「効用最大化条件」について、その導出の流れを詳しく説明します。
ステップ 1: 効用関数と予算制約
消費者の効用を最大化する問題を考えます。消費者が選べる商品が二つあり、それぞれを $x$ と $y$ とします。消費者の効用はこれらの商品の消費量に依存する効用関数 $U(x, y)$ で表されます。消費者は予算 $M$ があり、商品 $x$ と $y$ の価格がそれぞれ $P_x$ と $P_y$ のとき、次の予算制約が成立します。
\[ P_x x + P_y y = M \]
ステップ 2: ラグランジュの未定乗数法
効用を最大化するために、ラグランジュの未定乗数法を使います。ラグランジュ関数 $L$ を次のように設定します。
\[ L(x, y, \lambda) = U(x, y) – \lambda (P_x x + P_y y – M) \]
ここで $\lambda$ はラグランジュ乗数です。
ステップ 3: 一階条件
$L$ を $x$、$y$、$\lambda$ に関して偏微分し、それぞれの偏導関数を 0 に等しく設定します。
\[ \frac{\partial L}{\partial x} = \frac{\partial U}{\partial x} – \lambda P_x = 0 \] \[ \frac{\partial L}{\partial y} = \frac{\partial U}{\partial y} – \lambda P_y = 0 \] \[ \frac{\partial L}{\partial \lambda} = P_x x + P_y y – M = 0 \]
ステップ 4: 効用最大化条件の導出
上記の一階条件から $\lambda$ を解きます。
\[ \lambda = \frac{\partial U / \partial x}{P_x} = \frac{\partial U / \partial y}{P_y} \]
これを利用して以下を導きます。
\[ \frac{\partial U / \partial x}{\partial U / \partial y} = \frac{P_x}{P_y} \]
この式は、商品 $x$ と $y$ の限界効用の比率がそれぞれの価格の比率に等しいことを意味しており、消費者が予算制約の下で最も効用を高める消費計画を選択するための条件となります。これが効用最大化の条件であり、この条件によって、消費者は限られた予算内で最も幸福を感じる消費バスケットを選択することができます。