アジア経済の概要
多岐に渡るアジア経済ですがここではアジア経済を掴める書籍について紹介します。
- 多様性: アジア経済は非常に多様です。先進国(例:日本、韓国、シンガポール)から新興経済国(例:中国、インド)、そして発展途上国(例:カンボジア、ミャンマー)まで、幅広い国々が含まれます。
- 経済成長: アジアは世界で最も急速に成長している地域の一つです。特に、中国とインドは過去数十年にわたり顕著な経済成長を遂げています。
- 国際貿易: アジア国々はグローバルな供給チェーンの重要な一部を形成しており、特に製造業や農業分野で大きな役割を果たしています。ASEAN(東南アジア諸国連合)やRCEP(地域的な包括的経済連携)のような多国間貿易協定も経済成長を促進しています。
- 技術革新: アジアは、特に電子機器、情報技術、自動車産業において技術革新の中心地となっています。韓国や日本は高度な技術を持つ国として知られ、中国とインドはIT産業とソフトウェア開発で急成長しています。
- 社会経済的課題: 一方で、急速な都市化、環境問題、所得格差の拡大など、多くの社会経済的課題に直面しています。また、コロナウイルスのパンデミックはアジア経済にも大きな影響を与えました。
【new】アジア経済関連での新しい書籍についてもこちらで紹介します。
アジア経済本おすすめランキング
書籍概要
アジア経済はどこに向かうか
末廣昭と伊藤亜聖による『アジア経済はどこに向かうか』では、現代のアジア経済の状況と今後の展望について詳細に分析されています。この本は、新型コロナウイルスの影響と米中対立がアジア経済に与える影響を中心に検討しています。
末廣昭の部分では、以下のトピックスに焦点を当てています:
1. 新型コロナウイルスの現状とそのアジア各国への影響
2. 中国のワクチン外交と「一帯一路イニシアティブ」
3. アジア通貨危機とコロナ禍
4. 「アジア経済4.0」としてのコロナ禍後の世界を展望
一方、伊藤亜聖の部分では、中国経済の変化と今後の挑戦について掘り下げています。主な内容は以下の通りです:
1. 高度成長を遂げた背景
2. 中国が世界経済に及ぼす影響
3. デジタル化、米中対立、新型コロナといった要素を含む中国経済の現状と未来
この書籍は、アジア経済の現在と将来に関する深い理解を得るのに役立つ資料です。特に、新型コロナウイルスのパンデミックや国際関係の変化がアジア経済に及ぼす影響についての洞察を提供しています。
現代アジア経済論 — 「アジアの世紀」を学ぶ
「現代アジア経済論 – 「アジアの世紀」を学ぶ」は、遠藤環(埼玉大学准教授)、伊藤亜聖(東京大学准教授)、大泉啓一郎(日本総合研究所主任研究員)、後藤健太(関西大学教授)によって編纂された本です。この本は、アジア経済の21世紀における役割と、そのダイナミズムを多角的に分析しています。
内容としては、東アジア・東南アジア経済の成長と、その経済統合、中国経済、グローバル・バリューチェーン、資本移動、労働移動、イノベーション、都市化、少子高齢化、格差、環境問題、援助などの観点からアジア経済を詳細に解説しています。
本書は、序章「アジアの世紀」のアジア経済論をはじめ、アジア経済の新局面、越境するアジア、躍動するアジア、岐路に立つアジアといった主題で構成されており、各章ではアジアの様々な経済面を掘り下げています。
この本は、アジア経済に関心のある学生や研究者、一般読者にとっても有用なリソースとなるでしょう。アジア経済の現状と未来について深く理解するための貴重な情報源です。
アジア経済とは何か-躍進のダイナミズムと日本の活路
『アジア経済とは何か 躍進のダイナミズムと日本の活路』は、後藤健太によって著された本で、アジア経済の動向と日本の将来についての分析を行っています。この本は2019年12月18日に中央公論新社から出版され、全240ページにわたっています。
本書では、戦後日本がリードしていたアジア経済が、20世紀の終わりから長期の停滞に陥ったことを指摘しています。それに対し、中国を筆頭にASEANなどのアジア諸国・地域は目覚ましい躍進を遂げ、21世紀を「アジアの世紀」として位置付けています。また、日本の家電メーカーの凋落とアジア企業の急成長が、この地域の経済的変化の象徴であることも述べられています。
