統計学の入門で学ぶこと
入門の統計学では、以下のような基本的な内容を学びます。
記述統計
データの要約と可視化に関する内容です。例えば、平均、中央値、最頻値、分散、標準偏差などの指標を使ってデータを整理し、ヒストグラムや箱ひげ図などを用いてデータを視覚的に表現します。
確率:
基本的な確率の概念と計算方法を学びます。条件付き確率、確率分布(例えば二項分布や正規分布)などが含まれます。
推測統計:
サンプルデータに基づいて母集団の特性を推測する手法です。代表的なものに、仮説検定や信頼区間、t検定、カイ二乗検定などがあります。
相関と回帰分析:
変数間の関係を調べる方法です。散布図、相関係数、線形回帰などを使って、どのように変数が関連しているかを分析します。
データ収集とサンプリング方法:
データの収集方法やバイアスを避けるための技術を学びます。無作為抽出、実験デザイン、調査手法などが含まれます。
統計学入門の書籍ランキング一覧おすすめ
統計学入門本の概要
完全独習 統計学入門 (小島)
まずはこの1冊です。小島寛之氏による統計学の入門書です。中学レベルの数学のみを用いて、統計学の基礎を丁寧に解説する内容が特徴です。確率や微分積分をほとんど扱わず、記述統計と推測統計の基本的な概念を中心に、標準偏差や正規分布、仮説検定などをわかりやすく説明しています。特に、標準偏差に重点を置き、その応用例として金融分野でのリスク指標なども扱われています。
本書のユニークな点は、「95%予言的中区間」という著者独自の概念を紹介しており、これが統計的推定において重要な役割を果たすことを示しています。また、数式や記号を最小限に抑え、イメージしやすい例を用いて統計学の基礎を学びやすく工夫されています。
初心者向けでありながら、実用的な知識が得られるため、統計学を初めて学ぶ人や再学習を目指す人に適した一冊とされています。
統計学入門 (基礎統計学Ⅰ、東京大学)
文理問わず統計学を初めて学ぶ人向けに作られた教科書です。東京大学教養学部統計学教室によって執筆されており、特に大学初年度の学生を対象にしています。確率論から始まり、確率分布、推定、仮説検定といった統計学の基礎概念を丁寧に解説しています。
本書の特徴として、確率や確率分布に多くのページを割いており、それに続いて推定や仮説検定が解説されています。そのため、後半部分は統計的推論の基礎を理解するための「準備」に焦点が当てられています。また、数理的な内容も多く含まれているため、数学的な理解が必要です。
この本は統計学の入門書として評価が高い一方で、数式や理論が多く、初心者にとっては難解に感じる部分もあるため、数学の基礎知識がある程度求められます。続編や他の教科書と併用して学習を進めることで、さらに理解が深まります。
入門 統計学: 検定から多変量解析・実験計画法・ベイズ統計学まで
『入門 統計学: 検定から多変量解析・実験計画法・ベイズ統計学まで』は、統計学全般を網羅する実用的な入門書です。書籍は、基本的な記述統計から始まり、確率分布、仮説検定、多変量解析、実験計画法、さらにベイズ統計学まで広範な内容をカバーしています。新版では確率や確率分布に関する式や解説の充実、多重比較やロジスティック回帰分析、ベイズ統計学の追加がされています。
この本の特徴は、公式の導入だけでなく、その背景にある考え方を丁寧に解説している点です。実務でデータ分析に携わる方や、統計手法の理論的理解を深めたい方に向いています。また、RコマンダーやG*Powerといったツールの使い方も紹介されており、実際のデータ分析にすぐに応用できる内容が含まれています 。
データ分析に必須の知識・考え方 統計学入門
『データ分析に必須の知識・考え方 統計学入門』は、統計学の基礎から応用までを幅広くカバーする実用書です。この本では、仮説検定や統計モデリング、さらに因果推論、ベイズ統計、機械学習など、データ分析に必要な重要なトピックを網羅しています。初学者にも理解しやすいように数式をできるだけ抑えつつ、データ分析の背後にある考え方や理論を丁寧に解説しています。
本書は、統計学を初めて学ぶ人から、実務でデータ分析を行う人まで幅広い層に適しており、統計の基本的な理解から、より高度なデータ分析手法に至るまでの道筋を提供します。また、仮説検定や多変量解析の具体例を通じて、実践的なスキルも学べる内容です。
