ハーバードケネディスクールとは? – 世界的なリーダー養成機関
ハーバードケネディスクール(Harvard Kennedy School)は、公共政策と公共管理の分野でリーダーを育成するための名門教育機関として、世界中から優秀な学生が集まる場所です。1936年に設立されたケネディスクールは、世界の課題解決に貢献するリーダーを養成することを使命としており、国家運営、公共サービス、国際問題、環境政策など多岐にわたる分野で影響力を持つ人材を輩出しています。
ケネディスクールの教育理念は「優れたリーダーシップは人々に影響を与え、社会を前進させる力を持つ」という考えに基づいています。そのため、単に知識を詰め込むのではなく、実際の課題に対処するための分析力、問題解決能力、そして政策実行力を鍛える実践的な教育が行われています。学生はケーススタディやグループワークを通じて、現実世界の課題に取り組むためのスキルを習得し、卒業後には政府機関や国際機関、非営利団体、ビジネス分野など幅広いフィールドで活躍しています。
また、ハーバード全体の豊富なリソースと世界中から集まる多様なバックグラウンドを持つ学生・教授陣とのネットワーキングは、ケネディスクールでの学びをさらに深め、学生たちにとって価値のある経験となっています。このように、ハーバードケネディスクールは単なる教育機関にとどまらず、世界規模でリーダーシップを発揮できる人材を育てる「世界的なリーダー養成機関」として認知されているのです。
ケネディスクールで1年プログラムはある?
まずは修士でのプログラムを確認してみましょう。
ハーバード・ケネディ・スクールの主要なプログラムについては以下になります。
- 公共政策修士課程 (Master in Public Policy, MPP)
- 期間: 2年間
- 内容: 経済学、倫理、財務管理、交渉、定量分析など、公共の課題解決に必要な分析スキルを学びます。
- 構成: 1年目は基礎科目、2年目は「ビジネスと政府政策」「国際・グローバル問題」「社会・都市政策」などの専門分野に分かれます。
- キャップストーンプロジェクト: 実際の公共政策の課題を解決するために「政策分析演習 (Policy Analysis Exercise, PAE)」を行います。
- 国際開発行政修士課程 (Master in Public Administration in International Development, MPA/ID)
- 期間: 2年間
- 内容: 経済学と定量的な手法を駆使して、グローバルな開発課題に対応する専門的なスキルを提供します。
- 構成: コア科目としてミクロ経済学、マクロ経済学、経済開発理論などを学び、低・中所得国でのインターンシップも含まれています。
- キャップストーンプロジェクト: 2年目に「政策分析 (SYPA)」を実施し、開発課題に対する分析と具体的な政策提案を行います。
- 公共行政修士課程 (Master in Public Administration, MPA)
- 期間: 2年間
- 内容: 柔軟なカリキュラムで、経済学や定量分析、管理、リーダーシップ、公共倫理など、自身のキャリア目標に合わせた学習計画を構築できます。
- 構成: 経済・定量分析、管理・意思決定科学、公共倫理と政治制度の各分野から4単位を取得し、追加の選択科目で独自の学習を深めます。
- 中堅キャリア向け公共行政修士課程 (Mid-Career Master in Public Administration, MC/MPA)
- 期間: 1年間
- 内容: キャリア経験のあるプロフェッショナル向けで、専門分野を深めながらリーダーシップ能力を高めるプログラムです。
- 構成: 「経済・定量分析」「管理・意思決定科学」「公共倫理と政治制度」からそれぞれ1科目(または2単位のモジュール)を履修することが求められ、5週間の夏季プログラムも含まれます。
いずれのプログラムも、修了にはフルタイムの履修、単位取得、一定の成績基準を満たすことが必要です。また、複数のプログラムはジョイント・ディグリー(共同学位)やコンカレント・ディグリー(並行学位)に対応しており、他の分野と組み合わせて学ぶことも可能です。
よって、ケネディスクールではMid-Career Master in Public Administration, MC/MPAのみが1年でできるプログラムになります。