このように、後藤健太は、グローバル・バリューチェーンやインテグラル/モジュラー型といった重要な概念を用いて、アジア経済の現状と日本の将来の活路について解説しています。この本は、アジア経済に関心のある人々や、日本の経済的将来について考える際の参考資料として有用です。
アジアの経済安全保障 新しいパワーゲームの構図
『アジアの経済安全保障 新しいパワーゲームの構図』は、伊集院敦と日本経済研究センターによって編著された書籍です。この書籍では、アジア地域における経済安全保障の問題を深く掘り下げ、地域およびグローバルな視点からの分析が行われています。具体的な内容についての詳細は、出版された書籍や、公益社団法人日本経済研究センターのウェブサイトなどで確認することができます。
アジア経済論
『アジア経済論』は、小林尚朗、山本博史、矢野修一、春日尚雄によって編集された書籍です。この本は、アジア経済の多様な側面に焦点を当てています。主要なトピックとして、中国の経済発展、一帯一路構想、シンガポールの国家主導型開発モデル、現代インド経済の変容、アジアの産業とインフラストラクチャ、日韓経済関係、経済発展と民主主義、格差問題、中国の金融政策などが取り上げられています。これらのトピックを通じて、アジア経済の動向と課題が深く探究されています。
アジア経済史研究入門
『アジア経済史研究入門』は、水島司、加藤博、久保亨、島田竜登によって編集された書籍で、アジア経済史に関する包括的な研究を提供しています。この書籍は、アジアの経済の発展とその歴史的な背景を掘り下げ、長期的な視点からアジア経済の興隆を導いた要因を解析しています。
内容は、アジアのさまざまな地域や時代を横断しており、以下のような主要なテーマに焦点を当てています:
- 東アジアの経済史: これには、中国や朝鮮の古代から現代に至る経済史が含まれます。各章は、特定の時代を取り上げ、政治、経済、社会の各面から分析しています。
- 南アジアの経済史: インダス文明から現代インドの経済発展に至るまでの広範な歴史をカバーしています。この部分では、植民地時代の影響や独立後の経済政策などが詳細に語られています。
- 東南アジアの経済史: このセクションでは、19世紀半ばまでの前近代の歴史から、21世紀初頭に至る現代の経済史に焦点を当てています。植民地化の影響や地域間の貿易などが主要なテーマとなっています。
- 西アジア・中央アジアの経済史: 古代オリエントから始まり、農耕牧畜の開始や都市の成立など、古代の経済システムについて探求しています。
東アジア経済史
『東アジア経済史』は堀和生と木越義則によって著された書籍で、東アジアの経済史を取り上げた教科書です。この書籍では、東アジアの経済の歴史を一国単位で見るのではなく、東アジアという地域全体の視点から捉えることを特徴としています。
岐路に立つアジア経済: 米中対立とコロナ禍への対応
アジア経済、特に米中対立やコロナ禍に対する影響については、以下の一般的なポイントを考慮することが有益です。
- 米中対立の影響: 米中間の緊張は、貿易、技術、地政学的な側面における不確実性を高め、アジア地域の多くの国々に経済的影響を及ぼしています。これには、サプライチェーンの再構築、投資減少、地域の安全保障への影響などが含まれます。
- コロナ禍の経済影響: コロナウイルスの流行は、アジア経済に大きな打撃を与えました。観光、製造業、輸出など、多くの重要なセクターが影響を受けています。多くの国々でのロックダウンや移動制限は、経済活動に大きな障害となりました。
- 対応策: 各国は、緊急経済対策、金融支援、ヘルスケアシステムの強化など、さまざまな方法でこれらの挑戦に対応しています。また、地域的な協力も重要な要素となっています。
現代東アジア経済論 (シリーズ・現代の世界経済)
