大学院での国際開発専攻の概要
国際協力や国際開発を学ぶ大学院では、持続可能な開発や貧困削減といった世界的な課題に取り組むための知識とスキルを深めます。カリキュラムは多岐にわたり、理論と実践の両方に基づいて構成されています。
まず、国際開発の根幹となる開発理論や政策について学びます。これには、貧困、不平等、持続可能性に関する議論が含まれ、国際社会が直面する課題を多角的に理解するための基礎を築きます。国連や世界銀行などの国際機関の役割や、政府が行う政策の影響についても議論を深めることで、グローバルな視野を養います。
経済学や財政管理も重要な学問分野です。開発経済学や貿易政策を通じて、経済的な不平等を解消するためのアプローチを学び、資金の運用やプロジェクトの資金調達に関する知識を身につけます。この分野では、データ分析や経済モデルを用いて、現実的な解決策を導き出す能力が求められます。
さらに、教育、保健、ジェンダー平等といった社会的課題への取り組みが大きなテーマとなります。これらの分野では、現場での実践的な知識が求められ、現地コミュニティと協働する方法や、文化的な敏感性を持つことの重要性が強調されます。
大学院での学びは理論だけに留まりません。現場での実践に基づくスキルも重視され、プロジェクトデザインや評価の方法論を学ぶ機会が設けられています。具体的には、ロジカルフレームワーク(計画ツール)を用いたプロジェクトの計画から、実施、効果測定までを体系的に習得します。
また、フィールドワークや現地調査を通じて、理論で学んだ知識を実際の状況に適用する力を養います。異なる文化や社会の中でどのように問題を解決するかを体験しながら、実践的なスキルを身につけることができます。これらの学びを通じて、国際協力や国際開発の分野で活躍するために必要な理論的基盤と実践力を兼ね備えた人材を目指します。
主な学びの内容
国際開発専攻のカリキュラムは学際的で、多岐にわたる分野を横断的に学びます。主に以下のようなテーマが含まれます。
- 経済開発: 貧困削減、経済成長戦略、国際貿易、マイクロファイナンス
- 公共政策とガバナンス: 政策立案、政府改革、国際機関の役割
- 社会開発: 教育、保健、ジェンダーの平等、人権保護
- 環境と持続可能性: 気候変動対策、資源管理、環境保護
- 国際関係: グローバル化、国際協力、平和構築
- 調査とデータ分析: 統計、プログラム評価、フィールド調査手法
学生のバックグラウンド
- これらのプログラムは、多様なバックグラウンドを持つ学生を対象としています。国際関係、経済学、政治学、社会学、環境学など、様々な分野での経験が活かされます。
- 国際機関(国連、世界銀行など)、NGO、政府機関、または民間セクターでの経験を持つ学生も多く参加しています。
期待されるスキル
- 分析力: グローバルな課題をデータに基づいて分析する能力
- 政策形成力: 現場に基づいた実用的な政策を設計する能力
- プロジェクト管理: 国際的なプロジェクトを管理・実行する能力
就職先やキャリアパス
国際開発専攻を修了した後の主なキャリアパスには以下が含まれます:
- 国際機関: 国連(UNDP、UNICEF)、世界銀行、アジア開発銀行など
- 非政府組織(NGO): Oxfam、Save the Children、CAREなど
- 政府機関: 外務省、国際協力機構(JICA)など
- 民間セクター: 持続可能なビジネスやCSR(企業の社会的責任)分野
- 学術および研究機関: 大学、シンクタンク、研究センターなど
国内の国際開発,国際協力,開発学の大学院一覧ランキング
ダイレクトに国際協力、国際開発という名がつく研究科/プログラム以外でも、国際協力、国際開発に関する大学院もリストアップしております。
東京大学大学院 | 公共政策大学院 |
東京大学大学院 | 新領域創成科学研究科国際協力学専攻 |
東京大学大学院 | 総合文化研究科国際社会科学専攻 |
一橋大学大学院 | 国際・公共政策大学院 |
一橋大学大学院 | 社会学研究科地球社会研究専攻 |
京都大学大学院 | 公共政策大学院 |
京都大学大学院 | アジア・アフリカ地域研究研究科 |
京都大学大学院 | 総合生存学館(思修館) |
大阪大学大学院 | 国際公共政策研究科 |
大阪大学大学院 | 人間科学研究科(国際協力学) |
北海道大学大学院 | 公共政策大学院 |
北海道大学大学院 | 国際広報メディア・観光学院 |
北海道大学大学院 | 国際食資源学院 |
東北大学大学院 | 国際文化研究科 |
東北大学大学院 | 公共政策大学院 |
筑波大学大学院 | 人文社会ビジネス科学学術院(国際公共政策) |
政策研究大学院大学 | 公共政策プログラム国際協力コース |
お茶の水女子大学大学院 | 人間文化創成科学研究科 |
東京外国語大学大学院 | 大学院総合国際学研究科 |
横浜国立大学大学院 | 国際社会科学府 |
名古屋大学大学院 | 国際開発研究科 |
神戸大学大学院 | 国際協力研究科 |
広島大学大学院 | 国際協力研究科 |
慶應義塾大学大学院 | 政策・メディア研究科 |
早稲田大学大学院 | アジア太平洋研究科 |
上智大学大学院 | グローバル・スタディーズ研究科(国際協力) |
