指数とルート根号(1) – 経済学の数学入門

1. 指数とルート

指数

指数は、ある数(基底)を何度も自分自身と掛け合わせる回数を示します。
たとえば、\(y^6\)では、6が指数で、yが基底です。これは、yを6回掛け合わせることを意味します。
また、\(5^3\)では、3が指数で、5を3回掛け合わせることを表します。つまり、\(5^3 = 5 × 5 × 5 = 125\)となります。

 

ルート(根号:こんごう)

ルート(今号)は、ある数が特定の回数、自分自身と掛け合わされた結果になる数です。
例えば、16の二乗根(平方根)は4です。なぜなら、4を2回掛け合わせると16になるからです(\(4 × 4 = 16\))。

また、ある数の三乗根(立方根)は、その数を3回掛け合わせると得られる数です。たとえば、27の三乗根は3です、なぜなら \(3 × 3 × 3 = 27\) だからです。

このように、指数は「掛ける回数」を、根は「何を掛けたらその数になるか」を示しています。

 

 

2.指数

指数は、ある数を自分自身と何度も掛け合わせることを表します。例えば、\(9^2\)において、9は基底で、2は指数です(これは9を自分自身と2回掛け合わせることを意味します)。指数の定義に基づき、9を自分自身で掛け合わせると(9×9)、結果は81です。同様に、81の平方根(√81)は9です。

別の数で試してみましょう。例えば、6を考えます。6の立方根、つまり\(6^3\)を求めます。これは、6を3回掛け合わせること(6×6×6)を意味し、結果は216です。逆に、216の立方根は6です。

基数2の累乗の例を見てみましょう:
\(2^0 = 1\)
\(2^1 = 2\)
\(2^2 = 2×2 = 4\)
\(2^3 = 2×2×2 = 8\)
\(2^4 = 2×2×2×2 = 16\)
\(2^5 = 2×2×2×2×2 = 32\)
…と続きます。

同様に、基数6の累乗も見てみましょう:
\(6^0 = 1\)
\(6^1 = 6\)
\(6^2 = 6×6 = 36\)
\(6^3 = 6×6×6 = 216\)
\(6^4 = 6×6×6×6 = 1296\)
\(6^5 = 6×6×6×6×6 = 7776\)
…とこのように続きます。

基数6では、「\(6^0\)は1(1の位に1があります)、\(6^1\)は6(6の位に1があります)」という意味です。つまり、各位に「1」がある場合、その数は基数6で、指数はその後に続くゼロの数です。位の値は、この数に掛け合わせられる数です。

基数10の累乗も見てみましょう:
\(10^0 = 1\)
\(10^1 = 10\)
\(10^2 = 10×10 = 100\)
\(10^3 = 10×10×10 = 1000\)
\(10^4 = 10×10×10×10 = 10000\)
\(10^5 = 10×10×10×10×10 = 100000\)
…と続きます。

同じ流れで、7000は7×1000、または7×\(10^3\)と同等です。
任意の数を、10の累乗の単位数の和として表すことができます。例えば、数字の739は、百の位に7(7×\(10^2\))、十の位に3(3×\(10^1\))、一の位に9(9×\(10^0\))があります。したがって、739 = 7×\(10^2\) + 3×\(10^1\) + 9×\(10^0\)です。

 

2.1 – 指数の形

 

1. 平方(二乗)

数の平方とは、その数を自分自身で掛けることです。例えば、4の平方は \(4^2\) と書き、\(4 \times 4 = 16\) と計算します。3の平方は \(3^2 = 3 \times 3 = 9\) です。この用語を覚える一つの方法は、平方(二乗)を考える時、高さと幅の2つの次元を持つ正方形を想像することです。実際、数の平方は、その数を一辺とする正方形の面積と同じです。完全平方数とは、整数の平方で表される数のことです。例えば、\(5^2 = 25\) なので、25は完全平方数です。25や4も完全平方数です。完全平方数を小さい順に列挙すると、1, 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81, 100, 121, … のようになります。

 

2. 立方(三乗)

数の立方とは、その数を3回掛けることです。例えば、3の立方は \(3^3\) と書き、\(3 \times 3 \times 3 = 27\) と計算します。他の数の立方を見てみましょう:
\(10^3 = 10 \times 10 \times 10 = 1,000\)
\(15^3 = 15 \times 15 \times 15 = 3,375\)
\(20^3 = 20 \times 20 \times 20 = 8,000\)
\(25^3 = 25 \times 25 \times 25 = 15,625\)
\(30^3 = 30 \times 30 \times 30 = 27,000\)
\(35^3 = 35 \times 35 \times 35 = 42,875\)
これに基づいて、任意の数の立方根は、その数を3回掛けることによって簡単に見つけることができます。

