教育政策のおすすめ本ランキング: 最新わかりやすい入門書籍から大学教科書まで

現代の教育政策とは?

教育政策とは、政府や教育機関が教育の質や機会を改善し、社会全体の教育レベルを向上させるために策定する方針や施策のことを指します。以下に、一般的な教育政策の主な概要を示します。

まず、教育政策の重要な目的の一つは、教育アクセスの拡大です。これには、全ての子どもが平等に教育を受けられるようにするための施策が含まれます。具体的には、義務教育の無償化や学校建設の推進、貧困地域への奨学金制度の導入などが挙げられます。これにより、経済的な理由で教育を受けられない子どもたちに対しても教育の機会が提供されます。

次に、教育の質の向上も教育政策の重要な側面です。これは、教師の質の向上やカリキュラムの改善、教育資源の充実などを通じて実現されます。例えば、教師の研修プログラムを強化し、最新の教育技術や教授法を導入することで、教師の指導能力を向上させることができます。また、カリキュラムの改善により、学生が現代社会で必要とされる知識や技能を身につけることができるようになります。

さらに、教育政策は、教育の公平性を確保することも目指しています。これは、障害を持つ子どもや少数民族の子どもたちに対しても平等な教育機会を提供するための施策を含みます。インクルーシブ教育の推進や、特別支援教育の充実などがその例です。

また、教育政策は、教育と労働市場の連携を強化することも重要視しています。これは、学生が卒業後にスムーズに就職できるようにするための施策であり、職業教育や訓練プログラムの充実、インターンシップやキャリアカウンセリングの導入などが含まれます。

最後に、教育政策は、グローバルな視点からの教育改革も含みます。これは、国際的な教育基準に合わせたカリキュラムの導入や、留学制度の拡充、外国語教育の強化などを通じて、学生が国際社会で活躍できるようにするための施策です。

以上が、教育政策の主な概要です。教育政策は、社会の発展と個々人の成長に大きな影響を与えるため、慎重かつ効果的に策定・実施されることが求められます。

 

教育政策の書籍概要

教育政策・行政の考え方 (有斐閣ストゥディア)

 

『教育政策・行政の考え方』(有斐閣ストゥディア)は、教育政策と行政に関する新しいアプローチを提示する教科書です。

本書の特徴は、単に個別の教育政策領域や組織に焦点を当てるのではなく、理論的な概念や政策選択の対立軸に基づいて章が構成されている点です。これにより、教育に関する法制度や政策の解説を超え、政策選択がもたらす具体的な結果や帰結に関する実証研究を紹介しています。

また、教育が個人のためのものなのか、それとも社会のためのものなのかといった、教育政策における価値や規範の対立軸についても考察しています。

書籍の構成:

・価値の選択(自由と規制、量的拡充と質的拡充、投資としての教育と福祉としての教育、選抜と育成、教育における自由と平等、投入と成果)

・価値の実現(事前統制と事後統制、権力の集中と分散、集権と分権、統合と分立、民主性と専門性、個別行政と総合行政)

今後の学習のための視座:

・教育行政学を学ぶ学生や、教育政策に関心のある読者にとって、理論と実践の両面からの理解を深めるための有用なリソースとなるでしょう。

 

 

日本国民をつくった教育:寺子屋からGHQの占領教育政策まで

 

『日本国民をつくった教育: 寺子屋からGHQの占領教育政策まで』は、日本の教育の歴史を寺子屋の時代からGHQ(連合国軍最高司令部)の占領教育政策までを扱った本です。この本では、江戸時代の寺子屋、藩校、私塾などの教育の場で蓄積された教育遺産が詳細に説明されています。また、明治維新後の「国民教育」の導入や、敗戦後の占領下での教育政策を通じて、現代の日本人がどのように形成されたのかを探求しています。

 

この本は、日本の教育がどのように変化し、現代の形になったかを理解するための重要な資料であり、教育の歴史に興味がある方には特に有益な内容となっています。特に、江戸時代から現代に至るまでの教育の変遷を通じて、日本の社会や文化の変化を見ることができる点が特徴です。

 

教育政策をめぐるエビデンス: 学力格差・学級規模・教師多忙とデータサイエンス

 

『教育政策をめぐるエビデンス: 学力格差・学級規模・教師多忙とデータサイエンス』は、教育政策におけるエビデンスの重要性とその活用についての深い議論を展開しています。この本の著者である中西啓喜准教授は、桃山学院大学の社会学部で教鞭を取り、教育社会学の専門家です。中西教授は、教育政策の議論において量的なエビデンスに基づくアプローチの重要性を強調しつつ、教育の規範や道徳を前提とした政策設計の必要性にも言及しています。

