【都市政策】おすすめ本ランキング: 最新わかりやすい入門から大学教科書まで

 

都市政策とは

都市政策(Urban Policy)は、都市の計画、管理、発展に関連する政策と戦略を研究する学問分野です。この分野は、都市計画、経済開発、住宅政策、交通システム、環境保全、公共サービスの提供など、都市のさまざまな側面に関わる政策を扱います。具体的には、以下のようなトピックが含まれます。

  1. 都市計画と開発:都市の土地利用、インフラ計画、公共空間の設計など、都市の物理的な構造と機能に関する政策。
  2. 経済政策と開発:都市経済の成長と繁栄を促進するための戦略、例えばビジネスの誘致や雇用創出。
  3. 住宅政策:手頃な住宅の提供、住宅市場の規制、住宅の質の向上など。
  4. 交通とモビリティ:公共交通システム、道路ネットワーク、歩行者や自転車利用者のための施策。
  5. 環境政策:都市の持続可能性、環境保護、公園や緑地の管理。
  6. 社会政策:教育、保健、福祉など、都市に住む人々の生活の質に影響を与える政策。
  7. ガバナンスと公共管理:都市政府の組織、運営、財政政策など。

都市政策は、都市研究、地理学、経済学、政治学、社会学、環境科学など、多様な学問分野と交差しています。この分野の専門家は、データ分析、政策立案、プログラム評価などのスキルを活用して、都市が直面する課題に取り組み、持続可能で公正な都市環境を構築することを目指します。

 

 

都市政策の書籍ランキング

1. 環境都市政策入門: パリ協定下の持続可能なまちづくり
2. 都市構造と都市政策
3. 都市政策 (国際公共政策叢書)
4. 都市経済学<プログレッシブ経済学シリーズ>
5. 都市・地域政策研究の現在
6. 都市居住の社会学:社会調査から読み解く日本の住宅政策
7. 大都市制度をめぐる論点と政策検証
8. 創造都市への展望―都市の文化政策とまちづくり
9. 人口減少×デザインーー地域と日本の大問題を、データとデザイン思考で考える
10. 次世代モビリティ社会を見据えた都市・交通政策
11. 首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル
12. 2015秋から 大阪の都市政策を問う
13. 転換期・名古屋の都市公共政策:リニア到来と大都市の未来像
14. フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか
15. ドイツの空き家問題と都市・住宅政策
16. コロナで都市は変わるか: 欧米からの報告
17. ラストベルト都市の産業と産業政策
18. 森林政策と自治・分権
19. 小説 後藤新平―行革と都市政策の先駆者

 

 

 

 

 

都市政策の書籍概要

環境都市政策入門

 

『環境都市政策入門: パリ協定下の持続可能なまちづくり』は、パリ協定発効後の地球温暖化対策の変化に焦点を当てた書籍です。この本は、環境保全と社会・経済発展の調和を目指し、特にEU内で先進的な都市政策を掲げるスウェーデンを事例として取り上げています。著者は、計画の立案から実施、評価に至る政策過程、さらに計画実現のためのさまざまな政策手法について詳しく解説しています。本書は、低炭素社会の実現に向けた環境都市政策の展開とその成果を示しており、具体的な内容としては以下の章立てで構成されています。

  1. 環境問題と都市政策
    • 持続可能な発展論
    • 都市の持続可能な発展論
    • 対象地域の概観
    • 地球温暖化対策としての土地利用・都市構造の再編
  2. 地球温暖化防止に向けた地域・都市政策と温室効果ガスの排出状況
    • EUにおける環境都市政策関連法制度
    • スウェーデンにおける環境都市政策関連法制度
    • スウェーデンにおける地球温暖化対策
    • スウェーデンにおける温室効果ガスの排出状況

その他、書籍では戦略的環境アセスメントによる地球温暖化対策、政策実施段階での経済的手法による地球温暖化対策、政策アクターから見た地球温暖化対策、地球温暖化対策の政策評価など、多角的な視点から環境都市政策を分析しています。