 

 

3. 特別なケース

3.1 – 負の整数のケース

 

1. 負の数の立方(3乗)
負の数を立方すると、結果も負になります。例えば:
\((-10)^3 = -10 \times -10 \times -10 = -1000\)
\((-7)^3 = -7 \times -7 \times -7 = -343\)
\((-9)^3 = -9 \times -9 \times -9 = -729\)
これは、3つの負の数を掛け合わせると、結果は負の数になるためです。

2. 負の数の平方(2乗)
一方で、負の数を平方すると、結果は正になります。例:
\((-15)^2 = -15 \times -15 = 225\)
これは、2つの負の数を掛けると、プラスになるためです。

要するに、負の数の指数が偶数の場合、結果は正になります。しかし、指数が奇数の場合、結果は負になります。これは、負 × 負 = 正、負 × 負 × 負 = 負という規則に基づいています。そのため、負の数の指数を計算する時は、まずその数の正の逆数の指数を求め、指数が奇数の場合は結果にマイナス符号を付けます。

 

 

例を使って説明します。

例1: \((-7)^6\)
1. 正の逆数の指数を計算します。\(7^6 = 7 \times 7 \times 7 \times 7 \times 7 \times 7 = 117,649\)
2. 指数(6)は偶数なので、\((-7)^6 = 117,649\)

 

 

例2: \((-3)^9\)

1. 正の逆数の指数を計算します。\(3^9 = 3 \times 3 \times 3 \times 3 \times 3 \times 3 \times 3 \times 3 \times 3 = 19,683\)
2. 指数(9)は奇数なので、\((-3)^9 = -19,683\)

このように、負の数の指数を取り扱う際は、指数が偶数か奇数かに注意して、適切な符号を結果に適用する必要があります。

 

3.2 – 分数のケース

分数に指数を適用する場合、分子(上の数字)と分母(下の数字)に個別に指数を適用し、その結果を分数として表します。

分数の指数計算では、次のステップに従います:

1. 分数の形式で与えられた数に対し、分子と分母に同じ指数を適用します。
2. 分子に指数を適用した結果と分母に指数を適用した結果を用いて新しい分数を作成します。

 

 

例を使って説明します:

例1: \(\left(\frac{5}{3}\right)^4\)
1. 分子 \(5\) に指数 \(4\) を適用します:\(5^4 = 5 \times 5 \times 5 \times 5 = 625\)。
2. 分母 \(3\) に指数 \(4\) を適用します:\(3^4 = 3 \times 3 \times 3 \times 3 = 81\)。
3. 分子と分母の結果を分数として表します:\(\frac{625}{81} = 7.716\)(概算)。

 

例2: \(\left(\frac{9}{4}\right)^5\)
1. 分子 \(9\) に指数 \(5\) を適用します:\(9^5 = 59,049\)。
2. 分母 \(4\) に指数 \(5\) を適用します:\(4^5 = 1,024\)。
3. 分子と分母の結果を分数として表します:\(\frac{59,049}{1,024} = 57.6650\)。

 

例3: \(\left(-\frac{6}{5}\right)^2\)
1. 分子 \(-6\) に指数 \(2\) を適用します:\((-6)^2 = 36\)(負の数を二乗すると正の数になります)。
2. 分母 \(5\) に指数 \(2\) を適用します:\(5^2 = 25\)。
3. 分子と分母の結果を分数として表します:\(\frac{36}{25} = 1.44\)。

このように、分数に指数を適用する際は、分子と分母に個別に指数を適用し、その結果で新しい分数を作ることがポイントです。

 

3.3 – 小数点のあるケース

小数点数の指数を求めるには、その小数点数を指数の回数だけ掛け合わせます。小数点数を掛け合わせる際には、小数点の扱いに注意する必要があります。

1. 小数点数の指数計算では、まず基数(小数点数)の小数部分の桁数を数えます。次に、その桁数に指数を掛けます。これが答えの小数点以下の桁数になります。
2. その後、基数の小数点を無視して指数計算を行います。
3. 最後に、計算した桁数に合わせて小数点を適切な位置に戻します。

例を使って説明します。

例1: \(4.9^3\)
1. \(4.9\) は小数点以下1桁です。指数が3なので、\(1 \times 3 = 3\)。これが答えの小数点以下の桁数です。
2. 小数点を無視して \(49^3 = 117,649\) を計算します。
3. 答えに小数点を3桁戻して、\(4.9^3 = 117.649\) となります。