『現代東アジア経済論』は、三重野文晴と深川由起子によって編集された書籍で、東アジア地域、特に朝鮮半島やASEAN諸国の経済に関するテキストです。この本は、経済モデルを用いて数式に頼らず、歴史的背景や経済的発展をわかりやすく解説しています。
本書では、北東アジアモデルとして韓国の経済発展を詳しく掘り下げており、ASEAN諸国の成長経路やベトナムの移行経済についても議論しています。さらに、ASEAN経済共同体(AEC)の創設や東アジアの経済統合に関するRCEP(地域的な包括的経済連携)にも焦点を当てています。終章では、東アジア経済の学び方、成長の道のり、新たなダイナミズムの模索などについても言及しています。
この書籍は、東アジア経済の歴史的経緯と現状を学びたい方にとって最適な入門書と言えるでしょう。
アジア経済はどう変わったか アジア開発銀行総裁日記
中尾武彦氏による著書『アジア経済はどう変わったか-アジア開発銀行総裁日記』は、アジア経済の変遷とアジア開発銀行(ADB)の取り組みに関する内容を扱っています。中尾氏は、約7年間ADB総裁を務め、民主党政権から第2次安倍内閣時代の財務官時代を経て、国際機関のトップとしての経験を持っています。本書では、円高、円安に揺れる財務官時代から、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の出現への対応、そして革新的な資金拡充策を採用したADB総裁時代までのアジア経済の展望について考察しています。
特に、中国が主導するAIIBについての中尾氏の率直な見解や、中国の政策に対する警告、市場経済への志向、および改革開放路線への回帰の必要性についても言及されています。また、米中の対立が深まる中で、アジア各国が独立した道を目指していること、そしてコロナ後の世界経済において、アジアが他の地域よりも強くなるという予測も示されています。
新興アジア経済論――キャッチアップを超えて (シリーズ 現代経済の展望)
『新興アジア経済論――キャッチアップを超えて』は、末廣昭によって書かれた、アジア経済の変化と発展に関する包括的な分析を提供する書籍です。本書は、2000年代以降のアジア、特に中国、インド、タイ、インドネシア、ベトナムなどの新興国の経済発展に焦点を当てています。
書籍では、グローバル化、経済自由化、IT革命などの国際環境の変化と、それに伴うアジア諸国の経済と社会の変容を詳細に調べています。特に、中国の台頭、域内相互依存の深化、中所得国の罠、人口動態、国内格差の拡大など、様々な社会問題にも注目しています。
本書は、「生産するアジア」、「消費するアジア」、「老いてゆくアジア」、「疲弊するアジア」という4つの視点から新興アジア経済を分析し、日本の新しい役割についても考察しています。末廣昭の先行作品である『キャッチアップ型工業化論』に続くもので、1990年代以降の国際環境の変化に基づいた新しいアジア経済論を提案しています。アジア経済を理解し、日本経済の現状と未来を考える上で非常に有用な参考文献となっています。
高まる地政学的リスクとアジアの通商秩序: 現状と課題、展望 (シリーズ:検証・アジア経済2)
『高まる地政学的リスクとアジアの通商秩序: 現状と課題、展望』は、石川幸一、馬田啓一、清水一史によって編著された書籍です。この書籍は、アジアの通商秩序が米中対立によってどのように影響を受けているか、その現状と課題、そして展望について多角的に考察しています。特に、地政学的リスクと経済安全保障の強化が必要とされる状況の中で、アジアの国々と企業が取るべき立ち位置と具体的な対応に焦点を当てています。
東南アジア スタートアップ大躍進の秘密 (日経プレミアシリーズ)
『東南アジア スタートアップ大躍進の秘密』は、中野貴司と鈴木淳によって著された書籍です。この本は、東南アジアのスタートアップの発展とその背景について詳細に解説しています。特に、東南アジアにおけるスタートアップの「3強」のビジネスモデル、創業者の素顔、および成長の秘訣に焦点を当てています。さらに、東南アジアにおける起業エコシステムの構造、すなわち政府、大学、民間企業がどのように連携しているかについても紹介されています。
現代アジアをつかむ――社会・経済・政治・文化 35のイシュー
