【数理統計学】おすすめ本(入門から演習、統計学検定の教科書・参考書)ランキング

数理統計学を学ぼう

通常の統計学は、主に実際に存在するデータを基に、そのデータから何らかの意味を見出したり、背後にある現象を理解したりすることに焦点を当てます。つまり、実際のデータを元に統計的手法を適用し、隠れた真理や傾向を類推するのが統計学の主な目的です。

一方、数理統計学は、統計学の中でも特に数学的な理論や方法に焦点を当てた分野です。数学的なモデルを用いて、データから情報を導き出す理論や方法を研究します。つまり、数学的な手法を用いて統計学的な問題を解決するのが数理統計学の目的です。

 

統計学検定1級

統計学検定1級でも下記でも紹介する現代数理統計学の基礎(久保川)現代数理統計学(竹村)は統計学検定での重宝される書籍です。統計学検定1級での数理統計学の勉強に関しては、この本はカバー範囲が広く、内容が「定義、命題、補題、例」のように整理されているため、復習がしやすくなっています。また、公式テキストも試験範囲を把握するためにしばしば参照され、試験範囲を網羅するように書かれていますが、初心者がこの本だけで勉強するには難しいかもしれません。そのため、現代数理統計学の基礎などでで勉強した後、公式テキストを使って試験範囲が理解できているかを確認すると良いでしょう。

 

数理統計学の書籍おすすめランキング

 

1 現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)
2 現代数理統計学(竹村)
3 数理統計学 (数学シリーズ)
4 数理統計学: 統計的推論の基礎
5 応用をめざす 数理統計学(統計解析スタンダード)
6 入門数理統計学(ホーエル)
7 講座 数学の考え方〈21〉数理統計学
8 数理統計学ハンドブック
9 統計学の数理
10 数理統計学の基礎 (クロスセクショナル統計シリーズ 1)
11 数理統計学の基礎(野田、宮岡)
12 数理統計学―データ解析の方法
13 数理統計学の基礎―よくわかる予測と確率変数
14 数理統計学―基礎から学ぶデータ解析
15 確率と統計: 一から学ぶ数理統計学
16 統計学講義―データ科学の数理
17 データ解析のための数理統計入門
18 明解演習 数理統計 (明解演習シリーズ)
19 理工系の数理 確率・統計
20 入門・演習 数理統計
21 統計学への確率論,その先へ
22 データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために
23 基礎から学ぶ統計学
24 統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

 

 

書籍概要

現代数理統計学の基礎 (共立講座 数学の魅力)

 

『現代数理統計学の基礎』(久保川達也氏著)は、数理統計学の基礎から現代的な内容までを網羅するテキストです。近年、ビッグデータやデータサイエンスの重要性が高まる中、データに基づく意思決定の大切さが広く認識されています。この本は、数理統計学の基礎的な内容や、近年広く利用されている現代的な内容を盛り込んでいます。特に、データの背後にある確率モデルを想定し、推測を行うための数学的基礎を提供することを目的としています。数理統計学に関する基礎的な内容に加えて、マルコフ連鎖モンテカルロ法、ブートストラップ法、EMアルゴリズムなどの計算統計学や、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデルといった近年広く利用されている内容を含む特徴を持っています。

本書は3部構成になっており、第1部では確率や確率分布の基本的な事項を、第2部では標本分布、統計的推定、仮説検定などの推測方法を扱います。これらは数理統計学の基本とされ、経済学部などで3・4年生対象の講義で学ぶ内容です。第3部ではさらに発展的な内容として、線形回帰モデル、リスク最適性の理論、計算統計学の方法、確率過程などを扱っています。これらは学部4年生から大学院修士課程1年生が学ぶ内容とされています。また、章末問題が豊富に用意されており、理解を深めるのに役立つようになっています。統計学の推測統計を数学的に扱うことに重点を置いており、統計的方法を深く理解することや、将来統計手法を発展させ応用する際の柔軟な対応能力を培うことを目指しています。

章の構成は以下の通りです:

1. 確率
2. 確率分布と期待値
3. 代表的な確率分布
4. 多次元確率変数の分布
5. 標本分布とその近似
6. 統計的推定
7. 統計的仮説検定
8. 統計的区間推定
9. 線形回帰モデル
10. リスク最適性の理論
11. 計算統計学の方法
12. 発展的トピック:確率過程

