基礎数学 – 統計数理基礎 – ベイズの定理(演習1)

問題:

ある都市で、特定の病気の発生率は1%です(つまり、この都市の人口の1%がその病気に感染しています)。この病気を検出するための検査は、95%の確率で感染している人に対して陽性を示し、97%の確率で感染していない人に対して陰性を示します。

ある人がこの検査を受け、結果が陽性であった場合、実際にその人がこの病気に感染している確率は何%ですか?

 

 

 

 

 

 

解答:

1. 病気の発生率(P(A)):これは、特定の病気に感染している確率です。問題では1%、つまり0.01と与えられています。
2. 検査の感度(P(B|A)):病気に感染している人が検査で陽性となる確率です。この問題では95%、つまり0.95です。
3. 検査の特異度の補数(P(B|not A)):病気でない人が検査で陽性となる確率です。特異度が97%(0.97)なので、これの補数(1 – 0.97 = 0.03)が該当します。
4. 陽性である確率(P(B)):これは、誰かが検査で陽性となる確率です。これは検査の感度と特異度、そして病気の発生率を考慮して計算されます。

ベイズの定理は以下のようになります。

\[ P(A|B) = \frac{P(B|A) \times P(A)}{P(B)} \]

ここで、
– \( P(A|B) \) は、検査結果が陽性である場合に実際に病気である確率です。
– \( P(B|A) \) は、病気である場合に検査結果が陽性である確率(感度)です。
– \( P(A) \) は、病気の発生率です。
– \( P(B) \) は、陽性である確率で、以下のように計算されます:\[ P(B) = P(B|A) \times P(A) + P(B|not A) \times P(not A) \]

この問題の場合、以下のように計算できます。

\[ P(B) = 0.95 \times 0.01 + 0.03 \times 0.99 = 0.0095 + 0.0297 = 0.0392 \]

そして、ベイズの定理により、

\[ P(A|B) = \frac{0.95 \times 0.01}{0.0392} \approx 0.2423 \]

つまり、検査結果が陽性であった場合、その人が実際に病気である確率は約24.23%です。

この問題は、病気の発生率が低い場合、たとえ検査の感度が高くても、陽性の結果が実際に病気であることを確実に示すわけではないことを示しています。これは医療分野での診断において非常に重要な原則です。