【横浜国立大学経済学部】2019年度(2018年実施)編入試験 – 解答、経済学Ⅱ問題1

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問題1

 



1. 効用関数にyが含まれていないことに注意して,消費者は次の効用最大化問題を解きます.
\begin{equation*}
\text{max}_{x,z}\quad \frac{1}{3}\log x + \log z\quad\text{s.t.}\quad x+3z = 20
\end{equation*}
予算制約式より,$x = 20-3z$を得るので,$u_1$に代入することで,効用最大化問題は次のように書き換えることができます.
\begin{equation*}
\text{max}_{z}\quad \frac{1}{3}\log(20-3z)+ \log z
\end{equation*}
最大化の一階条件より,
\begin{align*}
\frac{\partial \frac{1}{3}\log(20-3z)+ \log z}{\partial z} = \frac{1}{3}\frac{-3}{20-3z} +\frac{1}{z} = 0\\
\Leftrightarrow z = 20-3z \Leftrightarrow z = 5
\end{align*}
を得ます.これを,$x = 20-3z$に代入すると,$x = 5$となるので最適消費量は,$(x^*,y^*,z^*)=(5,0,5)$となります.


2. レオンチェフ型効用関数では,効用最大化の条件として,

$z = x+y$が成り立つ必要があります.

また,効用関数をよく見てみると消費者にとって$x$と$y$の価値が同じであることがわかります.

今,$p_x=1$かつ$p_y=2$が仮定されているので,消費者はわざわざ$y$を買う必要はありません.

よって,$y=0$とわかります.これらの得られた条件を予算制約式に代入すると,
\begin{equation*}
x + 3x = 20 \Leftrightarrow x = 5,z = 5
\end{equation*}
となります.よって,$(x^*,y^*,z^*)=(5,0,5)$.

 


3. $u_1$と$u_2$は同じ選好を表現しているとは言えません.
いま,消費集合をXとします.

この時,効用関数$u$が選好$\succsim$を表現するとは,

任意の財ベクトル$x,y\in X$について,
\begin{equation*}
u(x) \ge u(y)\Leftrightarrow x\succsim y
\end{equation*}
を満たすときをいいます.例えば,財ベクトル$x,y$をそれぞれ,

$x=(x,y,z)=(0,1,0),y=(2,0,0)$とします.

このとき,それぞれの財ベクトルに対する$u_1$と$u_2$の効用は,
\begin{align*}
u_1(x) &= 0\\
u_1(y) &= \frac{\log 2}{3}\\
u_2(x) &= 0\\
u_2(y) &= 0\\
\end{align*}
となります.$u_1$については,$y \succ x$ですが,

$u_2$については$x \sim y$で無差別です.

よって,この2つの効用関数は

同じ選好を表現しているとは言えないことがわかりました.