【中央大学経済学部】2021年度(2020年実施)編入試験 – 解答(小論文経済, A(1))

(A)

(1)IS曲線の導出を図などを用いて説明です.

以下のような閉鎖経済モデルを考えます.
\{Y:所得,C(Y):消費,I(r):民間投資,G:政府支出,r:実質利子率,M:実質マネーサプライ,P:物価水準,L(r,Y):実質貨幣需要関数\}
この時,消費は所得に関して増加関数であり,民間投資は実質利子率に対して減少関数です.なぜなら,実質利子率は機会費用を表すため,実質利子率が減少すれば資金調達コストが減少し企業はより少ない資金量で投資を行うことが可能に安るためです.ここで,消費と民間投資を以下のように特定化します.

$C(Y)=aY, I(r)=b-cr, 1>a,b,c>0$

この時,IS曲線は,財市場が均衡するような実質利子率と所得の組み合わせを示す曲線なので,財市場の均衡条件よりIS曲線は,

\begin{align*}
Y &= C(Y)+I(r)+G\\
Y &= aY+b-cr+G \\
cr &= (a-1)Y+b+G\Leftrightarrow r=\frac{(a-1)Y+b+G}{c}
\end{align*}

を得ます.この時,$\frac{dr}{dY}=a-1<0$より,IS曲線は以下のように図示することができます.