付録として微積分と行列演算、主な確率分布と特性値、参考文献が収録されています。

 

 

 

 

現代数理統計学(竹村)

 

竹村彰通氏著の『新装改訂版 現代数理統計学』は、統計学の基礎から応用に至るまでを網羅したテキストで、368ページにわたって幅広いトピックを扱っています。

 

内容としては、以下の章構成になっています:

  1. 前置きと準備
  2. 確率と1次元の確率変数
  3. 多次元の確率変数
  4. 統計量と標本分布
  5. 統計的決定理論の枠組み
  6. 十分統計量
  7. 推定論
  8. 検定論
  9. 区間推定
  10. 正規分布、2項分布に関する推測
  11. 線形モデル
  12. ノンパラメトリック法
  13. 漸近理論
  14. ベイズ法

付録A: 補論

参考文献

学習者の便宜を図るために練習問題が増やされ、解答もサポートページに掲載されています。また、正誤表も提供されており、読者は最新の正誤情報を確認することができます。

 

 

数理統計学 (数学シリーズ)

 

稲垣宣生による『数理統計学』は、統計学の基本的な概念と方法論を網羅した専門書です。本書は、確率変数と確率分布、統計的推測、統計解析の3つの主要セクションに分けられており、それぞれのセクションは複数のサブセクションで構成されています。

1. 確率変数と確率分布
– 事象と確率
– 確率変数と確率分布
– 確率分布の代表的モデル
– 2次元確率ベクトルの分布
– 多変量確率ベクトルの分布
– 標本分布

2. 統計的推測
– 統計学における情報量
– 統計的推測決定
– 統計的推定
– 統計的仮説検定

3. 統計解析
– 直線回帰分析
– 多重線形回帰分析
– 分散分析
– 尤度解析法

各セクションとサブセクションは、統計学の基本から応用までを網羅的にカバーし、統計学における基本的な概念、方法論、応用事例を豊富な演習問題とともに詳細に説明しています。学生から研究者まで、統計学の現代的な手法を基礎から本格的に学びたい方にとって、この書籍は重要な書籍となります。

 

 

 

数理統計学: 統計的推論の基礎

 

黒木学氏の『数理統計学: 統計的推論の基礎』は、数理統計学の基本的な事項とその論理展開を丁寧に解説した教科書です。この本は、統計的データ解析の数理的側面を担い、数理統計学の論理を一通り追えるように配慮されて執筆されています。本書では、応用統計学で一般的に見られる定理や性質について、やや厳しい条件を設定した上で証明の概略を示しています。

内容的には、第1部でデータの整理、確率、確率分布について扱い、第2部では確率分布の特徴づけ、代表的な離散型・連続型確率分布、近似法則について扱っています。第3部では統計的推論の基礎として、推定量とその性質、最尤推定量、統計的仮説検定について述べています。数学的に統計学を理解したい人に向けたもので、特に理論面での統計学を学びたい人には推奨されています。

 

応用をめざす 数理統計学

 

『応用をめざす数理統計学(統計解析スタンダード)』は、国友直人氏による数理統計学の教科書です。この本は、理論と応用の橋渡しを目指して体系的に構成されており、確率論の基礎、統計理論、そして応用手法を丁寧に解説しています。

本書の内容は、基本的な統計理論から始まり、より高度な統計的推定や検定、統計的関係の推測、そして統計解析の世界を広げるためのトピックスにわたっています。具体的には、正規分布、無限分解可能分布、計量と標本分布、統計的推定論、計的検定論、ベイズ推論などが含まれています。また、統計的時系列解析、統計的生存時間解析、統計的極値解析など、特定の応用分野に関する内容も網羅しています。この書籍は、統計解析スタンダードシリーズの一部であり、他にも多くの関連書籍があります。

 

 

入門数理統計学(ホーエル)

 

『入門数理統計学』は、P.G.ホーエル氏著、浅井晃氏と村上正康氏による翻訳の書籍で、初等統計学よりも進んだ程度の確率論・数理統計学を学ぶための入門書です。原著はアメリカの大学でこのレベルの代表的な教科書として広く使用され、高い評価を得ています。書籍では古典的大標本論と近代的小標本論の両方を広範囲にわたって紹介し、近代数理統計学の基本的方法を理解するための参考書としても十分な内容を備えています。