本書は、教育研究におけるエビデンスの定義と範囲、エビデンスの利用方法、そして政策的意思決定の実際について掘り下げています。特に、エビデンスとして狭く定義される自然科学の実験結果のみに依存することの問題点や、厳密な科学的手続きによって得られるエビデンスが学校教育に必ずしも有益であるとは限らない点などを指摘しています。また、政策的意思決定が必ずしもエビデンスに基づいて行われるわけではない現実も論じています。

さらに、本書は小中学校の児童生徒と教師を主たる対象とし、学級規模が教師の労働や学力格差にどのような影響を与えるかをデータ分析を通じて検討しています。この分析を基に、教育政策がエビデンスに基づいて議論されるべきであるという立場を取り、その有用性と課題を論じています。

 

 

教育政策の形成過程: 官邸主導体制の帰結 2000~2022年

 

『教育政策の形成過程: 官邸主導体制の帰結 2000~2022年』は、2000年代以降の日本の教育政策における新たな制度構築や変更の動向を分析する本です。この本は、首相官邸、政党、族議員、文部科学省、私的諮問機関などの中央政府のアクターや機関に焦点を当て、教育政策形成過程における官邸主導体制の影響を解説しています。著者は岐阜協立大学経済学部の教授である勝田美穂です。

この書籍では、官邸主導体制と教育、統治機構改革における教育政策、教育政策におけるアイディア、教育基本法改正の立法過程、道徳の教科化の政策過程、教育機会確保法の立法過程、家庭教育支援法の立法過程など、さまざまなトピックが扱われています。また、官邸主導体制が教育政策にどのような変化をもたらしたかについても詳述されています。

本書は、教育政策や政治学に関心のある研究者に向けた専門書であり、2000年代以降の日本の教育政策の変遷とその背景にある政治的な動きを深く掘り下げた内容となっています。

 

教育の経済価値――質の高い教育のための学校財政と教育政策

 

「教育の経済価値――質の高い教育のための学校財政と教育政策」では、質の高い教育への公共投資が個人と社会にどのような経済的および社会的価値をもたらすかについて詳しく解説しています。この本は、OECD(経済協力開発機構)の研究を基に、人的資本の重要性や教育がもたらす広範な社会的成果に焦点を当てています。また、教育投資を最大限に活用するための公平で効率的な学校財政のあり方についても提案しています。

教育がもたらすさまざまな効果を図表やコラムを通して詳細に説明しており、具体的な国際事例を挙げて各国の教育政策や学校財政の運用、教育の効果とその活用方法について解説しています。たとえば、学校財政の分権化、教育予算の計画と監視、教員給与の改革などが取り上げられています。また、デジタルデバイスの利用や環境への意識など、教育の現代的な側面についても触れています。

教育政策や学校財政に関心のある方、または教育が社会や経済に与える影響について理解を深めたい方にとって有益な情報源となるでしょう。

 

 

日本社会の変動と教育政策 新学力・子どもの貧困・働き方改革

 

『日本社会の変動と教育政策 新学力・子どもの貧困・働き方改革』は、東京大学名誉教授の小川正人によって書かれた教育政策に関する書籍です。この本では、2000年以降の日本における教育政策の変化とその背景にある社会的な変動について詳細に解説されています。

主な内容は、以下の三つの大きなテーマに分かれています。

・新学力と教育改革:

新学力の概念とそれに関連する議論、OECDのPISA学力調査の結果などが説明されています。

社会経済と学力の変化、特に経済成長がもたらした教育の変化やバブル崩壊後の教育の構造改革などが取り上げられています。

・「子どもの貧困」と教育支援:

教育費の負担や教育格差の広がり、子どもの貧困に対する対策や教育支援制度について詳しく説明されています。

これには、義務教育から高等教育に至るまでの各段階における現状と課題が含まれます。

・学校の働き方改革:

学校教育のあり方や教員の長時間勤務の問題、そしてそれらの改善に向けた取り組みが解説されています。

この部分では、学校が「チーム」として機能することの重要性や、教員の労働条件の改善に関する議論が展開されています。

 

日本の教育、どうしてこうなった?:総点検・閉塞30年の教育政策

 

『日本の教育、どうしてこうなった?:総点検・閉塞30年の教育政策』では、日本の教育システムが直面している問題点とその歴史的背景を分析しています。この本は、教育研究者の児美川孝一郎と元文部官僚の前川喜平によって書かれたもので、日本の教育システムの現状について深く掘り下げています。