本書は地球温暖化対策に関心のある研究者、政策立案者、学生、そして一般の読者にとって、パリ協定下での持続可能な都市作りについて理解を深めるための貴重な資料となるでしょう。

 

 

 

都市構造と都市政策

 

『都市構造と都市政策』は、近畿都市学会が編集し、古今書院から発行された書籍です。都市の空間的な存在としての特性を認識し、都市問題への対応や都市政策の実施に際して、都市構造の理解が不可欠であると論じています。都市政策が具体性を持つためには、都市構造を深く理解し、考慮する必要があると強調しています。

本書は大きく3部に分けられています。第1部では、「21世紀の都市構造の諸問題」と題し、都市構造の変容に関する様々な側面(交通、通勤通学流動、都市交通、都市構造の歴史的展望など)を扱っています。第2部は「セクター別の構造と政策」に焦点を当て、住宅市場、商業、都市構造の変化など、異なるセクターにおける構造と政策の関係性について論じています。第3部では「都市構造とまちづくり」をテーマに、GIS(地理情報システム)とまちづくり、市民参加など、都市構造と密接に関連するまちづくりのアプローチについて考察しています。

都市政策 (国際公共政策叢書)

 

『都市政策 (国際公共政策叢書)』は、竹内佐和子氏が著者で、パリ大学法律経済学部客員教授や、フランス国立ポンゼショセ工科大学国際経営大学院副所長など、国際的な経歴を持ち、2004年からは世界銀行アジア太平洋都市開発部門のエコノミストとして活動しました。

本書では、東京丸の内エリアの再開発や中国四川省の開発など、世界各地の都市開発に携わった著者の経験を基に、実践的な都市理論の誕生を提案しています。都市政策における理論と実践の融合を通じて、新しい都市政策論を展開しています。

本都市計画の基本から、契約的手法、民営化手法、病院との連携、中国の都市政策に至るまで、新しい動向を幅広くカバーしているとのことです。また、都市政策が政府中心から市民主体へと移行している現代において、「都市空間を未来価値を生み出す原動力とすること」という都市政策の根幹に焦点を当てています。先進国の都市における文化的先進性との関連性にも言及しており、都市政策の幅を広げる新しい視点を提示しています。

都市経済学<プログレッシブ経済学シリーズ>

 

 

『都市経済学<プログレッシブ経済学シリーズ>』は、金本良嗣氏と藤原徹氏によって著された書籍で、日本の都市問題に焦点を当てた経済分析のテキストです。日本の都市が直面している具体的な政策課題について詳細に分析しています。

本書の目的は、都市経済学の視点から、日本の都市が直面している政策課題にどのようにアプローチできるかを示すことです。そのため、本書では「日本の都市問題」の経済分析に重点が置かれています。初版の発行以来、都市経済学の分野は進歩し、日本の都市の様相や都市政策の重点も大きく変化しました。これらの変化を踏まえ、第2版では内容が大幅に改訂されています。

本書は、土地、建物、交通、住宅、政策、都市規模、財政など、日本の都市が直面している具体的な政策課題を経済学の観点から分析しています。また、都市政策に携わる国や地方自治体の担当者にも有益な付帯的・理論的な視点が提供されているとされています。

本書は日本の都市経済に関心を持つ学生、研究者、政策立案者にとって貴重な情報源となり、現代の日本の都市問題を深く理解し、解決策を模索するための基礎となる知識を提供する書籍となっております。

 

都市・地域政策研究の現在

 

『都市・地域政策研究の現在』は、都市・地域を多角的な視点から捉え、具体的な事例を通じて政策研究の経緯と現状を紹介しています。具体的には、自治体や議会による政策研究、NPOと自治体との協働における課題、新たな学校の開設事例、地域における居場所作り、文化政策などの報告が含まれています。

