3,4年生の講義やゼミに用いられることを想定している。また大学院生や研究者の読者にとって行動経済学の入門書としての役割を果たせると期待している。ひとつの講義で全章を順番にカバーする必要はなく,例えば慶應義塾大学では学部3,4年生を対象に第1章第1~2.2節,第3章(不確実性下の経済行動),第4章(プロスペクト理論),第5章(限定合理性),第6章(時間を通じた行動)の内容を中心とした講義と,第1章第1~2.1節,2.3~2.4節,第8章(社会的選好),第9章(文化とアイデンティティ)の内容を中心としたもうひとつ別の講義を1学期に同時に提供し,両方の講義を取った方が内容の理解が深まるが,片方だけの講義を取ることも可としている。

ゼミや卒業論文のための研究では,本書の内容をもとに,学生が個人やグループでアンケート調査や社会学などで広く行われている質的研究法としてインタビュー調査などを用いての研究が可能である。伝統的経済学の研究では一国などの大きなグループでの無作為抽出による調査には意味があるが,身近な学生のみを対象とするアンケート調査などの研究にはほとんど意味がないと考えられる場合が多かった。しかし実験研究では例えば第8章と第9章で紹介する「懲罰ルール付き公共財ゲーム」実験で,チューリッヒ大学の学生を対象にした実験で重要な結果が得られたことから15カ国での実験が行われ,もともとのチューリッヒ大学の実験結果のうち,さまざまな文化で普遍的な結果と文化によって異なる結果が明らかになった。アンケート調査でも、同様に,まず身近なグループを対象にして重要な結果が得られるかどうかを調べることには大きな意味がある。非常に重要な研究結果が得られれば,よりコストの高い日本全体での無作為抽出のアンケート調査などで同様な質問が使われることもありえよう。

 

 

 

 

 

MBA実況中継 04 行動経済学

 

ビジネス教養 行動経済学

ファスト&スロー(上、下) あなたの意思はどのように決まるか?

 

 

NUDGE 実践 行動経済学

 

予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」