理解しやすく学びやすいように書かれており、重要な証明のいくつかは付録にあります。これにより読者は証明に困惑されることなく内容を進めることができます。本書を学ぶには微積分の初歩の知識があれば十分であり、学生や技術者にとって数理統計学の入門書として最も適しているとされています。

 

 

 

講座 数学の考え方〈21〉数理統計学

 

『講座 数学の考え方 21 数理統計学』は、数学の基礎から数理統計学の現代的な展開までを解説した書籍です。この本は、数理統計学を初めて学ぶ大学生や確率統計学専攻の大学院初年級の学生、さらに統計科学の分野で研究する者に向けて、数理統計学の基本的な概念と方法論がどのように整理されているか、そしてそれがどのように現代の統計学に発展しているかを説明しています。

書籍の内容には、確率分布、確率変数と期待値、特性関数、離散分布、連続分布、多変量分布など、数理統計学の基礎に関するトピックが含まれています。それらの概念を通じて、条件付き期待値や確率変数の収束などのより複雑なアイデアについても解説されています。

 

 

 

数理統計学ハンドブック

 

『数理統計学ハンドブック』はRobert V. Hogg, Joseph W. McKean, Allen T. Craigが共著した統計学に関する専門書です。豊田秀樹氏によって監訳されたこの本は、統計学の基本的な理解と知識の定着を目指す方々にとって非常に役立つ一冊となっています。

このハンドブックには、確率変数の統計的独立性、変数変換、特別な分布、不偏性、最尤法、仮説検定の方法、ベイズ統計、線形モデルなど、統計学における幅広いトピックが網羅されています。また、実際の数学的手法に関する解説のほか、RとS-PLUSの関数、分布に関する表、文献、練習問題の略解などの付録も含まれており、学習を助ける多くのリソースが提供されています。

予備知識として、偏微分や重積分、線形代数などの基本的な数学知識が必要ですが、これらがあれば、推定や検定といった基本的な内容からブートストラップやEMアルゴリズムといった応用統計学に至るまで、初心者から上級者になるための道のりを案内してくれます。

統計学の数理

 

桜井基晴氏の著書『統計学の数理』は、統計学の標準的な内容について、使用される定理の証明を中心に、統計学の理論的体系を懇切丁寧に解説した書籍です。統計学は理論と実用の両面において重要な分野であり、実用面からの需要が多い中、多くの統計学の書籍では必要な定理を認めた上で、その内容と使い方の解説が中心となっています。統計学の基礎から応用まで、理論的な側面を丁寧に解説している点が特徴です。

 

 

 

 

数理統計学の基礎 (クロスセクショナル統計シリーズ 1)

 

『数理統計学の基礎 (クロスセクショナル統計シリーズ 1)』は、尾畑伸明氏を著者とし、照井伸彦、小谷元子、赤間陽二、花輪公雄の各氏が編集を担当した統計学の書籍です。この書籍は、クロスセクショナル統計シリーズの第1弾として、文系から理系まで幅広い分野の最新統計分析を領域横断的に紹介しています。特に、推測統計の中核をなす母数の推定や検定について、数理的枠組みの中で理解を深めることを目的としています。

推測統計に関する母数の推定や検定を数理的な枠組みの中で理解を深めることを目的とした本です。理論的な基盤について詳細な解説を行い、個別の事例ではなく、一貫したアプローチを学べるように構成されています。確率論の基礎についても、豊富な例を用いて詳細に説明しており、順序統計量のような発展的なトピックにも言及しています。これにより、読者はさらに数理統計学を学ぶための基礎を築くことができるでしょう。本書には90以上の演習問題とその略解が含まれており、理解を深める手助けとなります。

書籍の内容としては、記述統計、初等確率論、確率変数と確率分布、確率変数列、基本的な確率分布といった統計学の基本的なトピックが含まれています。各章では、ヒストグラム、分布関数、代表値、分布のばらつき、散布図、相関係数、回帰分析など、統計学の基本的な概念が詳しく説明されています。

 

数理統計学の基礎(野田、宮岡)

 

『数理統計学の基礎』は、統計的手法を修得するために数理統計学の基本的な概念や定理を系統的に理解し、その構造を把握するための入門書です。野田一雄氏と宮岡悦良氏によって著されたこの書籍は、大学生や院生を主な対象読者としております。

この書籍では、以下のようなトピックが含まれています:

1. 確率
2. 確率変数
3. 確率における収束
4. 統計モデル
5. 推定
6. 仮説検定

これらのトピックは、数理統計学の基礎理解に必要な中心的な概念であり、読者が統計的手法を確実に学ぶためのガイドとして機能します。また、十分性、因子分解定理、完備性、レーマン・シェフェの定理などの重要な統計概念が丁寧に説明されており、これらを理解するための有用な参考文献として推奨されています。

演習問題が含まれていないため、実践的な理解を深めたい場合は、同じ著者による『入門・演習 数理統計』という演習問題を集めた書籍を利用することが推奨されています。

 

 

 

数理統計学―データ解析の方法

 

『数理統計学―データ解析の方法』は、竹内啓氏によって書かれた書籍で、統計的解釈と分析の重要性とその広範囲にわたる必要性に焦点を当てています。本書は、現代数理統計学の応用を明解に解説し、実験、計画、およびデータの統計的分析に合理性を提供することを目的としています。

 

 

 

数理統計学の基礎―よくわかる予測と確率変数

 

『数理統計学の基礎―よくわかる予測と確率変数』は、新納浩幸氏による統計学の教科書です。この書籍は、統計学を学ぶ学生が最初につまずきがちな「確率変数」について新しい視点から解説しています。また、統計学の目的を予測とする理念のもと、標本から平均と分散を求める意味について述べています。本書は、確率変数の説明に力点を置き、統計学の目的を予測であるという視点から、予測と確率変数との関係を詳細に記述しています。数式の変形を丁寧かつ厳密に追いながら、例題と練習問題を豊富に盛り込んでいます。

具体的な内容としては、以下のトピックを扱っています。

– 事象と確率
– 確率変数と確率分布
– 統計量と確率変数
– 推定
– 検定
– モデル推定とモデル選択

 

 

 

数理統計学―基礎から学ぶデータ解析

 

『数理統計学―基礎から学ぶデータ解析』は、鈴木武氏と山田作太郎氏による共著です。この書籍は、主に大学の理工、経済、農、水産系の学部2、3年生を対象とした数理統計学の入門書または概説書として位置づけられていますが、レベル感としてはもう少し高めです。

本書は、次のトピックを含む広範な範囲をカバーしています:

  1. 確率
  2. 確率変数と確率分布
  3. 統計データの要約
  4. 種々の確率分布
  5. 統計的推定
  6. 統計的検定
  7. 線形モデル
  8. サンプリング
  9. 統計モデルと推論形式

内容は詳細に数理統計学の重要な概念を幅広く扱っています。大学数学の知識がある程度必要です。統計学や数学に慣れている人にとっては、一層の理解を深めるための資源として価値があるでしょう。

 

 

確率と統計: 一から学ぶ数理統計学

 

小林正弘氏と田畑耕治氏によって執筆された統計学の入門書です。この書籍は、統計学の基礎から応用までをカバーしており、近年の社会において統計学を使いこなすことが重要なスキルとされている背景を踏まえています。統計学は、数学系から見れば応用色が強く、工学系から見れば数学的な記述が多いとされる難解な分野ですが、この書籍はそうした難しさを克服するための入門書として構成されています。

具体的には、高校レベルの確率・統計の導入から区間推定・仮説検定までを解説しており、数学面と応用面のバランスを取りながら、両者を結び付けることに重点を置いています。書籍には、「統計のための確率。確率のための統計。」というコンセプトのもと、応用例や発展的内容を含んだコラムが多数配置されており、読者が統計学に親しみながら理解できるように工夫されています。

内容としては、古典的確率、事象の確率、確率分布、平均と分散、確率変数と確率分布、条件付き確率とベイズの定理など、統計学の基本から応用に至るまでの幅広いトピックがカバーされています。

 

 

 

統計学講義―データ科学の数理

 

『統計学講義―データ科学の数理』は稲垣宣生、吉田光雄、山根芳知、地道正行の各氏が共同で執筆した、統計学の根本から応用技術までを網羅した教科書です。この書籍では、統計学の効果を実体験することを中心に、以下の内容に沿って説明が進められています。

