関数とグラフ – 経済学の数学入門(経済数学)

線形関数のグラフ

年間売上高のようなデータを示すグラフに馴染みがあります。例えば、2020年の売上高を知りたい場合、横軸で2020年を探し、そこから垂直に上に移動して売上のラインに達し、縦軸で対応する数値を読み取ります。このようなグラフは、データの視覚的な表現として有用ですが、厳密には関数のグラフではありません。売上は「時間」という単一の変数によってのみ決定されるわけではないからです。

 

 

 

数学的には関数は、「デカルト座標軸」にマッピングされ、変数\(x\)は横軸上に、変数\(y\)は縦軸上に等間隔で表示されます。理論上、デカルト座標軸は\(+\infty\)から\(-\infty\)までの無限の範囲を持ちます。

 

 

 

グラフ上の任意の点は、\(x\)軸と\(y\)軸上の値によって定義される「座標」を持ちます。例えば、点Aの座標を\(x\)軸まで垂直に、\(y\)軸まで水平に線を引いて見つけることができます。

 

こちらのグラフは、\(x\)軸と\(y\)軸上の任意の点を定義する「座標」の概念を示しています。例として、点Aは座標(3,2)に位置しており、これは\(x\)軸から3の位置、\(y\)軸から2の位置にあることを意味します。点Aから\(x\)軸まで垂直に、\(y\)軸まで水平に引かれた破線は、この点の座標を見つける方法を視覚的に説明しています。

 

 

2次元グラフでは、一方の軸が従属変数、もう一方が独立変数を表します。これにより、1つの独立変数に対する関数のみが示されます。

 

 

例1

次に新しい関数\[ y = 2 {-} 0.79x \]を考えてみましょう。この式において、異なる\(x\)の値に基づいて\(y\)を計算すると、次の結果が得られます:

– \(x = 0\)の場合、\(y = 2 {-} 0.79 \times 0 = 2\)となります。これは、\(x\)が0のとき、\(y\)の値が2であることを意味します。
– \(x = 10\)の場合、\(y = 2 {-} 0.79 \times 10 = 2 {-} 7.9 = -5.9\)となります。ここで、\(x\)が10増加すると、\(y\)は-5.9になり、\(y\)の値が減少していることがわかります。
– \(x = 20\)の場合、\(y = 2 {-} 0.79 \times 20 = 2 {-} 15.8 = -13.8\)となります。このとき、\(x\)がさらに10増加すると、\(y\)の値はさらに減少して-13.8になります。

この関数の形\[ y = a + bx \]は、直線のグラフを表します。ここで、\(a\)は\(y\)切片(\(x\)が0のときの\(y\)の値)を、\(b\)は直線の傾き(\(x\)が1単位増加するたびに\(y\)がどれだけ変化するか)を示します。この場合、\(b = -0.79\)は、\(x\)が1増加するごとに\(y\)が0.79減少することを意味します。つまり、この直線は下降していくことを示しており、\(b\)の値が負であるため、\(x\)が増加するにつれて\(y\)は減少します。このように、\(b\)の値によって、関数のグラフが上がるのか下がるのかが決まり、関数の増加率や減少率を決定します。

 

これらの点をプロットすると、点が直線上に位置することがわかります。関数の残りの部分は、プロットされた点を通る直線を引くことで示されます。

 

上記のグラフは、関数\[ y = 2 {-} 0.79x \]を表しています。\(x\)の値が増加するにつれて、\(y\)の値が減少していく様子が視覚的に示されています。この直線の傾きは負であるため、グラフは右下がりになっています。これは、\(x\)が1単位増加するごとに\(y\)が0.79だけ減少することを表しています。

 

 

例2

線形需要関数の理解と逆関数の導出

 

経済学における線形需要関数とは、商品の価格とその商品が売れる量(需要量)との関係を表す数学式です。簡単に言えば、商品の価格が変わると売れる量がどのように変化するかを示します。

例えば、商品の価格が¥30,000の時に300ユニット売れ、価格が¥50,000の時に200ユニット売れたとします。これらの情報を基に、他の価格でどれくらい売れるかを予測できる需要関数を見つけ出すことができます。

 

 

この2つの情報から、次の2つの方程式を作成します。
\[
\begin{align*}
\text{価格が¥30,000のとき} & \quad \text{数量は300ユニットで、} & \quad 30{,}000 = a {-} 300b, \\
\text{価格が¥50,000のとき} & \quad \text{数量は200ユニットで、} & \quad 50{,}000 = a {-} 200b.
\end{align*}
\]

 

 

 

これらの方程式を解くことで、\(a\)と\(b\)、つまり需要関数のパラメータを求めることができます。この場合、\(a\)は商品が全く売れない場合(数量が0の場合)の理論上の価格、\(b\)は価格が1ユニット下がると需要量がどれだけ増えるかを示します。

 

 

解を求めると、\(a = 90{,}000\) と \(b = 200\) を得ます。したがって、この商品の需要関数は次のように表されます。

\[
P = 90{,}000 {-} 200Q.
\]

この関数を使って、例えば価格が¥35,000のときの需要量を予測することができます。

\[
Q = 600 {-} 5P = 600 {-} 5 \times 35{,}000 = 275.
\]

 

 

つまり、価格が¥35,000の場合、予測される需要量は約275ユニットとなります。この方法を用いることで、異なる価格での需要量をより正確に予測できます。