主な内容としては、日本の教育が現在の状態に至るまでの経緯、教育基本法の改正や教育における新自由主義の影響、国家による教育への統制などが挙げられます。また、教員の働き方、教育現場における管理の問題、教育における格差社会の影響、そして日本の学校システムの未来についても議論されています。

長時間労働に疲れ果てる教師たち、評価や点数競争がはびこり、画一化が進む学校現場といった日本の教育現場の問題を浮き彫りにしています。教育政策の展開を振り返りつつ、教育の未来を展望する内容となっています。

 

教育政策学の30年とこれから

 

『日本教育政策学会年報 第30号』(2023年)は、日本教育政策学会によって編集された、教育政策に関する研究成果をまとめた年報です。この号は特に、教育政策学の30年間の歴史と今後の展望に焦点を当てた特集企画で構成されています。

内容の概要としては、以下のようなトピックが含まれています。

・教育政策研究の30年にわたる検討や規範的アプローチの方法論の検討

・新自由主義教育改革と民主主義の危機に関する分析

・教育政策学の現在の課題と将来の方向性に関する構造的トピックモデルの使用

・子どもの権利と教育政策に関するシンポジウム報告、例えば子どもを保護の客体ではなく権利の主体とする視点や、戦後日本教育政策の中での外国人の位置づけ

・With/Afterコロナ時代の教育と教育政策、統治に関する課題研究報告

また、社会経済的格差の縮小を目指す教育資源配分やアメリカにおける学校風土調査を基にした学校改善とアカウンタビリティ政策などの投稿論文も収録されています。その他、研究ノート、教育政策・研究動向のレビュー、書評・図書紹介などが含まれており、教育政策に関する幅広い視点からの議論が展開されています。

 

2020年以降の高等教育政策を考えるグランドデザイン答申を受けて

 

「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」は、中央教育審議会が取りまとめたもので、将来の社会を支え、牽引するための人材育成を目指す高等教育政策の指針を示しています。基本的な知識と汎用的な技能を身につけ、数理・データサイエンスなどを基盤としたリテラシーの重要性を強調しています。高等教育の理念として「学修者本位の教育への転換」を掲げ、学修の成果の可視化や生涯学習への移行を提案しています。

また、グランドデザイン答申は、研究力の強化、産業界との協力・連携、地域との連携を重視し、多様で柔軟な教育プログラムや教育の質の保証、情報公表の再構築にも焦点を当てています。特に、AI時代やグローバル時代に対応するための教育体制の多様性と柔軟性を確保することが強調されています。

これらの答申を受け、2020年に桜美林大学で開催されたシンポジウムでは、将来の高等教育をめぐる盛んな討論が交わされました。このシンポジウムに基づいて書籍化された『2020年以降の高等教育政策を考える:グランドデザイン答申を受けて』では、第一線の専門家が高等教育の現状の問題点と今後の展望を論じています。

具体的な策として、リカレント教育の充実、留学生交流の推進、社会人や留学生を積極的に受け入れる体質転換などが提案されています。また、教員の多様性の確保や、文理横断的なカリキュラムの必要性、大学制度の変化に対応した柔軟なプログラム編成なども重要視されています。

少子高齢化による18歳人口の減少を背景に、大学の定員割れや存続の問題、大学生の減少による国力の低下への対策として、これらの方策が注目されています。

 

多文化教育の国際比較――世界10カ国の教育政策と移民政策

 

『多文化教育の国際比較――世界10カ国の教育政策と移民政策』は、世界10カ国における多様性と教育政策に関する国際比較を行った書籍です。この書籍では、それぞれの国の国家統合の理念や戦後の歴史的展開、多様性に関する教育政策・実践に焦点を当てています。さらに、多文化教育における三つの主要な課題への取り組みについても詳細に論じられています。

書籍の終章では、「競争から共創へ」というテーマのもと、多様な人々と共に生きることの重要性、新自由主義の矛盾と限界、多文化共生の困難さ、多文化共生に対する基本的な視点、インクルーシブな社会の共創について述べています。また、差異と共に生きる日本の創造についても考察されています。

多文化教育に関する国際的な動向を捉えるとともに、移民時代の日本に求められる多文化共生のあり方や教育について深い洞察を提供しています。日本国内の多くの図書館でも所蔵されており、興味のある方は最寄りの図書館で確認することが可能です。

 

 

専門職としての教師の資本: 21世紀を革新する教師・学校・教育政策のグランドデザイン

 