また、自治体研究所の一例として、新宿区の活動が取り上げられ、実態や思想的考察、人口予測などが紹介されています。さらに、政策に必要なデータ分析に関する話題も取り上げられ、実践の世界と研究の世界との間で橋渡しをし、新たな可能性を模索しています。本書は構想と物語、都市・地域政策研究の現在という二部構成で、地方自治における政策研究の経緯と現在を踏まえつつ、都市・地域の展開図式や都市の物語構造など、多角的な視点からの考察が展開されています。

 

 

 

 

都市居住の社会学:社会調査から読み解く日本の住宅政策

 

『都市居住の社会学:社会調査から読み解く日本の住宅政策』は、大谷信介氏による著作で、戦前から戦後に至るまでの日本の住宅事情と政策の変遷を詳しく解説しています。

本書は、日本社会や産業構造の変化と、それがどのように人々の都市への移動や都市化の過程に影響を与えたかを概観します。加えて、著者は「関西ニュータウン調査」や「西宮マンション調査」など、具体的な調査結果を用いて、これまで社会学の領域で蓄積された社会調査のデータを再検討し、都市居住における問題点や日本の住宅政策の課題について深く探求しています。

 

大都市制度をめぐる論点と政策検証

 

『大都市制度をめぐる論点と政策検証』は、五石敬路編による都市経営研究叢書シリーズの一冊で、本書は、大都市行政における広域化問題やまちづくりの課題に対する多角的な視点と詳細な分析を提供します。都市経営における重要な論点を掘り下げ、新しい大都市制度への道を探る研究成果がまとめられています。

 

創造都市への展望―都市の文化政策とまちづくり

 

『創造都市への展望―都市の文化政策とまちづくり』は、都市を新しい視点で再評価し、文化と産業が融合し活気ある都市を作るための政策や実践を探求する書籍です。都市の文化政策とまちづくりに関する理論と実践が詳細に記されており、創造都市という概念について深く掘り下げています。

この本では、創造都市の基本的な概念、財源の確保、評価指標などの理論的・方法論的な側面を提供しており、札幌、盛岡、仙台、横浜、福岡、北九州など、実際の都市からの具体的な報告が含まれています。

各章では、多様な視点から創造都市に関する議論が展開されています。例えば、文化多様性、創造都市政策における「民間が担う公共」への期待、多文化共生とまちづくり、創造都市の評価指標の設定、さまざまな都市における具体的なまちづくりの事例などが紹介されています。

これらの内容を通じて、読者は創造都市の概念を理解し、都市の持続可能な発展と文化政策の重要性を学ぶことができます。また、理論だけでなく、実際の都市の事例を通して、理論が現実のまちづくりにどのように応用されているかを知ることができます。

 

人口減少×デザインーー地域と日本の大問題を、データとデザイン思考で考える

 

『人口減少×デザイン―地域と日本の大問題を、データとデザイン思考で考える』は、筧裕介による、21世紀の日本が直面する最大の問題の一つである人口減少について、その本質をデザインの力で解き明かし、地域で実践できるアクションを提案する一冊です。この本は、日本の人口減少に関する疑問に答え、人口減少のメカニズムを明らかにし、地域ごとの人口減少の特徴を分析し、人口減少問題への具体的なアプローチを提言しています。特に、デザイン思考を活用して地域ごとの状況に合わせた問題解決の指針を提示しています。

本書の内容は以下の章に分けられています。

  1. 人口減少への16の疑問とキーデータ
  2. 人口減少のメカニズム
  3. 人口減少要因で見る地方自治体5タイプ
  4. 提言:人口減少問題へのアプローチ
  5. 人口減少問題解決の7ステップ。

