【教育経済学】おすすめ本(入門,大学学部,大学院での教科書,参考書ランキング)

 

 

直近では『概説 教育経済学』 松塚ゆかり 著と『教育投資の経済学』 佐野晋平 著が新しく出ました。

両書籍は人的資本論に触れており、教育が労働市場や経済発展に与える影響を理論的かつ実証的に解析している点で共通しています。また、教育の社会的および経済的リターンについても、両書籍はその効果を広範に探求しています。

しかしながら、両者のアプローチには明確な違いがあります。松塚の書籍は教育経済学の広範なテーマにわたり、その歴史的展開や理論的枠組みに深く踏み込んでいます。これに対して、佐野の書籍は現代の日本における教育投資とその経済的効果に焦点を当て、データ分析とエビデンスに基づいたアプローチを強調しています。

特に、松塚の書籍では教育の国際化に関して詳しく掘り下げ、留学生の動向や国際市場での教育の経済効果などを分析しています。これはグローバルな教育の動向とその経済学的意義を理解するためのものです。一方、佐野の書籍では主に日本国内の教育政策とその経済的影響に注目し、国際化の側面はあまり取り上げられていません。

また、松塚の書籍は理論と実証のバランスを取りつつ教育経済学の広い範囲を網羅していますが、佐野の書籍は具体的なデータと事例に基づいた実証分析を中心に、教育の投資リターンや政策の効果を詳細に評価しています。これらの違いは、それぞれの書籍が対象とする読者層や、提供する情報の種類にも影響を与えています。

 

 

教育経済学書籍一覧

 

 

 

 

 

 

 

『概説 教育経済学』 松塚ゆかり 著

 

 

内容概要:

この書籍は教育経済学の歴史的展開をカバーし、教育の投資価値、学び直し、国際化、格差問題に対して学術的なアプローチを提供します。現代社会の多様な課題に対する教育の役割とその経済的効果を探求しています。

 

 

目次
はじめに
図表の出所、参照文献の著者名表記等に関する注記
________________________

第1章 教育経済学とは
________________________

1 教育経済学とは

1-1 教育経済学の定義
1-2 アダム・スミスによる教育の資本形成
1-3 準公共財としての教育

【目次を確認する】

目次
はじめに
図表の出所、参照文献の著者名表記等に関する注記
________________________

第1章 教育経済学とは
________________________

1 教育経済学とは

1-1 教育経済学の定義
1-2 アダム・スミスによる教育の資本形成
1-3 準公共財としての教育

2 教育経済学発展の経緯

2-1 教育経済学発展のプロローグと四つのコーナーストーン
2-2 貧困との戦い
2-3 危機に立つ国家
2-4 スキル偏向的技術進歩
2-5 知識基盤経済・社会
2-6 学際的学問としての教育経済学

3 教育経済学のテーマ

3-1 教育の効果
3-2 教育と労働市場
3-3 教育管理と学校運営
3-4 教育の機会と選択
3-5 教育の国際化
3-6 教育財政

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第2章 教育の効果
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1 教育の効果分析の枠組み

2 教育の経済効果はいかにして明らかになったか

2-1 成長会計における「残差」から教育の効果へ
2-2 生産関数による教育効果の推計
2-3 教育の経済発展への効果

3 教育の効果をもたらす要因
3-1 教育成果の要因分析
3-2 教育の生産関数

4 教育への資源配分と教育内の資源配分

4-1 教育への資源配分
4-2 教育内の資源配分
4-3 コールマン・レポート
4-4 定量分析から政策策定につなげるリスク

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第3章 教育と労働市場1:人的資本論
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1 人的資本の役割と意義

1-1 人的資本論とは
1-2 人的資本論発展の背景
1-3 人的資本論に関わる研究

2 人的資本論の基本概念

2-1 就学年数はなぜ増えるのか
2-2 教育と初任給との関係
2-3 教育と生涯賃金との関係

3 人的資本の推計方法と推計結果

3-1 推計方法:教育の経済効果の測定モデル
3-2 人的資本の推計結果
3-3 人的資本推計の可能性と留意点

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第4章 教育と労働市場2:人的資本論で説明できないこと
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1 人的資本論への疑問と反論

1-1 教育と経済成長の因果関係
1-2 教育の効果測定の可能性
1-3 教育と賃金との不整合性
1-4 初任給に反映されない学びの実質
1-5 学歴で説明できない生産性
1-6 教育量と労働市場のニーズの乖離

