【横浜国立大学経済学部】2019年度(2018年実施)編入試験 – 解答、経済学Ⅱ問題2

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問題2



1. 戦略の組の集合を$S=S_A\times S_B$とし,

プレイヤー$i$が戦略空間から選択する戦略を$s_i\in S_i$とします.

このとき,ある戦略の組$s^*\in S$が,全ての$i = A,B$と全ての$s_i \in S_i$について,
\begin{equation*}
u_i(s_i^*,s_{j}^*) \ge u_i(s_i,s_{j}^*) \quad i\ne j
\end{equation*}
を満たすとき,$s^*$をナッシュ均衡といいます.



2. $\left(\frac{a}{2},\frac{a}{2}\right)$はナッシュ均衡ではありません.

プレイヤーAにとって,$\left(\frac{a}{2},\frac{a}{2}\right)$によって得られる利得は,

\begin{equation*}
u_A\left(\frac{a}{2},\frac{a}{2}\right) = \frac{1}{2}a-\frac{1}{2}\frac{a}{2} = \frac{a}{4}
\end{equation*}
になります.このとき,プレイヤーAは$s_A = \{s_A\in S_A | a \ge s_A > \frac{1}{2}\}$

を選ぶことで利得を上げることができます.

このことは,例えば,$s_A=a$とするとこの時の利得は
\begin{equation*}
u_A\left(a,\frac{a}{2}\right) = a-\frac{a}{2} = \frac{a}{2} > \frac{a}{4}
\end{equation*}
となることから確認できます.これは,プレイヤーBにとっても同様です.

 

 



3. $(a,a)$はナッシュ均衡です.
この戦略の組み合わせのとき,

各プレイヤーは戦略を変更することで利得を改善することができません.

例えば,プレイヤーAが戦略を変えようとしているとします.

つまり,$s_A = \{s_A\in S_A| a > s_A \ge 0\}$として新しい戦略を選んだとすると,

$s_A < s_B$より利得が$0$になってしまいます.

これはプレイヤーBについても同様なので,

各プレイヤーは戦略を変更するインセンティブを持ちません.

よって,戦略の組$(a,a)$はナッシュ均衡です.

 

 



4. 支配戦略均衡は存在します.

(弱支配戦略なのか強支配戦略なのかについて,問題に言及がないため強支配戦略を考えていると仮定します)

$s_i^*$がプレイヤー$i$の強支配戦略であるとは,

ある戦略$s_i^*\in S_i$が存在して,

全ての$s_i’\in S_i \setminus \{s_i^*\}$と全ての$s_{-i}\in S_{-i}$

について, \begin{equation*} u_i(s_i^*,s_{-i}) > u_i(s_i’,s_{-i})
\end{equation*}
を満たすときをいいます.これはつまり,他人が何をしようが,

プレイヤー$i$にとっては$s_i^*$を取るのが常に最適であるような状況を指します.
この問題では,プレイヤーAは常に$s_A=a$とするのが最適です.

これはプレイヤーBにとっても同様なので,支配戦略均衡は$(a,a)$です.
この問題は,第二価格封印オークションに関する問題です.