【横浜国立大学経済学部】2022年度(2021年実施)編入試験 – 解答、経済学Ⅱ問題3

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問題3

 

(a)民間消費関数に租税関数を代入して,
\begin{align}
\begin{aligned}
C=c_0+c_1(Y_t0-t_1Y)\quad\quad(20)
\end{aligned}
\end{align}

となる.Y=0のとき,$C=c_0-c_1t_0$となる.よって,$c_0-c_1t_0$は所得が0のときの民間消費です.
(b)財市場の均衡条件より,
\begin{align}
\begin{aligned}
Y &= C + I + G\\
Y &= c_0+c_1(Y_t0-t_1Y) + I + G\\
(1-c_1+c_1t_1)Y &= c_0 -c_1t_0 + I + G\\
Y &= \frac{c_0-c_1t_0+I+G}{1-c_1(1-t_1)}\quad\quad(21)
\end{aligned}
\end{align}
よって,
\begin{align}
\begin{aligned}
\frac{dY^*}{dt_1}= -c_1\frac{c_0-c_1t_0+I+G}{\{1-c_1(1-t_1)\}^2}\quad\quad(22)
\end{aligned}
\end{align}

(c)$Y^* = \frac{c_0-c_1t_0+I+G}{1-c_1(1-t_1)}$より,
\begin{align}
\frac{dY^*}{dt_0}=\frac{-c_1}{1-c_1(1-t_1)}\quad\quad(23)
\end{align}

(d)税額$t_0$に関して引き下げをされていることから,$\frac{dY^*}{dt_0}<0$となる.ここで,
\begin{align}
\begin{aligned}
\frac{dt_0}{dt_1}&=-\frac{\frac{dY^*}{dt_1}}{\frac{dY^*}{dt_0}}\\
&= \frac{-c_1\frac{c_0-c_1t_0+I+G}{\{1-c_1(1-t_1)\}^2}}{\frac{-c_1}{1-c_1(1-t_1)}}\\
&= -\frac{c_0-c_1t_0+I+G}{1-c_1(1-t_1)}\quad\quad(24)
\end{aligned}
\end{align}
となります.

符号を確認する.分母について,$0<c_1<1,0<t_1<1$より分母の符号は正.分子について,$c_0-c_1t_0>0$より正.よって,全体としての符号は負です.

 

(e)財市場の均衡より,$Y=C+I+G$であるが,(d)の政策は,均衡所得$Y^*$を一定に保つ政策であり,$dG=0$であることから,均衡民間消費$C^*$も変化しません.

(f)$T=t_0+t_1Y$であるが,同じく均衡所得$Y^*$を一定に保つ政策なので,均衡税収$T^*$も変化しません.

(g)貯蓄Sは可処分所得(Y-T)から民間消費(C)を差し引いた形で定義される.(d)の政策では,可処分所得も民間消費も変化しないので均衡民間貯蓄$S^*$も同じく変化しません.