「現代アジアをつかむ―社会・経済・政治・文化 35のイシュー」は、佐藤史郎・石坂晋哉が編集し、多くの著者によって書かれた本です。この本は、現代アジアの社会、経済、政治、文化に関連する35の重要な問題について詳しく論じています。詳細な内容については、特定の章や節を参照する必要があります。
アジア経済読本(読本シリーズ)
『渡辺 利夫のアジア経済読本』は、戦後の発展過程から現在のアジア経済の状況と課題を理解するための入門書です。この本は、中国とインドの経済的躍進、自由貿易協定(FTA)の進展、そして米国発の世界同時不況といった幅広いトピックを網羅しています。また、アジアの経済発展についての全体像を捉えることができる必読のテキストとされています。具体的な章の内容については、インド、パキスタン、バングラデシュなどが取り上げられ、それぞれの国が直面している経済的課題や進展が説明されています。
衰退日本の経済構造分析: 外需依存と新自由主義の帰結
『衰退日本の経済構造分析: 外需依存と新自由主義の帰結』は、村上研一によって著された書籍です。この本では、日本経済の衰退、特に国際競争力の低下と貿易赤字の拡大が示す産業構造の危機について分析しています。内容には、日本の外需依存的再生産構造、日本と世界の構造変化、内需縮小の影響、設備投資の産業連関構造の変化、貿易と産業競争力、脱炭素の流れと再エネ・EV転換の遅れ、新自由主義と産業衰退、2020年代の日本経済の現状と課題、日本産業・経済の再建などが含まれています。
ドキュメント TPP交渉―アジア経済覇権の行方
『ドキュメントTPP交渉―アジア経済覇権の行方』は、朝日新聞記者である鯨岡仁氏が著した作品です。このドキュメントでは、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の交渉過程や、それに関わる政治的な背景を詳細に追っています。アジア太平洋地域の未来の覇権がどのように形作られるのか、TPPがその鍵を握っているとの視点から書かれています。具体的な交渉内容や、それに対する日米両国の戦略などが描かれていることが予想されます。
東アジアの開発経済学 (有斐閣アルマ)
『東アジアの開発経済学』は、大野健一と桜井宏二郎によって著された経済学の書籍です。この本は1997年12月に有斐閣から発売され、338ページからなります。この書籍は激動する東アジア経済の現状とそこで起こっている問題を理解するためのテキストとして設計されています。従来の経済学に加え、最新の理論や歴史、文化、政治的な視点も取り入れられており、経済発展のダイナミズムを国際ネットワークの観点から捉えています。また、東アジアの国々の多様性にも焦点を当て、包括的な理解を促しています。
目次には、東アジアのダイナミズム、直接投資と貿易構造の変化、円ドルレート変動と東アジア、地域主義と貿易・資本の自由化、高度成長の社会的側面など、経済発展に関するさまざまな側面が含まれていることが示されています。
「革新と発展」の開発経済学
大塚啓二郎の著書『革新と発展の開発経済学』は、開発経済学の分野で世界的に知られた著者が、40年以上にわたりアジアとアフリカの農村や産業集積地での実地調査を基にした研究成果の集大成です。この本は、貧困の根本的な解決策として、多くの人々が従事できる「まともな仕事」の創出が必要であると述べ、そのための具体的な発展戦略を提示しています。特に、農業の発展と大規模な雇用創出を通じた工業化の重要性を強調しており、中国の急速な発展が大幅な貧困削減につながった実例を引いています。
著者はまた、開発経済学ではマイクロファイナンスや条件付き現金給付(Conditional Cash Transfer)などの「福祉政策」が貧困削減に取り組んでいるが、それだけでは大規模な貧困削減にはつながらないと指摘しています。本書を通じて、農業と工業の発展戦略を同一の分析的フレームワークで構築する試みを行い、それを理解してほしいと述べています。著者の狙いやオリジナルな貢献については、アジア経済研究所のイベントで議論されました。