  1. 統計学と確率に関する基礎
    • 統計学の基本的な考え方や確率に関する紹介。
    • ベイズの定理を含む、確率論の基礎的な部分の解説。
  2. データの扱い方
    • データの整理や特性値の算出方法。
    • 二次元データの処理方法や散布図、相関係数の算出。
  3. 確率変数とその分布
    • 確率変数についての説明、平均や分散の計算法。
    • 離散型と連続型の確率変数の分布についての解説。
  4. 複数の確率変数
    • 二次元確率ベクトル、同時分布、周辺分布の紹介。
    • 共分散や相関係数、二変量正規分布についての解説。
  5. 母集団とサンプル
    • サンプル抽出法、サンプル平均、サンプル分散について。
    • 正規分布を用いたサンプル分布、大数の法則、中心極限定理に関する説明。
  6. 統計的推定
    • 推定量の特性、平均・分散・比率の推定について。
    • 区間推定に関する詳細な解説。
  7. 仮説検定
    • 検定の手順、平均・分散・比率の検定について。
    • 様々な検定方法と具体例。
  8. 二つのサンプルの問題
    • 平均差や分散比の問題について。
    • 二つのサンプルの比率問題、等分散性の検定についての解説。

この教科書は、特に大学一年生や微積分の基礎を理解している読者を対象に、統計学の入門から実用的なレベルまでを平易な言葉で説明しています。統計学の基本を学びたい方やデータサイエンスに興味のある方にとって、非常に役立つ内容が含まれています。

 

データ解析のための数理統計入門

 

『データ解析のための数理統計入門』は久保川達也氏によって書かれた数理統計の基礎をわかりやすく解説した書籍です。この本は、著者の前著『現代数理統計学の基礎』に続く作品であり、難易度は前著よりもやや低めで、統計検定では準1級レベルに相当します。内容としては、前半部分では確率、確率変数、確率分布、期待値と共分散、大数の法則と中心極限定理などの基礎知識を学びます。

そして、これらの基礎をベースに、パラメータの推定や信頼区間、仮説検定などの推測統計の方法を解説しています。後半部分では、線形回帰、ロジスティック回帰、分散分析、ベイズ統計とMCMC法、ブートストラップ法、ノンパラメトリック検定、生存時間解析、多変量解析など、統計分析の幅広い知識と手法について述べています。

 

明解演習 数理統計 (明解演習シリーズ)

 

『明解演習 数理統計 (明解演習シリーズ)』は、小寺平治氏によって著された数理統計学の演習書です。本書は、身近で有用な具体例と明解な解答を通じて、推定や検定の基本技法を無理なく修得できるよう工夫されています。加えて、付表、正規確率紙、公式集などの補助資料も整備されており、読者が数理統計学の基礎をしっかりと理解し、実践的な問題解決能力を養うことを目指しています。

本書は、高校理系数学をある程度理解している方にとって、数理統計の学習を進める上で最適な演習書とされています。その構成は、要点の整理、例題、例題の解説、演習問題という形式で、読者が演習に取り組みやすいよう配慮されています。

また、全7章から成り、確率から推定、検定まで基本的な統計学の事項を網羅しています。本書には、不必要に複雑な問題は採用せず、基本から応用に対応できる質の高い問題が収録されており、大学の教養課程程度の微積分、線形代数、および初歩的な確率と統計学の知識があれば、一通りの問題をこなすことが可能です。全209ページにわたり、統計学を学ぶ学生や研究者にとって有益な内容が提供されています。

 

 

理工系の数理 確率・統計

 

『理工系の数理 確率・統計』は岩佐学、薩摩順吉、林利治の各氏による共著で、大学1年生や2年生が予備知識なしに、確率の基礎理論とさまざまな統計手法を身につけられるように設計された入門書です。

本書は、データハンドリングや確率の基本概念を紹介した後、様々な統計手法を詳細に説明し、それらの使い方を丁寧に解説しています。また、推定・検定に関する重要なポイントを把握するために、7ページにわたる「区間推定、検定に関わる重要事項のまとめ」を冒頭に設けている点も特徴的です。

各章の終わりには、その章で学んだ内容を振り返ることができるように、まとめが用意されています。さらに、一部の例題には書き込み用の空欄が設けられており、読者が適切な数値や式を確認しながら読み進めることができるような工夫がされています。この本は数学を専門とする者と応用する者が協力して作成したため、数学的な正確さと実用性を意識した内容になっていることが強調されています。

 

 

入門・演習 数理統計

 

『入門・演習 数理統計』は、野田一雄と宮岡悦良の各氏による共著で確率と統計を初めて学ぶ人向けの入門書であり演習書です。内容としては、前半部分で確率論の基礎を学び、後半では統計の基本的な理論や手法を扱っています。

