公共政策大学院の学習・研究計画書の書き方(院試出願) – 具体的な出願書類の合格サンプル(東大、京大、一橋等)

公共政策大学院の出願書類になっている計画書について説明します。今回主に、公共政策の中でも経済学(関連)コースに焦点を当てて記載しますが、他の分野でも当てはまります。

 

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経済セミナー編集部 (編集)
出版社:日本評論社、出典;出版社HP

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公共政策大学院は、専門職大学院の位置づけにあり通常は2年のコースで終え、そこから実務分野に進むのがスタンダードになっております。もちろん、その後進学という道もありますが、基本はコースの中でも修士論文などが必須とはなっていないところもあります。

国内でも主要な大学で準備されていますが、それぞれ継承なども異なってきます。

例えば、東大、京大はストレートに公共政策大学院の名称ですが、一橋は国際・公共政策大学院と言うかたちとなります。また阪大は専門職大学院としては置いてないですが、国際公共政策研究科の博士前期が2年間で同等のプログラムに位置づけられます。

 

そこでは実際にはどのような計画書が求められているのでしょうか。

実際に先程の主要大学を見てみると、それぞれ呼称や文字数も違ってくるのが分かります。

主要公共政策大学院プログラムの計画書一覧

公共政策プログラム 呼称 文字数(日本語)
東京大学公共政策大学院 学習計画書 2500字程度
一橋大学国際・公共政策大学院 研究計画書 3000字程度
京都大学公共政策大学院 自己申告書 2000字程度
大阪大学大学院国際公共政策研究科(博士前期) 研究計画書 5000字程度

東大、京大の公共政策大学院は文字数も少なめで、フォーマットも何を書けばと相対的には具体的な指示をしております。ちなみに東大公共政策大学院の方では、文字数は書かれておりませんが、文字のフォント、枚数からこの辺りが限度数となります。

一橋大学国際・公共政策大学院と大阪大学大学院国際公共政策研究科(博士前期)ですが研究計画書となっている通り、文字数もある程度あります。しかしながら他の研究科にあるような、ほぼ研究について触れるような形ではなく、これまでの学部、職務、またはこれから卒業後についてもある程度書いていく必要があります。

 

計画書の中心は大学院に入ってからの学習計画の箇所

大枠では文字数について言われていますが、実際に細かくどの項目で何文字というのは言われておりません。しかしながらメインでは実際に大学院に入ったらについてを半分以上書くのが良いでしょう。

そこではどのようなプログラムがあって、どのような先生がいて、こういう事をやっていきたいなど実際にしっかり調べていきましょう。

 

他の大学の公共政策大学院併願の場合

もちろん、各公共政策大学院を併願する場合もあるかと思います。その場合はうまくフォーマットに合わせて各大学のプログラムに応用しましょう。まずは第一志望のプログラムの計画書を書き、その他は文章を追加、または削るなどしていきましょう。実際1つ書いてしまえば、他はうまく調整しながら書けます。

 

 

他の研究科(経済学など)の併願の場合

また、公共政策大学院での経済に関わるコースと同じ大学での大学院で経済学研究科のコースを併願する場合などもあるかと思います。例えば東大での公共政策大学院(経済政策コース)と東大での経済学研究科の併願は良くあります。

この場合でもこれまで多数質問を受けていましたが、多い質問はそれぞれの出願において(公共と経済学研究科)において、全く違うことを書いたほうが良いのか?と言うことです。

ここでの答えは、似たものになってしまっても問題ないということです。

例えばですが、経済学研究科の方の研究計画書で労働経済学での分野で書いたとすれば、公共の方での計画書でも労働経済学、または興味がある労働経済の分野を記入しても良いです。実際にこれまで、その方法で多くの方が両方から合格をもらっていました。実際に最後にその合格のサンプル抜粋も紹介します。

似たような事をかいても大丈夫と思う方もいるかもしれませんが、むしろ同じ大学での場合は、おそらくですが公共政策大学院と経済学研究科の方では志望者が両方を併願していると理解していると考えられます。そうするとある程度やりたいこと(興味、研究分野)に関しては一貫性がある方が良いです。

ただし、例えば経済学研究科の方が第一志望である場合で、理論経済学をやりたい場合、公共政策大学院の方の計画書ではそぐわない場合があります。その場合はある程度延長させて、応用分野を書くようにしましょう。

経済セミナー編集部 (編集)
出版社:日本評論社、出典;出版社HP

 

参考文献の記載について

参考文献についての記載については大学側ではあまり細かく要項などでも書かれていませんが、参考文献は書いておくのが良いです。現にこれまでの合格した方は記載しております。