2 アルファ要因による効果

2-1 アルファ要因とは
2-2 代理変数を用いたアルファ要因の認識方法
2-3 一卵性多胎児の研究

3 シグナリング効果

3-1 シグナリング理論と情報の非対称性
3-2 シグナリングのメカニズム
3-3 人的資本論とシグナリング理論

4 教育過剰

4-1 教育過剰とは
4-2 なぜ教育過剰が起きるのか
4-3 教育過剰はどのようなかたちで表れるか
4-4 教育過剰で何が問題なのか

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第5章 教育と労働市場3:学校教育後の技能形成
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1 訓練と生産性と賃金

1-1 就学年数と賃金カーブ
1-2 生産性と賃金と雇用の継続性

2 技能種と訓練費用負担と転職

2-1 一般的技能と企業特殊型技能
2-2 ベッカーの理論モデル
2-3 一般的訓練の費用は誰が支払うのか
2-4 企業特殊型訓練の費用は誰が支払うのか
2-5 企業特殊型訓練が示唆すること
2-6 ベッカーモデルの日本への適用

3 外生的(環境的)要因の技能需給への影響

3-1 コーホート効果とスキル需給バランス
3-2 産業構造の変化が与える影響

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第6章 教育費の負担構造と教育における政府の役割
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1 教育費の負担者と負担の理由

1-1 教育費負担者と負担の流れ
1-2 教育費負担の理由

2 教育への公的関与の理由

2-1 教育費政府負担の理由
2-2 教育の外部性
2-3 外部性の実証
2-4 教育の社会的利益を考える枠組み

3 教育への公的関与の問題

3-1 教育は経済発展をもたらすのか
3-2 教育の外部性に政府の関与は必要か
3-3 学校教育は国民共通の価値形成の場か
3-4 政府主導による教育機会の向上は経済的・
社会的公平性をもたらしたか
3-5 公共財の供給と運営の分離

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第7章 教育の民営化
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1 教育の民営化とは

1-1 各国の教育民営化
1-2 教育経済学による教育民営化の研究

2 教育民営化の経緯

2-1 政府主導への批判から民営化の要請へ
2-2 フリードマンから始まった民営化論争
2-3 ウエストによって具体化する民営化の論理
2-4 私立学校就学率と教育費民間負担の動向

3 民営化の実際と方法

3-1 バウチャー制度
3-2 チャーター・スクール
3-3 マグネット・スクール

4 日本における教育の民営化

4-1 私立学校在籍者数の推移
4-2 民営化の政策と実践
4-3 学校選択制への反応

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第8章 学校選択と教育機会の平等と公平
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1 なぜ「選択の機会」を望むのか

2 学校選択に対する賛否

2-1 教育の効果、効率、平等・公平を評価軸とした賛否両論

3 学校選択制の効果検証

3-1 実証研究の試み
3-2 バウチャー効果検証の理論的枠組み
3-3 今後の課題

4 学校教育機会の平等と公平

4-1 平等と公平
4-2 水平的公平と垂直的公平
4-3 公平性と効率性
4-4 アクセス(Access)と参加(Participation)

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第9章 ジェンダーをめぐる課題と教育経済学
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1 就労状況と賃金統計から見た男女間格差

1-1 増加する日本の働く女性
1-2 続く男女間賃金格差

2 ジェンダー格差をめぐる経済学理論

2-1 賃金格差検証の枠組み
2-2 差別の経済学

3 日本女性のキャリア中断と格差

3-1 勤続年数と職位の効果
3-2 キャリア中断の実態

4 格差に対応する職業と教育

4-1 勤続年数が長く、給与が高めの職業
4-2 勤続年数が短くても、給与が高めの職業
4-3 女性にとって就業年数が長く給与が高い職業の教育レヴェル
4-4 高等教育機関がなし得ること

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第10章 「学び直し」の経済学
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1 「学び直し」の諸形態

1-1 生涯学習
1-2 成人学習
1-3 継続学習
1-4 リカレント学習

2 「学び直し」の経済学理論と方策

2-1 「学び直し」を説明する経済学理論
2-2 「学び直し」をめぐる世界的政策と動向
2-3 日本での政策動向

3 労働市場の構造的変化と「学び直し」のゆくえ

3-1 労働市場の流動化
3-2 「学び直し」のための資源:情報と場所

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第11章 教育の国際化
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1 教育の国際化の現状:留学生数に焦点をあてて

1-1 世界の状況
1-2 日本の状況
1-3 なぜ留学するのか

2 自己選択に基づく学生と人材の国際移動と経済効果

2-1 留学と人材移動の経済効果を説明する理論

3 国際市場における教育の経済効果

3-1 期待は成果へとつながっているのか
3-2 留学の効果の実証性

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第12章 これからの教育経済学――まとめにかえて
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1 人的資本論再考:場所も時間も超えて