例2: \(0.524^4\)
1. \(0.524\) は小数点以下3桁です。指数が4なので、\(3 \times 4 = 12\)。これが答えの小数点以下の桁数です。
2. 小数点を無視して \(524^4 = 75,418,890,625\) を計算します。
3. 答えに小数点を12桁戻して、\(0.524^4 = 75.418890625\) となります。

このように、小数点数の指数計算では、小数点の位置と桁数に注意して計算を進めることが重要です。

 

3.4 – 虚数のケース

虚数単位 \(i\)(\(i^2 = -1\))の指数(特に虚数単位 \(i\) の指数)は、複素数の範囲で特殊な振る舞いを示します。これは、実数の範囲では見られないユニークな特性で、複素数の演算において重要な役割を果たします。

虚数単位の指数は以下の規則に従います。

・\(i^0 = 1\)
・\(i^1 = i\)
・\(i^2 = -1\)
・\(i^3 = -i\)
・\(i^4 = 1\)

そしてこのパターンは周期的に繰り返します。つまり、\(i^{4n} = 1\)、\(i^{4n+1} = i\)、\(i^{4n+2} = -1\)、\(i^{4n+3} = -i\)(\(n\)は非負整数)。

この性質は、複素数を含む式の解析に使います。

 

例を使って説明します。

例1: \(i^5\)
1. \(i^5\) は \(i^{4+1}\) と同じです。つまり、\(i^4 \times i^1\)。
2. \(i^4 = 1\) と \(i^1 = i\) なので、\(i^5 = 1 \times i = i\)。

 

例2: \(i^{23}\)
1. \(i^{23}\) は \(i^{4 \times 5 + 3}\) と同じです。つまり、\(i^{20} \times i^3\)。
2. \(i^{20} = (i^4)^5 = 1^5 = 1\) と \(i^3 = -i\) なので、\(i^{23} = 1 \times -i = -i\)。

 

 

このように、虚数単位の指数を求める際は、4での剰余を計算することによって、結果を簡単に求めることができます。複素数平面上での \(i\) のべき乗は、単位円上の点として表され、その位置は指数によって決まる角度に対応します。この性質は、オイラーの公式 \(e^{i\theta} = \cos(\theta) + i \sin(\theta)\) と深い関係があります。

また経済モデルにおけるダイナミックシステムでは、システムの安定性や周期性を理解するために、特性方程式と呼ばれる方程式の解が求められます。ここでは深く踏み込まず、例1、例2の概要だけ理解しましょう。

 

4 – 負の指数

負の指数は正の指数と少し異なりますが、基本的な考え方は同じです。

負の指数の基本 負の指数は、数を分数の形で表す方法です。負の指数は、その数の逆数を正の指数で表したものに等しいです。

例えば
・\(8^{-2}\) は \(1/8^2\) に等しく、これは \(1/64\) です。
・\(7^{-3}\) は \(1/7^3\) に等しく、これは \(1/343\)です。

 

10の負の指数と基数10のシステム(他の基数に変更)

・\(10^{-1} = 1/10 = 0.1\)
・\(10^{-2} = 1/100 = 0.01\)
・\(10^{-3} = 1/1,000 = 0.001\)
・以下同様に続きます。

 

数 68.97 を10の指数で表すと以下のようになります。
・10の位が6なので \(6 \times 10^1\)
・1の位が8なので \(8 \times 10^0\)
・10分の1の位が9なので \(9 \times 10^{-1}\)
・100分の1の位が7なので \(7 \times 10^{-2}\)
つまり、\(68.97 = 6 \times 10^1 + 8 \times 10^0 + 9 \times 10^{-1} + 7 \times 10^{-2}\) となります。

それぞれの数の表し方
・528.47 を表すと、\(5 \times 10^2 + 2 \times 10^1 + 8 \times 10^0 + 4 \times 10^{-1} + 7 \times 10^{-2}\)
・3.141 を表すと、\(3 \times 10^0 + 1 \times 10^{-1} + 4 \times 10^{-2} + 1 \times 10^{-3}\)
・82.056 を表すと、\(8 \times 10^1 + 2 \times 10^0 + 0 \times 10^{-1} + 5 \times 10^{-2} + 6 \times 10^{-3}\)

このように数値を変更しても、負の指数の概念と10の指数を使った数の表し方の基本は変わりません。小数点以下の数を含む数値を、わかりやすく簡潔に表現する強力な方法です。