「専門職としての教師の資本: 21世紀を革新する教師・学校・教育政策のグランドデザイン」についての具体的な情報を見つけることができませんでした。しかし、この本は教師や学校が現在直面している課題に対処し、教職の魅力を取り戻すための方策を探る内容を含んでいると推測されます。詳細な内容については、出版元のウェブサイトや書籍の紹介ページで確認することをお勧めします。

 

ことばの危機 大学入試改革・教育政策を問う

 

『ことばの危機 大学入試改革・教育政策を問う』は、東京大学文学部の有名教授陣による緊急講演録を集めた書籍です。この書籍は、大学入試改革や新学習指導要領の公示に伴い、国語教育における様々な変更点が焦点となっています。特に、「論理国語」と「文学国語」という新しい区分の誕生や、新・大学入試共通テストにおける実用的な文章の読解の増加、高等学校の国語教育における文学の比重の減少などが注目されています。これらの変更が、「実用性」の重視と「文学」の特殊な領域への隔離を意味し、それがどのような問題を引き起こすのかが論じられています。

 

本書では、東京大学文学部の5名の教授が、各自の専門分野からこの問題に対する見解を述べています。それぞれの章は、国語教育における「読解力」の本質、言葉の豊かさと複雑さ、言葉の哲学的な考察、古代言語の研究、および全体討議に焦点を当てています。これらの章を通じて、現代社会における言語能力の重要性や、文学的知性と想像力の必要性が強調されています。

 

この書籍は、東京大学ホームカミングデイ文学部企画のシンポジウム「ことばの危機―入試改革・教育行政を問う」をもとに編集されたものであり、文部科学省による大学入試改革や新学習指導要領の改訂が、国語教育にどのような影響を及ぼしているかを検討しています。また、言葉が単なるツールではなく、人間関係や社会的なコミュニケーションの根幹であることを強調しています。

 

ユネスコ・教育を再考する: グローバル時代の参照軸

 

「ユネスコ・教育を再考する: グローバル時代の参照軸」は、教育とその重要性について、現代のグローバル化された世界での新しい視点から考察しています。このレポートは4つの主要な章から成り立っており、以下のような内容を含んでいます。

「持続可能な成長・鍵となる課題」

「ヒューマニズムの再興」

「複雑化する世界での教育政策の立案」

「教育は共通善か?」

レポートは、相互依存が進む世界において、教育と知識が世界的な共通善と見なすべきであるという主張を展開しています。また、教育の力、学校教育の重要性、デジタル技術が教師の代わりにならないこと、教育の結果として測定可能な知識やスキルを重視する現代の国際的な論調に警鐘を鳴らしています。

この他にも、レポートでは教育の多様な側面について深く掘り下げ、教育の概念や方法論についての新たな洞察を提供しています。具体的には、エージェンシー、シティズンシップ、レスポンシビリティ、アカウンタビリティ、多様性、社会正義、エンパワメントなどのキーワードに焦点を当てています。

日本の教育と言説を相対化する視点にも重点を置いており、これまでの教育の考え方や方法に対する新たな視角を提供しています。

 

教育論の新常識-格差・学力・政策・未来

 

『教育論の新常識-格差・学力・政策・未来』(松岡亮二 編著、中公新書ラクレ、740)は、現代日本の教育に関する様々な問題を総合的に取り上げた書籍です。本書は、教育格差、学力、政策、未来の4つの視点から多角的に日本の教育を考察しています。

書籍の内容は、松岡亮二氏をはじめとする多くの専門家によって構成されており、日本社会が直視してこなかった「教育格差」、九月入学の是非、大学無償化法の問題点、教員の働き方、教員免許更新制度の改革など、多岐にわたる教育問題が議論されています。

また、Society 5.0という概念に関する考察も含まれており、社会的課題の解消や解決に向けた議論が展開されています。しかし、Society 5.0が自動的にこれらの問題を解決するわけではないという視点も提示されています。

本書は、教育に関する現在の議論や課題を幅広く網羅しており、教育分野に関心のある方には有益な情報が満載です。ただし、保護者や現場教員への具体的な提案があればより良かったとの指摘もあります

 

 

諸外国の教育動向

 

「諸外国の教育動向」は、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、台湾、エストニアなどの国々の2022年度の教育事情についての主な動向をまとめたものです。この書籍では、各国の教育政策、行財政、生涯学習、初等中等教育、高等教育、教師などの分野における動向を詳細に分析しています。

また、この書籍はポストコロナ時代の教育のあり方やAI、デジタルスキルの影響など、教育を通してさまざまな観点から各国の動向を知ることができる1冊とされています。付録として、日本を含む各国の学校系統図も収録されており、教育に関する幅広い情報が提供されています。