1-1 投資国と回収国の乖離
1-2 教育の社会的便益の確認
1-3 社会的効果のシミュレーション
1-4 結果の考察

2 国際化のなかの教育費用負担:変わる人的資本投資の分担

2-1 個人による教育費・留学費負担の現状
2-2 大学による積極的かつ自律的な取り組み
2-3 期待される政府の機能

3 教育の国際化を支える財政

3-1 所得連動返済型学資ローン
3-2 日本の所得連動返還型奨学金制度の概要

4 まとめにかえて
おわりに

事項索引
人名索引

 

 

 

『教育投資の経済学』 佐野晋平 著

 

内容概要:

この書籍はエビデンスに基づく教育投資の分析を行い、家庭や学校の教育投資、教育制度の設計、教育の社会的・経済的リターンに焦点を当てています。特に、日本における教育の現状とその影響を多角的に検証しています。

 

目次

教育投資の経済学 目次
はじめに
第1章 教育への投資のリターン
1 人的資本理論
大学進学の便益
大学進学のコスト
大学に行くか行かないか
状況が変わると行動は変わる大学進学への投資モデルの示唆と留意点
2 人的資本とシグナリング
大卒高卒賃金差のもう1つの見方:シグナリング
シグナリング理論のメカニズム
シグナリング理論からわかること人的資本理論と似て非なるもの?
3 教育のリターンを計測する方法
教育のリターンを計測することの重要性
素朴な比較では真の効果はわからない
教育のリターンのエビデンス
いくつかの展開
お金だけではない影響

【目次を確認する】

目次
教育投資の経済学 目次
はじめに
第1章 教育への投資のリターン
1 人的資本理論
大学進学の便益
大学進学のコスト
大学に行くか行かないか
状況が変わると行動は変わる大学進学への投資モデルの示唆と留意点
2 人的資本とシグナリング
大卒高卒賃金差のもう1つの見方:シグナリング
シグナリング理論のメカニズム
シグナリング理論からわかること人的資本理論と似て非なるもの?
3 教育のリターンを計測する方法
教育のリターンを計測することの重要性
素朴な比較では真の効果はわからない
教育のリターンのエビデンス
いくつかの展開
お金だけではない影響
4 認知スキルと非認知スキル
人的資本とスキルの関係
認知スキルと非認知スキルの指標
スキルの労働市場での評価
スキル形成の重要性

第2章 スキル形成のための学校と家庭の役割
1教育の生産関数という枠組み
スキル形成と学校教育の関係
教育の生産関数とは教育データの重要性
2 スキル形成における家庭の役割

家庭資源のインプット:家計所得・資産家庭資源のインプット:時間・しつけ
家庭資源のインプット:外部資源
家庭資源のインプットと学校資源の相互関係
3 経済格差と教育格差
経済格差と教育格差のつながり子どもの貧困と教育格差
出生時点から影響
世代を通した連鎖
4政策やショックとの関係
現金給付の効果と児童手当
コロナ禍による影響

第3章 学校の仕組みを経済学で考える
1学級規模(クラスサイズ)
クラスサイズ縮小の是非
効果検証は容易ではない
効果の検証方法
エビデンスの紹介
残された論点
2 ピア効果
仲間は重要
ピア効果を考える意味
ピア効果の計測は難しい
エビデンスの紹介
3 先生の重要性
学校資源インプットとしての教員の役割
教員の質の計測
教員の質は何で決まるのか
労働市場における参加者としての教員
教員の労働市場を考える枠組み
職業選択としての教員
女性の職業選択と教員
教員の長時間労働
教員を取り巻く政策の変化

第4章 様々な教育政策の評価

1ゆとり教育学習指導要領と授業時間
授業時間はなぜ重要
授業時間の変化に関するエビデンス
カリキュラムの影響
2 学校間競争
学校間競争と公的教育学校間競争を促す仕組み
なぜ学校間競争が教育の質を変化させるのか
学校間競争のエビデンス
学校の質向上の他の影響
3獎学金
奨学金に関する統計
奨学金の経済学的論点
喫学金の効果に関するエビデンス
奥学金の返済と所得連動型製学金
4試験
試験に関する国際比較統計
試験の経済学的論点
試験の経済分析:エビデンス
入試改革への示唆

第5章 社会の変化への対応と教育
1 日本経済の現状と課題
長期的な経済成長率の鈍化
少子高齢化問題
日本経済の課題と本章の内容との関連
2 技術革新(ICT、AI)と労働市場と教育技術と生活と仕事
技術革新と仕事の複雑な関係
教育は技術の変化とどのように向き合うか
3 教育におけるジェンダーの問題
日本のジェンダーギャップは大きい