はじめての統計学(鳥居)
『はじめての統計学』(鳥居泰彦著)は、統計学を初めて学ぶ人向けの入門書で、数式が苦手な人でも理解しやすいように基礎知識を丁寧に解説しています。この本は、記述統計や確率分布、仮説検定、回帰分析など統計学の基本的なトピックを扱っており、練習問題を通して実際に手を動かしながら学べるスタイルです。特に文系の学生や、他の入門書で挫折した人に適していると評価されています。
公式と例題で学ぶ統計学入門
『公式と例題で学ぶ統計学入門』は、統計学の基礎を体系的に学べる実用書です。文系大学2年生向けに書かれた講義ノートを基に作成されており、統計学の基本概念からデータ解析の手法までをしっかりカバーしています。特徴的なのは、重要な公式を紹介し、それに関連する例題や解説を通じて実践的な理解を深められる点です。また、演習問題が豊富に用意されており、基礎から発展まで段階的に学べる構成になっています。
この本は、統計検定2級レベルに相当する難易度で、大学初年度で統計学を学ぶ学生や、実務で統計解析を行う方にも適しています。さらに、Rなどの統計分析ソフトのコードやデータ、数学的なサポートも提供されており、実際のデータ分析に直結した学びを得ることができます。
基本統計学(宮川)
『基本統計学』(宮川公男著)は、統計学の入門書として長年にわたり支持されてきた定番テキストです。初学者向けに、統計学の基礎から段階的に学べる構成となっており、難しい箇所には印がつけられているため、学習者のレベルに合わせて柔軟に学ぶことができます。第5版では、データ・サイエンスとの関連も新たに加えられ、現代の統計学のニーズに対応しています。
この書籍は、平均値、分散、回帰分析、確率論など、統計学の基本的なトピックを網羅しており、具体的な例題や練習問題が豊富に用意されています。特に、学生だけでなく実務で統計を扱う人にも適しており、統計学の理論と実践のバランスを意識した内容となっています。
入門 実践する統計学
『入門 実践する統計学』(藪友良著)は、統計学の理論と実践の間を橋渡しすることを目的とした書籍です。経済学や経営学、保険、スポーツ、医療、教育、心理学など、幅広い分野の実用例を通じて、統計学を「生きた」知識として学べるよう構成されています。特に、高校初級レベルの数学で理解できる内容であるため、初学者にも取り組みやすい一冊です。
本書は、単なる理論だけでなく、実際に統計手法をどのように活用するかに焦点を当てており、統計学の基礎から応用までの流れを学べるのが特徴です。章末には証明をまとめていますが、それを読まなくても内容を理解できるように工夫されています。
イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 統計学のしくみ
『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 統計学のしくみ』は、統計学を初めて学ぶ人や文系の人でも楽しく学べるように、わかりやすいイラストや図解を活用した入門書です。統計学の基本的な考え方を、日常生活や身近な事例を通じて解説しています。
この本では、感染症の流行予測、迷惑メールのフィルタリング、世論調査など、現実で使われる統計学の仕組みをテーマに取り上げています。統計学の主要トピックである正規分布や中心極限定理も含まれていますが、専門的な用語は最小限に抑え、誰でも理解しやすい内容になっています。
統計学再入門ー科学哲学から探る統計思考の原点ー
『統計学再入門―科学哲学から探る統計思考の原点―』は、統計学を科学哲学の視点から再評価し、統計的な解析や仮説検定に伴う「後ろめたさ」や「モヤモヤ感」の要因を探る内容です。この本は、統計学の背後にある思考の枠組みを深く掘り下げ、統計解析のブラックボックス化した部分を科学哲学を通じて詳述しています。数式は極力使わずに、統計学の根本的な考え方を理解することができるよう工夫されているため、統計学に対する理解をさらに深めたい人や初学者の学び直しに適した一冊です。
本書では、統計学の推論の中核である帰納法、ポパーやベイズ主義による懐疑への対応、集団的思考や検定理論の誤解と誤用などをテーマに、統計学の思考法を再構築します。科学哲学と統計学の交差点に興味のある方にとって貴重なリソースとなるでしょう。