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具体例を3つ挙げます.
1つ目は,税制の緩和や減税政策です.
新自由主義的政策の一つである減税政策によって,富裕層の所得や資産が増加する一方で,貧困層や中間層の所得が上昇せず,格差が拡大する傾向があります.また,所得の上位層は減税によって余剰資金を得て,投資などに回すことができるため,富の集中が進みます.
2つ目は,労働市場の自由化です.
新自由主義的政策の一つである労働市場の自由化によって,雇用者は労働者の雇用・解雇を自由に行えるため,安定的な雇用を持たない労働者が増加し,非正規労働者の貧困化が進むとともに,労働者間の格差が拡大する傾向があります.
3つ目は,公共サービスの民営化です.
新自由主義的政策の一つである公共サービスの民営化によって,公共サービスが市場原理によって運営されることが増え,富裕層が高品質のサービスを享受できる一方,貧困層や中間層の利用する公共サービスの質や提供レベルが低下することで,格差が拡大する傾向があります.
これらの要因が経済格差を拡大させる理由は,富裕層による資本集積が進み,貧困層や中間層の所得が上昇しないため,社会の格差が広がることにあります.また,資本の流動化が進み,企業が海外へ投資することで,経済のグローバル化が進展する中で,国内の労働市場における賃金水準が低下することも,経済格差を拡大させる要因の一つです.