明治大学大学院 | グローバル・ガバナンス研究科 |
法政大学大学院 | 公共政策研究科 |
青山学院大学大学院 | 地球社会共生学科 |
杏林大学大学院 | 国際協力研究科 |
東洋英和女学院大学院 | 国際協力研究科 |
拓殖大学大学院 | 国際協力学研究科 |
同志社大学大学院 | グローバル・スタディーズ研究科 |
立命館大学大学院 | 国際関係研究科 |
関西学院大学大学院 | 国際学研究科 |
関西学院大学大学院 | 総合政策研究科 |
1 東京大学大学院
2 一橋大学大学院
3 政策研究大学院大学
4 大阪大学大学院
5 京都大学大学院
6 名古屋大学大学院
7 神戸大学大学院
8 早稲田大学大学院
9 筑波大学大学院
10 関西学院大学大学院
国内国際開発、国際協力の大学院の選び方
国内でも大学院の研究科名で国際協力・国際開発という研究科もあり、そのようなところはこの分野を学ぶことができる研究科だと分かりやすいです。ただその中でもコースが様々あるので、自身のやりたい分野があるのかも確認しましょう。
また公共政策系での大学院もダイレクトに国際協力・国際開発とは書かれていませんが、これらの多くで国際協力・国際開発の講座などもあり、卒業生も国連などに進まれた方も多いです。
また、大学院の研究科、プログラム名からは国際協力・国際開発というのが連想はしづらいですが、例えば途上国での農業、環境、都市政策などが学びたいとなれば、農学研究科、環境学研究科、都市政策の研究科などの可能性もあり上記のリスト以外も考えられます。決して国際開発、国際協力の研究科のみが学べるところと限定はされていませんので、是非様々な大学院を調べて見ましょう。
更には志望する大学院のカリキュラムやシラバスを詳しく調べることが大切です。具体的には、開講されている科目の内容や担当教授の専門分野を確認することで、自分の学びたい分野に合致しているかを見極められます。また、卒業生の進路情報やキャリア支援の体制もチェックすることで、将来的なキャリアパスにどのようにつながるのかを理解する手助けになります。
さらに、国際協力・国際開発力の分野では、実務経験が重視されることが多いため、インターンシップやフィールドワークなどの実践的な学びの機会が用意されているプログラムは大きなメリットとなります。特に、国際機関やNGO、開発援助機関との連携が強い大学院は、学びながら貴重なネットワークを構築することができる点で魅力的です。
最後に、プログラムの規模や多様性にも注目すると良いでしょう。多国籍な学生が集まる環境で学ぶことで、異なる視点や価値観に触れ、国際的な課題をより広い視野で捉える力を養うことができます。このような点を総合的に考慮しながら、自分の目標や興味に合った大学院を選ぶことが成功への第一歩です。
海外大学院(国際開発、国際開発、開発学)おすすめランキング(一部)
1 | Harvard University | Master in Public Administration in International Development |
2 | University of Chicago | MA in Public Policy and International Relations (MA/MA) |
3 | Princeton University | Master in Public Affairs (M.P.A.) |
4 | Stanford University | Master’s in International Policy (MIP) |
5 | University of California-Berkeley | Master of Development Practice (MDP) |
6 | Columbia University | MPA in Development Practice |
7 | Oxford University | MPhil in Development Studies |
8 | London School of Economics | MSc Economic Policy for International Development |
9 | University of Southern California | Master of International Public Policy and Management (MIPM) |
10 | New York University | MPA in International Development Policy and Management |
11 | Brown University | Master of Public Affairs (MPA) |
12 | Johns Hopkins University | Master of International Public Policy |
海外大学院プログラムの概要
いくつかの大学院プログラムの概要も記載します。
•ハーバード大学大学院
