中央大学経済学部編入試験の概要
2022年度(2021年実施)では選考方法での筆記試験では
1. 外国語
・英語、ドイツ語、フランス語、中国語、スペイン語の中から母国語以外の1ヵ国語
2. 小論文
・経済および、経済学の知識
・一般教養
という形で出題されています。外国語試験は他大学編入試験ではTOEICなどの外部試験が多いですが、中央大学経済学部では当日での筆記試験という形で出題されます。
また小論文という中で「一般教養」が出題されますが昨今のニュースなどが問題となっています。もう一方の小論文の「経済および、経済学の知識」ではこちらは(A)では小論文というよりは記述式の数式を使う経済学の問題と考えて良いでしょう。(B)では数式は使わずですが、経済学的なメカニズム、用語を交えて記述する問題になっております。
2022年度(2021年実施)
小論文(経済および経済学の基礎知識)
(A)
(1)
均衡点のワルラス安定性について
価格が均衡価格よりも高い時(P’),超過供給が発生するために価格が減少する.$P^*$以下まで減少すると(P”),今度は超過需要が発生するために価格が増加します.このような過程を繰り返したときに,需要曲線Dと供給曲線Sが交わる点で均衡するとき,ワルラス安定的であるといいます.
(2)
企業は次の利潤最大化問題を解きます.
\begin{align}
\text{max}_{x}\quad (120-2x)x-x^2-10
\end{align}
利潤最大化の一階条件より,
\begin{align}
120-4x-2x=0 \Leftrightarrow x = 20
\end{align}
よって,独占の時の生産量は20です.また,この時の価格は$p=120-40=80$です.
供給関数は,$p=\text{MC}=2x$より,この時の供給価格は$p=40$となります.
また,パレート最適を満たす生産量は,価格を所与としたときの均衡生産量に等しいので,
p = \text{MC}\Leftrightarrow 120-2x=2x\Leftrightarrow x=30
\end{align}
よって,死荷重DWLは,
\begin{align}
\text{DWL}=\frac{1}{2}(30-20)(80-40)=200
\end{align}となります.
(B)
日本の労働者は終身雇用制度の中に置かれています.
終身雇用制度とは,一度採用された社員が定年まで一定の待遇で雇用され続けることができる制度のことです.日本を代表する雇用形態であり,戦後の高度経済成長期に確立された.この制度は,安定した雇用が保障されることで従業員が長期的な視点で企業と関係を築くことができます.また,企業は従業員が長期的に雇用されることを前提に研修・教育を行うことができます.
しかし,女性の場合男性と異なり,結婚・出産というライフイベントが発生します.この時,育児をしながら働くことは時間的・体力的に厳しく、そこで育休や産休という形で女性は仕事を長期間休むことが多く,第二子・第三子と再び長期の産休が訪れる可能性もあります.
企業からすれば,女性が雇用後に出産するつもりがあるのかどうかわからないという情報の非対称性が存在しているため,終身雇用制度のもとでは女性よりも男性を優先的に雇用するインセンティブがあります.
その結果,日本の女性の多くは非正規雇用で働いているため,新型コロナウイルスといった社会事象が起き,社会が不景気になった場合に解雇の対象となりやすい減少と言えます.→この場合は情報の非対称的な文脈で記載してみましたが、様々な方法が考えられます.
2021年度(2020年実施)
小論文(経済および経済学の基礎知識)
【中央大学経済学部】2021年度(2020年実施)編入試験 – 解答(小論文経済, A(1))
【中央大学経済学部】2021年度(2020年実施)編入試験 – 解答(小論文経済, A(2))