読者のレビューによれば、この本は人口減少に関する様々な疑問や要素を図や表でわかりやすく示しており、特に人口の将来推計手法に関する部分は実用的です。また、小規模経済の構築や地域愛の構築に関する提言が魅力的であり、地域の仕事を伝えることや、都市市民と地域住民との交流事業など、具体的なアクションに関する提言が含まれています。

全体的に、この本は人口減少という複雑な社会問題に対して、データとデザイン思考を活用してアプローチするための実用的なガイドとして評価されています。

 

次世代モビリティ社会を見据えた都市・交通政策

 

『次世代モビリティ社会を見据えた都市・交通政策: 欧州の統合的公共交通システムと都市デザイン』は、日本都市センターが編集した書籍です。次世代モビリティ社会の実現に向けた都市・交通政策に焦点を当て、特に欧州における統合的な公共交通システムと都市デザインに関する詳細な調査、分析、および提案を含んでいます。

本書は以下の4つの部分で構成されています。

  1. これからのモビリティと欧州各国の都市・交通の特性:都市モビリティの現状と将来展望、欧州各国の都市自治体の基本的特性とそれらの都市・交通政策との関連性について考察します。
  2. 欧州における都市交通を取り巻く社会的背景:モビリティの保障に関する法的理論、持続可能なモビリティ実現に向けた交通計画と都市計画の連携、福祉政策としての公共交通政策、環境政策としての自動車削減と公共交通利用促進について掘り下げます。
  3. 欧州の道路再編を中心とした都市デザイン:道路空間再編の潮流とその背景、歩行者空間整備に関する事例について詳細に記述します。
  4. 充実した公共交通政策を支える制度:公共交通政策を担う主体とその連携、公共交通政策に係る財源・制度について解説します。

本書は、日本国内の都市自治体における地域公共交通政策、土地利用政策などに関する現状の課題、対応策、そして展望についての調査と分析を行い、海外の制度や事例から得られる知見を取り入れています。フランスとドイツにおける調査結果を基に、欧州における総合的な都市・交通政策について紹介し、都市自治体の関係者が今後の取り組みに活用できる参考情報を提供しています。

 

 

 

首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル

 

『首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル』は、戸川和成氏著による都市政策と地域社会の関連性に関する研究をまとめた書籍です。この本は、日本NPO学会から奨励賞を受賞しており、その中で特にソーシャル・キャピタルが都市政策のパフォーマンス改善に与える影響に焦点を当てています。

著者の戸川和成氏は、精緻な実証的データに基づいた力作で知られ、本書は大規模な調査データと多様な分析手法を用いて、これまでソーシャル・キャピタルとローカル・ガバナンス研究に欠けていた体系的な理論的実証分析を提供しています。これにより、都市政策のパフォーマンス改善にソーシャル・キャピタルが果たす役割を明らかにし、定説を覆す重要な内容を含んでいます。

『首都・東京の都市政策とソーシャル・キャピタル』は、都市政策やソーシャル・キャピタルに関心がある研究者や実務家にとって貴重な資料となるでしょう。特に、東京23区のQOL(生活の質)格差の改善方法に関する具体的な提言を含んでおり、政策立案者や地域社会の関係者にとっても参考になる内容が多く含まれています。

 

2015秋から 大阪の都市政策を問う

 

『2015秋から 大阪の都市政策を問う』は、大都市である大阪の都市政策に焦点を当てた書籍です。住民投票後の大阪市の動きや、大阪戦略調整会議の分析を通して、将来の都市政策の提案を行っています。本書は宮本憲一氏をはじめとする複数の著者により執筆されています。

