【解答】アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学 – 5章、練習問題

1.

無差別曲線(Indifference Curve)は、消費者の選好(preference)を図示するためのツールとして、経済学においてよく用いられます。無差別曲線上の任意の2点は、消費者にとって同じ満足度(ユーティリティ)を持つと考えられるため、消費者はこれらの2点の間での商品の組み合わせを変えても、全体としての満足度は変わらないとされます。

次に、2本の無差別曲線が交差するかどうかの問題について考えてみましょう。

基本的には、無差別曲線は交差することはありません。その理由は、無差別曲線が交差すると消費者の選好が一貫性を持たなくなるためです。具体的には、無差別曲線が交差すると、同じ満足度を持つはずの2つの点が、異なる無差別曲線上に存在することになり、これは論理的に矛盾してしまいます。

 

 

2.

1つの財の価格が上昇すると、買い手の消費の選択に2つの主要な効果が生じます。それが「所得効果」と「代替効果」です。以下にそれぞれの効果を詳しく説明します。

1. 所得効果 (Income Effect):
– 当該財の価格上昇によって、実質的な所得(購買力)が減少します。具体的には、財の価格上昇前と同じ量の財を購入するのに、より多くのお金が必要になります。この結果、他の商品やサービスを購入する能力が低下します。
– この所得の減少により、通常は当該の財の需要が減少することが期待されます。たとえば、ガソリンの価格が上昇すると、人々の実質所得が低下し、それによってガソリンの購入量や車の利用頻度が減少する可能性があります。

 

2. 代替効果 (Substitution Effect):
– 財の価格が上昇すると、他の代替品に対するその財の相対価格が高くなります。この結果、消費者は高くなった財よりも、比較的安価な代替品を購入する傾向が強まるでしょう。
– 代替効果のみを考慮すると、価格が上昇した財の消費量は減少します。前述のガソリンの例を考えると、ガソリンの価格が上昇すると、消費者はより燃費の良い車や公共交通機関を利用するように変わるかもしれません。

 

結論として、1つの財の価格が上昇すると、所得効果と代替効果の両方が働き、通常、その財の需要は減少します。ただし、所得効果や代替効果の強さは商品や状況によって異なり、特定のケースでどちらの効果が優勢であるかは一概には言えません。

 

 

 

 

3.

a. 無差別曲線はなぜ右下がりの曲線になるのか?
無差別曲線は、消費者が同じ満足度を得られる商品の組み合わせを示すものです。右下がりの曲線となる理由は、一方の財の消費量を増やす場合、同じ満足度を維持するためには他方の財の消費量を減らす必要があるからです。例えば、横軸にアイスクリーム、縦軸にチョコレートを置くと、アイスクリームの消費を1つ増やすためには、何個かのチョコレートの消費を減らさなければ同じ満足度になりません。

b. 無差別曲線の傾きは、経済学的にどのように解釈されるか?
無差別曲線の傾きは、限界代替率として知られています。これは、一方の財を1単位増やすために消費者が放棄する準備がある他方の財の量を示すものです。経済学的には、消費者の商品間の選好の強さや代替のしやすさを示す指標として解釈されます。

c. 財の消費を増やして財の消費を減らすと、無差別曲線の傾きは緩やかになる。どうして無差別曲線が緩やかになるのか?
この現象は次の2つの原理に基づいています:

・限界効用の逓減の法則: 財の消費量が増えると、追加の1単位の財から得られる追加の満足度(限界効用)は減少します。このため、ある財をさらに多く消費すると、その財の限界効用は低下します。

・限界代替率の変動: 財の消費を増やすと、その財の限界効用が減少し、代替の財の限界効用が相対的に増加する。このため、さらにその財を消費する意欲が低くなり、放棄する準備がある代替の財の量も減少します。これは、無差別曲線が緩やかになる主な理由です。

簡単に言うと、ある財を多く消費するほど、その財に対する選好が弱くなり、少なく消費する財との間での交換意欲が低くなるため、無差別曲線の傾きは緩やかになります。