ハーバード大学ケネディスクール / Harvard Kennedy School, HKS Master in Public Administration in International Development, MPA/IDは、国際開発分野のリーダーを育成することを目的とした2年間の全日制プログラムです。このプログラムは、経済学と公共政策の理論的知識と実践的スキルの両方を強調し、開発経済学、政策分析、リーダーシップ、管理能力など、多岐にわたる分野をカバーしています。 主な特徴
- カリキュラム: MPA/IDプログラムのカリキュラムは、経済学、政治学、公共政策、リーダーシップ、管理スキルなど、国際開発に関連する多様な分野を網羅しています。学生は、理論的な知識と実践的なスキルの両方を習得し、開発経済学、政策分析、リーダーシップ、管理能力などを学びます。
- 実践的経験: 学生は、実際の政策課題に取り組む機会を持ち、政策分析演習(Policy Analysis Exercise: PAE)やインターンシップを通じて、現実の問題解決能力を養います。PAEでは、学生が実際のクライアントである公共機関や非営利団体と連携し、現実的な政策課題に対する解決策を提案します。また、インターンシップを通じて、実務経験を積むことが求められます。
- 多様な学生コミュニティ: 世界各国から集まる多様なバックグラウンドを持つ学生が在籍しており、異文化理解や国際的なネットワーク構築の機会が豊富です。学生は、さまざまな国籍や専門分野の仲間と共に学び、グローバルな視野を広げることができます。
入学要件
- 学歴: 経済学と数学で優れた成績が求められます。特に、マイクロ経済学、マクロ経済学、および多変数微積分の大学レベルのコースを少なくとも1つ修了していることが必要です。
- 職務経験: 推奨されていますが必須ではありません。多くの合格者は2年以上の開発分野での職務経験を持っています。
- 標準テスト: GREまたはGMATのスコアが必要です。特に定量的なセクションでの高得点が求められます。
MPA/IDプログラムは、国際開発分野でのキャリアを目指す方にとって、理論と実践の両面から深い学びを提供するプログラムとなっています。
•プリンストン大学大学院
プリンストン大学公共政策大学院 / Princeton School of Public and International Affairs 公共政策修士(Master in Public Affairs, M.P.A.)プログラムは、国内外の公共政策分野でのキャリアを目指す方々に向けた、2年間の全日制課程です。 プログラムの特徴
- カリキュラム: 政治、経済、定量分析、行動分析など、多角的な分析スキルを養うコアカリキュラムを提供しています。
- 専門分野: 学生は以下の4つの専門分野から選択できます
- 国際関係
- 国際開発
- 国内政策
- 経済学と公共政策
- 実務経験: 1年目と2年目の間に、学生は公共政策関連の組織でのインターンシップを完了する必要があります。
- 資格取得プログラム: 健康政策、科学・技術・環境政策(STEP)、都市政策などの分野での資格取得プログラムも提供されています。
入学要件
- 応募者は、公共サービスへの深いコミットメントを示す職務経験、インターンシップ、ボランティア活動などの実績が求められます。
- 数学、統計学、経済学の基礎知識が推奨されます。
- GREの受験が必要。
特別プログラム
- ジョイントディグリープログラム: 法学(J.D.)や経営学修士(M.B.A.)との共同学位プログラムがあり、コロンビア大学、ニューヨーク大学、スタンフォード大学の法科大学院と提携しています。
- SINSI(Scholars in the Nation’s Service Initiative): 米国政府でのキャリアを追求する学生を支援する奨学金プログラムで、2年間の学業と2年間の政府でのフェローシップを組み合わせています。
•スタンフォード大学大学院
スタンフォード大学のフリーマン・スポグリ国際研究所(FSI)が提供するFord Dorsey Master’s in International Policy(MIP)は、国際政策分野でのキャリアを目指す次世代のリーダーを育成することを目的とした、2年間の全日制・学際的な大学院プログラムです。 プログラムの特徴
- カリキュラム: MIPのカリキュラムは、政治学、経済学、国際関係論を中心としたコアコースと、学生の興味やキャリア目標に応じて選択できる多様な選択科目で構成されています。
- 専門分野: 学生は以下の専門分野から選択し、深く学ぶことができます:
- サイバーポリシーとセキュリティ
- エネルギー、天然資源、環境
- ガバナンスと開発
- 国際安全保障
- 実践的経験: プログラムの一環として、学生は「Policy Change Studio」と呼ばれるキャップストーンプロジェクトに取り組み、実際の組織と連携して現実の政策課題に対処します。
- インターンシップ: 1年目と2年目の間の夏に、学生は国際政策に関連する組織でのインターンシップを行い、実務経験を積むことが奨励されています。
•カリフォルニア大学大学院