ただし、もともと文字数が少ないため、例えば東大公共政策大学院でしたら2,3つの論文や記事のみの引用でとどめておくのが良いでしょう。しっかりと確認したい場合は、各公共政策大学院の問い合わせで電話・メールもしてみると良いでしょう。

 

公共政策大学院の計画書のサンプル

公共政策大学院の計画書

私は貴大学院にて雇用に関わる政策について学習したいと考えている。各人の生活の経済的基盤は雇用・労働によって形作られている側面があり、その基盤的部分にアプローチできる点で雇用・労働政策は重要である考えられ、それが私がこの分野に興味を持つ理由である。将来的には、貴大学院で学んだ経験を活かして国家公務員やシンクタンク研究員など労働政策にかかわる政策関係者として働きたいと考えている。

私は雇用に関わる問題の中でも特に「最低賃金」や「労働の機械化」に興味関心があるが、以下で述べるように、これらトピックは政策関係者にとって重要なトピックである。

最低賃金は低所得労働者の所得確保や格差縮小の観点から引き上げが求められることもある。理論的には、完全競争的労働市場を仮定すれば..

 

 

とこのような形で進めることができます。

下記ではその分野で経済学研究科に出す場合です。

経済学研究科の計画書

雇用に関する研究は多くなされており、その中でも最低賃金についての研究は長年続けられている。最低賃金制度は労働市場において決定される賃金が公正な賃金水準よりも低いという判断のもとに政府が賃金水準の下限を決定する制度(川口 2017)であり、低所得者の所得の確保や経済格差縮小の観点からその引き上げが求められることもある。最低賃金が雇用に与える影響については経済学者による多くの理論・実証研究が進められている。

理論的には、完全競争的な労働市場を想定すれば、最低賃金を引き上げると労働需要が減少し、労働供給は増加するため雇用が奪われる可能性が考えられる。一方で、準実験デザイン手法を用いたCard and Krueger(1994)をはじめとする研究では(Neumark and Wascher 2000などの反論はあるものの)最低賃金の引き上げが必ずしも雇用を減少させるとはいえないことが示されており、最低賃金の効果についてはこれまで多くの地域・国を対象に分析が行われてきたが、現在に至るまで最終的なコンセンサスには至っていない(Neumark 2018,2019)。

 

とある程度、参考文献も多めに入れながら書いおります。

 

 

公共政策大学院の具体的な内容

最後にですが、下記の一覧を確認しておきましょう。

東京大学公共政策大学院

 

大学院での学習計画及び学習計画と将来志望する進路との関係などについて記載すること。

また、学業以外の活動の経過についても、学習計画に関連するものがあれば記載すること。

・上部に「志望コース名」「氏名」を明記すること。
・本様式を使用して、日本語で2ページ以内に収まるように作成すること。
・文字の大きさは11ポイント以上とし、横書きとすること。
・必ず上記の指示に従って作成すること。指示通りに作成されていない場合は不備書類として扱うので十分に注意すること。

 

 

 

一橋大学国際・公共政策大学院

(研究計画書作成上の注意)
1. A4 版の用紙を使ってください。
2. 研究計画書は 3 部作成してください。それぞれに表紙(このページ)をつけ、
左上 1 か所をホチキスでとめてください。
3. 研究計画書のまとめかたは、募集要項の「6. 出願書類」を参照してください。

「6. 出願書類」

以下の 3 点について全部で、3,000 字程度にまとめてく∑ださい。
① 従来の勉強の成果
② 入学後のテーマ
③ 修了後の進路希望

 

 

京都大学公共政策大学院

 

1. この申告書は、選考の重要な資料となるので、4頁あわせて2,000字程度で具体的に記述すること。
2. 氏名(各頁)以外は、ワープロ等の使用可。(ただし、本紙に直接印字し、また、本紙の書式(フォーマット)を変更しないこと。書式の変更がなされた場合、出願書類の不備と判断される場合がある。)
3. ※欄は、記入しないこと。

フォーマット

(本大学院を志望する動機、および目的)

(入学後の学習方針・計画)

(修了後の将来展望/および職業人の志願者は、自らの経歴・仕事の内容)

(その他、特にアピールしたい点)

 

 

大阪大学大学院国際公共政策研究科(博士前期)

以下について、自由形式で記述してください。(Please describe the following two sections in free format.)

1.志望動機 (Statement of Purpose)

2.これまでの研究/学修歴及び指導教員名(Past Research /Study and Name of Supervisor)
※あれば研究室等のURL(Laboratory URL, if any)

3.入学後の研究計画 (Research Plan)

4. 卒業後の進路 (Your Future Career Plans)

 

経済セミナー編集部 (編集)
出版社:日本評論社、出典;出版社HP