プログラム通常は2年で過ごす
ハーバードケネディスクールには、一般的な2年制プログラムに加え、キャリア経験を積んだプロフェッショナル向けの1年制プログラム「ミッドキャリア向け公共行政修士課程(MC/MPA)」が存在します。通常の2年制プログラム(例えば、公共政策修士や公共経営学修士)では、公共政策やリーダーシップの基礎から高度な専門知識に至るまで、体系的に学ぶことを重視しています。特に、政策分析、経済学、リーダーシップなどの分野を深く掘り下げ、インターンシップやフィールドワークなどの実践的な経験を通じて、学生が現実の課題に対応できる力を培う構成です。
一方、MC/MPAプログラムは、すでに豊富なキャリアを持つ学生を対象に、短期間で高度な知識やスキルを強化することを目的としています。このプログラムは1年間で完結し、公共政策やリーダーシップの専門分野をさらに深めるための科目を選択的に履修することが可能です。また、必須科目のほかに、5週間の夏季プログラムも含まれており、短期間ながらも濃密な学びを実現します。
このように、ハーバードケネディスクールでは、通常ですと2年間になります。
1年でやりたいとしてもミッドキャリア向けになると平均年齢40-42歳が対象なので、早めに修士に行きたいになると、こちらを選択することなく通常の2年間にいかれるのが良いでしょう。
短期間、オンラインでのプログラム
修士でのプログラムではないのですが、短期間、オンラインでのプログラムもあります。
- エグゼクティブ教育プログラム
フルタイムの学位プログラムが難しい方向けには、HKSのエグゼクティブ教育コースがあります。これらの短期プログラムは、数日から数週間程度で、シニアレベルのプロフェッショナルが現場の課題に即した知識を学べるように設計されています。35以上のプログラムが用意されており、特定のテーマやスキルに特化したカリキュラムを選べるため、学んだ内容をすぐに仕事に応用することが可能です。
- オンライン学習プログラム
HKSは、働きながらでも高品質な教育を受けられるようにオンラインプログラムも提供しています。これらのプログラムでは、ハーバードの教授や実務家とのインタラクティブなライブセッションが含まれており、仕事の合間に学びを深めることができます。修了後には証明書が発行され、特定の分野で3つのプログラムを履修すれば「エグゼクティブ証明書」を取得することも可能です。
- パブリックリーダーシップ資格(PLC)
PLCは、公共リーダーシップの向上を目指す方向けのオンラインコースシリーズで、意思決定やリーダーシップ、政策策定のスキルを学びます。働きながら柔軟に学べるため、キャリアを中断せずにリーダーシップ能力を高める手段として活用されています。
ケネディスクールで働きながら学ぶ
ハーバードケネディスクールでは、在学中に収入を得るための仕事の機会が提供される場合があります。ただし、これらの機会についてはHKSに入学後に検討するのが推奨されています。特に1年目の学生は、コースのスケジュールが厳しく学業が最優先であるため、最初は学業に集中することが強く勧められています。新しいスケジュールに慣れた後であれば、パートタイムの仕事が収入源の一つとなり得ます。
- ティーチングアシスタントプログラム
HKSでは、ティーチングアシスタント(TA)としての役割を果たす機会があり、コースアシスタントやティーチングフェロー、コーチとして教授をサポートすることができます。 - ハーバード大学プロクターおよびチューター
プロクターやチューターとして、ハーバードカレッジの学部生を支援し、アドバイスを提供する役割もあります。 - JACK: Jobs and Careers for the Kennedy School
HKSの学生と卒業生向けの求人バンクで、フルタイムやフェローシップ、サマーインターンシップ、キャンパス内での仕事が提供されています。 - サマーインターンシップ
2年制プログラムの学生の多くは、夏季インターンシップを経験します。公共サービス分野でのインターンシップには資金援助も提供され、貴重な経験を積む機会となります。
修士1年目は授業に集中するのが良いと思いますが、2年目や、間の夏休みとかで様々なチャンスがあります。