目次は以下の通りです。

  1. 序章 大阪の都市政策を考える 国際的歴史的な教訓から(宮本憲一)
    • 大都市をどう再生させたか(ニューヨーク市の財政危機と住民参加による再生)
    • 戦後大阪政策の検討
    • 維持可能な内発的発展(都市格のある街を)
  2. 1 住民投票から見えたこと(冨田宏治)
    • 賛成票をどう見るか
    • 反対票をどう見るか
    • 浮き彫りになった対抗軸
    • 特殊大阪的現象か
    • 大阪のこれからを展望して
  3. 2 大阪戦略調整会議は「二重行政」解消の役に立つか(梶哲教)
    • 大阪戦略調整会議(大阪会議)の概要
    • 課題としての「二重行政」解消とは
    • 指定都市都道府県調整会議と大阪会議
  4. 3 都市内分権・市民参加と総合区(森裕之)
    • 大都市における市民参加
    • 総合区
    • 大都市における都市内分権の先進例(ニューヨーク市のコミュニティ委員会)
    • 充実した都市内自治のために
  5. 4 大阪府財政の現状と今後の方向性(髙山新)
    • これまでの財政改革
    • 財政改革の帰結
    • これまでの財政再建策の検討
    • 市町村との協働と財政の効率性
  6. 5 カジノで大阪経済は再生できるか(桜田照雄)
    • 橋下市長・松井知事の大阪経済再生プラン
    • 飽和する商業施設
    • カジノは儲かるビジネスなのか
    • 社会的費用を考慮した大阪経済再生プランを
  7. 6 大阪都構想後の課題、一点共闘から新たな自治体建設へ(中山徹)
    • 大阪都構想とは何であったのか
    • 民主主義が問われた住民投票
    • 憲法改正と連動した大阪都構想
    • 一点共闘を持続的な共同に発展させよう
    • 新たな自治体の具体的な政策。

本書は、大阪の都市政策についての深い分析と、将来の方向性についての考察を提供しています。大阪市の財政危機、市民参加、都市内分権、カジノによる経済再生など、多岐にわたるテーマが取り上げられています。大阪都構想に関連する住民投票の結果や、その後の動向についても詳しく分析されています。

 

 

 

 

 

転換期・名古屋の都市公共政策:リニア到来と大都市の未来像

 

『転換期・名古屋の都市公共政策:リニア到来と大都市の未来像』は、三大都市圏の中でも研究蓄積が少ないとされる名古屋大都市圏を対象に、多面的なアプローチを用いて都市問題と公共政策の現状及び課題を網羅的に解説した書籍です。

この書籍では、地域コミュニティや多文化共生など、現代都市が直面する多様な課題を深掘りしています。具体的には、身近な地域コミュニティを考えること、都市のコミュニティの現況、転換期にある都市の地域コミュニティ、名古屋市における地域コミュニティの動向、コミュニティ政策の今後の展望などが紹介されています。また、多文化共生に必要な理由、日本の多文化共生政策、外国人との共生を目指して、名古屋における多文化共生政策の仕組み、目指すべき社会像についても掘り下げています。

また、本書では、公共政策の対象としての都市問題についても議論しています。序章では都市公共政策を拓くこと、都市を考えること、都市公共政策を学ぶこと、本書の目的と構成について解説しています。第1章では都市公共政策の課題と都市政治に焦点を当て、公共政策とは何か、公共政策の対象としての都市問題について考察しています。

この書籍を通して、読者は名古屋大都市圏の現状を理解し、都市政策の現場でどのような展開がなされているのかを学ぶことができるでしょう。また、名古屋市の行政や都市行政に関する深い洞察も得られると期待されます。

 

 

 

 

 

フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか

 

『フランスの地方都市にはなぜシャッター通りがないのか: 交通・商業・都市政策を読み解く』は、ヴァンソン藤井由実氏と宇都宮浄人氏によって書かれた本で、フランスの地方都市の中心市街地がなぜ活気に溢れ、魅力的であるのかを探求しています。日本と同じようにクルマ社会でありながら、郊外に巨大なショッピングモールが存在するにもかかわらず、フランスの地方都市は活気があります。本書では、「駐車場と化した広場」から「歩いて楽しいまちなか」へと変化した背景に焦点を当て、歩行者優先の交通政策、中心市街地と郊外を共存させる商業政策、スプロール現象を防ぐ都市政策を詳しく読み解いています。