 

統計学への確率論,その先へ

 

『統計学への確率論,その先へ:ゼロからの測度論的理解と漸近理論への架け橋』は、清水泰隆氏による学部生向けの教科書です。特に統計学において重要とされる事柄に焦点を当て、確率論を迅速に学ぶことができるように設計されています。内容としては、「測度論的確率論」の基礎を最短経路で理解し、その後の「統計的漸近理論(大標本理論)」へとスムーズに移行できるように構成されています。

本の構成は以下の通りです。
1. 第1章:確率モデルを作るまで
– 事象や観測を表現するための数学的記述
– 確率変数と確率
– 不確実性の表現:確率分布と分布関数
2. 第2章:分布や分布関数による積分
– 期待値の定義
– スティルチェス積分について
– 分布を特徴付ける量や関数
– 確率・積率に関する不等式
3. 第3章:確率変数の独立性と相関。

この教科書は、統計学の分野で重要となる知識を効率的に、かつ実践的に学ぶことを目的としています。

 

データ分析のための数理モデル入門

 

『データ分析のための数理モデル入門 本質をとらえた分析のために』は、江崎貴裕による数理モデルをテーマにした本です。この書籍は、データ分析における数理モデルの基本的な概念や手法について解説しており、さまざまなモデリング手法の基礎を解説するだけでなく、それらをどのように選択して使用すればよいか、そしてモデリングによって得られる結論について初学者が勘違いしやすい事項についても丁寧に説明しています。特に、数理モデル全体が有機的に繋がって見えるような「横糸的な」理解を可能にすることを目指している点が特徴です。この本は、データ分析を始める初学者や初級者に向けて書かれており、モデリングに慣れた読者にとっても楽しめる内容となっています。

 

基礎から学ぶ統計学

 

数理統計学の書籍ではありませんが、架け橋になる基礎の統計学書籍も紹介します。

『基礎から学ぶ統計学』は中原治著による統計学の入門書です。本書は、統計学を真面目に理解したい人や、これまで統計について学んできて挫折した経験がある人に向けて書かれています。10年以上にわたる学生との試行錯誤を経て、学部を問わずに統計学の基礎を身に付けられるように設計されています。

特に以下の3つの特徴が本書の特色です。

1. 図を多用することで直観的な理解を促進します。
2. 実践的な手法を中心に学ぶことで、理論だけでなく実際のデータ分析にも活かせる知識を提供します。
3. 数学のハードルを下げることで、統計学が初めての人でもアクセスしやすい内容になっています。

内容としては、t検定、分散分析、多重比較、相関分析、単回帰分析など、仮説検定の論理、母平均に対する統計解析、2変数の関係までをカバーしています。これらの基本的な統計手法の計算の原理を直感的に理解できるように導いています。前提知識としては、高校1〜2年生レベルの数学までが求められます。

 

 

 

統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

 

こちらも数理統計学の書籍ではありませんが、架け橋になる基礎の統計学書籍となります。

『統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)』は、東京大学教養学部統計学教室によって編集・執筆された本で、1991年に東京大学出版会から出版されました。この本は文科と理科の両方の学生を対象に、統計的な思考の基礎と統計学の体系的な知識を提供することを目的としています。図表や豊富な実例を用いて、視覚的にも理解しやすく、親しみやすい内容となっています。

本書は全13章で構成されており、大きく3部に分けられています。第1部(1-3章)では記述統計学が、第2部(4-8章)では確率の基礎が、そして第3部(9-13章)では統計的推測(数理統計学)がそれぞれ扱われています。これらの各部は独立して学習することも可能で、例えば確率の基礎だけを学びたい場合には第2部だけを、既に記述統計学を知っている場合には第2部から始めることも推奨されています。

「統計学の基礎」,「1次元のデータ」,「2次元のデータ」,「確率」,「確率変数」,「確率分布」,「多次元の確率分布」,「大数の法則と中心極限定理」,「標本分布」,「正規分布からの標本」,「推定」,「仮説検定」,「回帰分析」など、統計学を理解するための幅広いトピックを網羅しています

この本は、学習が難しいと感じる部分がある場合に、具体的な問題を解くなどして取り組むことが推奨されています。また、統計学を学ぶ上で数学的な基礎が必要であるため、数学が苦手な場合は先に数学の基礎から学んでいきましょう。