カリフォルニア大学バークレー校の開発実践修士課程(Master of Development Practice, MDP)は、持続可能な開発に焦点を当てた21ヶ月間の実践志向のプログラムです。 このプログラムは、UCバークレーの学術的卓越性と社会的関連性を活かし、ピアラーニングと実践的学習を組み合わせ、持続可能な開発分野のリーダーやチェンジメーカーを育成します。 プログラムの主な特徴
- 学際的カリキュラム: MDPのカリキュラムは、気候、エネルギー、農業、環境、公共政策、経済開発、公衆衛生、プロジェクト管理、ビジネスとイノベーションなどの分野を網羅しています。学生は、これらのコア科目に加えて、バークレーキャンパス全体から選択科目を履修することで、学習をカスタマイズできます。
- 実践的経験: プログラムの一環として、学生は初年度終了後の夏に、持続可能な開発に関連する組織でのインターンシップを行い、実務経験を積むことが奨励されています。また、2年目には「Capstone Experience」と呼ばれるプロジェクトに取り組み、実際の組織と連携して現実の政策課題に対処します。
- グローバルネットワーク: UCバークレーのMDPは、世界30以上のMDPプログラムからなるグローバルアソシエーションの一員であり、国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(UNSDSN)を通じて、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた教育と実践を推進しています。
入学要件
- 学歴: 認定された機関からの学士号または同等の学位が必要です。
- GPA: 通常、4.0スケールで最低3.0(B)の成績が求められます。
- テストスコア: GREの提出は強く推奨されますが、必須ではありません。代替として、定量的な履歴書の提出が求められる場合があります。
- 英語能力: 英語が公用語でない国で学位を取得した応募者は、TOEFLまたはIELTSのスコア提出が必要です。
- その他: 志望動機書、個人歴史声明、3通の推薦状(少なくとも1通は学術的なもの)、および成績証明書の提出が求められます。
•コロンビア大学大学院
コロンビア大学の国際公共政策大学院(School of International and Public Affairs, SIPA)が提供するMaster of Public Administration in Development Practice, MPA-DPは、持続可能な開発に焦点を当てた21ヶ月間のSTEM指定の実践志向プログラムです。 このプログラムは、理論的知識と実践的スキルの両方を強調し、学生が持続可能で公正な世界の実現に貢献できるよう設計されています。
プログラムの主な特徴
- 学際的カリキュラム: MPA-DPのカリキュラムは、持続可能な開発、経済学、統計学、グローバルな食糧システムなど、多岐にわたる分野のコアコースで構成されています。さらに、農業・食糧安全保障・栄養、災害・緊急事態・危機管理、ジェンダー・人権・社会的包摂など、特定の分野に焦点を当てた選択科目を通じて、専門性を深めることができます。
- 実践的経験: プログラムの一環として、学生は3ヶ月間の必須のプロフェッショナルなサマープレースメントを行い、持続可能な開発実践に関連する組織での実務経験を積みます。また、クライアント指向のチームキャップストーンプロジェクトやインターンシップを通じて、実際の課題に取り組む機会も提供されます。
- キャリアパス: MPA-DPの卒業生は、国連、国際開発銀行、援助機関、NGO、コンサルティングファームなどの伝統的な開発機関だけでなく、マッキンゼーやデロイトなどの大手マネジメント企業、テックスタートアップ、インパクト投資ファーム、さらには自身の社会的企業を設立するなど、多様な分野で活躍しています。
その他の大学院のプログラム
上記以外での例えばアメリカトップ大学院となる、
- Massachusetts Institute of Technology (MIT)
- Yale University
- University of Pennsylvania
- Northwestern University
- University of California-Davis
- University of Michigan
- University of Wisconsin-Madison
- University of Warwick
- University of California-San Diego (UCSD)
- University of California-Los Angeles (UCLA)
- University of British Columbia
- Duke University
- Cornell University
- Boston University
などでも国際開発、または公共などのプログラムのシェアは少ないですが、国際開発関連のものが多くあるので確認してみましょう。例えば都市関連のプログラムであれば、国際開発の都市開発などに活かされます。またイギリスにも開発学、開発学関連のプログラムのが多くあるので是非調べてみましょう。