章立ては以下のようになっています。

  1. 日本とフランス、地方都市の今
  2. 「賑わう地方都市のまちなか」ができるまで
  3. 「歩いて暮らせるまち」を実現する交通政策

また、交通政策の中では、歩行者優先のまちづくり、自転車政策、バスの活用、トラムとトラムトレインの導入、都市とクルマ、都市交通計画を支えるしくみなどが詳細に説明されています。

 

ドイツの空き家問題と都市・住宅政策

 

『ドイツの空き家問題と都市・住宅政策』という本は、都市計画や総合的な住宅政策、集合住宅対策、法的なツール、民間主導のエリアマネジメントに関する取り組みに焦点を当てた報告書です。この本は、日本都市センターが実施した「都市自治体における空き家対策に関する調査研究」に基づいており、空き家の発生要因や空き家の増加に伴う問題、自治体による対策とその課題について詳細に検討されています。また、ドイツでの空き家問題への対策や取り組みについての現地調査に基づく成果も含まれています。

本書は以下の4部構成です。

  1. 序論:空き家問題をめぐる日独の視点の違い
    • 著者: 石川義憲(日本都市センター理事・研究室長)
  2. 部:ドイツの空き家問題をめぐる状況
    • 第1章:ドイツの都市・住宅政策と空き家対策(著者: 石川義憲)
    • 第2章:空き家対策関係法令とその経緯(著者: 石川義憲)
  3. 考察
    • 第1章:ドイツにおける空き家政策(著者: 室田昌子、東京都市大学環境学部教授)
    • 第2章:ドイツにおける空き店舗対策 – BID(Business Improvement District)に着目して(著者: 室田昌子)
    • 第3章:ハンブルク市のHIDを活用した大規模集合住宅団地の再生の試み(著者: 太田尚孝、兵庫県立大学環境人間学部准教授)
  4. 部:訪問調査
    • BBSR(連邦建設都市国土研究所)、NRW州建設住宅都市整備交通省、ブレーマーハーフェン市、ヴッパータール市の訪問記録。

この報告書は、空き家問題とそれに関連する都市・住宅政策についての詳細な分析と、ドイツでの具体的な取り組みや対策を紹介しています。また、都市自治体の関係者にとって、今後の取り組みにおける参考になる情報を提供しています。

 

コロナで都市は変わるか: 欧米からの報告

 

『コロナで都市は変わるか: 欧米からの報告』は、新型コロナウイルスの流行が都市構造に及ぼした短期的および中長期的な影響について分析した本です。著者は矢作弘、阿部大輔、服部圭郎、ジアンカルロ・コッテーラ、マグダ・ボルゾーニです。この本では、コロナ後の都市計画・政策に関する重要な論点が提示されており、高密度巨大都市、人と人の交流空間、公共交通などの将来について、在宅勤務の推進や郊外生活の採用などの方策が考察されています。また、ロックダウンから半年後の欧米で行われた議論や施策を振り返り、アフターコロナ時代の都市づくりについての論点が提示されています。

 

 

ラストベルト都市の産業と産業政策

 

『ラストベルト都市の産業と産業政策』は、太田耕史郎による著作で、アメリカ合衆国中西部に位置する7つの都市―デトロイト、ピッツバーグ、ミネアポリス/セントポール、シカゴ、クリーブランド、コロンバス、シンシナティ―を題材にしています。これらの都市は産業構造の変化や都市の再開発を通じて企業や人材の維持・誘致を積極的に行い、衰退からの脱却と地域産業政策の重要性を示しています。

書籍の構成は以下の通りです:

  1. 序論 – 本書の視点を説明し、地域産業政策、エコシステム、繁栄の遺産、日本の進出企業について詳述します。
  2. 1章:米国中西部の概観 – 米国中西部の定義、発展と衰退の歴史、要因、大学の役割、大企業、繁栄の遺産に焦点を当てます。
  3. 2章:デトロイト – ラストベルト都市の代表例として、デトロイトの主要産業、都市と産業の発展・衰退、衰退の原因、最近の動向を分析します。
  4. 3章:ピッツバーグ – 新産業育成による都市再生の事例として、ピッツバーグの主要産業、大学と新産業、狭義の産業政策、都市の再開発、慈善活動について考察します。
  5. 4章:ミネアポリス/セントポール – 産業多様化と生活環境整備による都市発展の事例として、これらの都市の発展に寄与した要因を分析します。
  6. 5章:クリーブランド、シンシナティ、コロンバス – オハイオ州の3都市の事例として、伝統的に製造業への依存が高いこれらの都市における発展の事例を提示します。
  7. 6章:シカゴ – 観光産業振興などによる都市発展の事例として、シカゴの発展に寄与した要因を探ります。
  8. 7章:まとめ – 地域産業政策への示唆を提供し、本書全体を通じての結論をまとめます。

この書籍は、地域産業政策の重要性と、衰退からの脱却を果たしたアメリカの中西部都市の具体的な事例を通じて、地方都市の発展に関する貴重な洞察を提供しています。

 

 

 

 

森林政策と自治・分権

 

『森林政策と自治・分権 ―「連携」と「人材」の視点から―』は、公益財団法人日本都市センターが発行した報告書で、森林政策と地方自治体の役割について深く掘り下げています。この報告書は、日本の森林政策に関する現状と課題、地方自治体の森林に関する取り組み、そしてそれらに必要な人材育成について包括的に論じています。

報告書は以下の章で構成されています:

  1. 自治体森林政策の現状と課題〜自治・分権から見た問題状況〜
    • 国際基督教大学教養学部特任教授 西尾 隆による。
  2. 都市・山村連携と自治体の役割
    • 高崎経済大学地域政策学部教授 西野 寿章による。
  3. 市・県・森林組合の相補関係に基づく自治体林政の体制づくり
    • 北海学園大学経済学部教授 早尻 正宏による。
  4. 豊田市における森づくり施策の展開
    • 豊田市産業部農林振興室森林課担当長 小山 剛による。
  5. 自治体における森林行政の実践と展望 秩父市・横瀬町・高山市・真庭市・宇和島市の事例から
    • 日本都市センター研究員 田中 洸次による。
  6. 市町村が目指すべき森林政策とそれを担う人材
    • 造林技術研究所代表 横井 秀一による。
  7. 終章 自治体森林政策の方向性
    • 国際基督教大学教養学部特任教授 西尾 隆による。

この報告書では、日本国内の森林政策における問題点や市町村への影響、森林経営管理制度や森林環境譲与税への対応、地域に資する林業支援、市町村と森林所有者や森林組合との関係や役割分担のあり方など、多岐にわたるテーマが扱われています。さらに、森林政策に必要な専門性の確保方法や職員の人材育成についても議論されており、自治体が地域の森林に対して実施すべき政策の自律的な選択と実行、政策プロセスにおける関係機関との連携の重要性についての洞察を提供しています。

 

小説 後藤新平―行革と都市政策の先駆者

 

『小説 後藤新平―行革と都市政策の先駆者』は、郷仙太郎氏著の作品で、後藤新平の生涯と彼が成し遂げた業績を描いています。本書は東北の没落した平民の出身である後藤新平が、医師や行政マンとしてのキャリアを経て、台湾や満鉄での経営、東京市の大改革、関東大震災からの復興など、彼が行った数多くの改革や政策立案を通じて、日本の近代化に大きな影響を与えた様子を描いています。本書では、後藤新平がいかに大胆な先見性を持ち、新しい政策を次々に打ち立て、行革を断行していったか、そして彼の生涯が無私と実行力に貫かれていたことを生き生きと伝えています。