【東北大学経済学部】2022年度(2021年実施)編入試験 – 解答、第Ⅰ問

2022年度(2021年実施)

 

第Ⅰ問

下記記載

第Ⅱ問

【東北大学経済学部】2022年度(2021年実施)編入試験 – 解答、第Ⅱ問

第Ⅲ問

【東北大学経済学部】2022年度(2021年実施)編入試験 – 解答、第Ⅲ問

 

 

第Ⅰ問

問1(1)
固有値ベクトルとは,行列Aを掛けても,λ倍されるだけで方向が変わらないベクトルのことです.
また,このときの定数λをAの固有値と言います.
(2)内積と転置行列の関係を用いて、対称行列で下記が成り立つ成り立つことと、
\begin{eqnarray}
(\mathbf{a}_{i}, \hspace{0.5mm} A\mathbf{a}_{j})
&=& (A^{T}\mathbf{a}_{i}, \hspace{0.5mm} \mathbf{a}_{j})
\\
&=& (A\mathbf{a}_{i}, \hspace{0.5mm} \mathbf{a}_{j})
\\
&=&
( \lambda_{i} \mathbf{a}_{i}, \hspace{0.5mm} \mathbf{a}_{j})
\\
&=&
\lambda_{i}( \mathbf{a}_{i}, \hspace{0.5mm} \mathbf{a}_{j})
\\
また、同じく
\\
\lambda_{j}( \mathbf{a}_{j}, \hspace{0.5mm} \mathbf{a}_{i})
\end{eqnarray}

問2

次の行列$\boldsymbol{B}$について考えます。ただし,aは実数の定数.
\begin{align*}
\boldsymbol{B}=\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3
3 & 6 & a^2
6 & 4a & 5a+3
\end{pmatrix}
\end{align*}(1)行列$\boldsymbol{B}$のランクを場合分けして求めましょう.
まず,行の基本変形を示します.
\begin{align*}
\boldsymbol{B}&=\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3
3 & 6 & a^2
6 & 4a & 5a+3
\end{pmatrix}
&= \begin{pmatrix}
1 & 2 & 3
0 & 0 & a^2-9
0 & 4a-12 & 5a-15
\end{pmatrix}
&= \begin{pmatrix}
1 & 2 & 3
0 & 4a-12 & 5a-15
0 & 0 & a^2-9
\end{pmatrix}
\end{align*}
ここで,$4a-12=0\Leftrightarrow a = 3$が成立するとランクは1,$a^2-9=0\Leftrightarrow a=3,-3$が成立するとランクは2となります.その他の場合には行列$\boldsymbol{B}$はフルランクとなるので,以下の通り.
\begin{align*}
\text{rank}\boldsymbol{B}=\left\{
\begin{array}{ll}
1 & a = 3
2 & a = -3
3 & \text{otherwise}
\end{array}
\right.
\end{align*}(2)逆行列が存在するためのaの範囲は?
行列式が0でない(正則)であることが条件なので,
\begin{align*}
|\boldsymbol{B}|=(4a-12)(a^2-9)\neq0
\end{align*}
を満たすaは$a\ne \pm3$であること.(3)a=0のとき,逆行列を求めましょう.
この時,行列$\boldsymbol{B}$は,
\begin{align*}
\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3
0 & -12 & -15
0 & 0 & -9
\end{pmatrix}
\end{align*}
となる.また,逆行列は,
\begin{align*}
\boldsymbol{B}^{-1} = \frac{1}{|\boldsymbol{B}|}\widetilde{\boldsymbol{B}}
\end{align*}
として求められる.ここで,$\widetilde{\boldsymbol{B}}$は,
$\boldsymbol{B}$の余因子行列です.まずこれを求めましょう.
\begin{align*}
\widetilde{\boldsymbol{B}}=\begin{pmatrix}
108 & -18 & 12
0 & 9 & -15
0 & 0& -12
\end{pmatrix}
\end{align*}
となります.よって,また,行列式は,
\begin{align*}
|\boldsymbol{B}| = 108
\end{align*}
より,求める逆行列は
\begin{align*}
\boldsymbol{B}^{-1}&=\frac{1}{108}\begin{pmatrix}
108 & -18 & 12
0 & 9 & -15
0 & 0& -12
\end{pmatrix}
&= \begin{pmatrix}
1 & -1/6 & 1/9
0 & 1/12 & -15/108
0 & 0& -1/9
\end{pmatrix}
\end{align*}

問3,

1,任意の自然数nに対し、k=1,2,3,…,nまでの和を求めます。
これは、$\sum_{k=1}^nk^{-2}=\frac{1}{1^2}+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+…+\frac{1}{n^2}$です。
この和は、nが大きくなるにつれて、指数の値が大きくなるため、各項の値は小さくなっていきます。そして、nが無限大になると、各項の値は0に近づくため、和全体も0に近づいて収束します。
従って、k=1,2,3,…,∞までの和は収束することが示されました。

2,$S_n$が発散することを示すために、数列${k^{(-1)}}$が収束することを示す必要があります。
$k^{(-1)}$は$\frac{1}{k}$ですので、この数列は$\frac{1}{1}, \frac{1}{2}, \frac{1}{3}, \frac{1}{4}, \dots$となります。この数列の$n$番目の項は$\frac{1}{n}$です。この数列は収束することがわかっているので、数列${k^{(-1)}}$も収束することが示せました。
このように収束する数列の和は必ず収束するので、数列${k^{(-1)}}$の和$S_n$も収束することが期待されます。
しかし、$S_n$が収束することは明らかに不可能です。$S_n$は$\sum_{k=1}^n \frac{1}{k}$ですから、$n$が大きくなると$S_n$も大きくなることがわかります。例えば、$n=1$のとき$S_1=1$、$n=10$のとき$S_{10}=2.9$、$n=100$のとき$S_{100}=5.2$となります。このように$n$が大きくなるにつれて$S_n$も大きくなるため、$S_n$は発散することがわかります。
以上から、数列${k^{(-1)}}$の和$S_n$は発散することが示されました。

 

問4,

1,「f(x)がx=aで連続である」という定義は,xがaに近づいていくとf(x)の値もaに近づくということを意味します.これは、xがaに近づくたびにf(x)の値もaに近づくということを意味します.たとえば,x=aのときにf(x)の値が2である場合、xがaから少し離れた値を取ったとしてもf(x)の値は2から少し離れるだけであり,xがaに近づくたびにf(x)の値も2に近づくことになります.連続とは,xがaから少し離れたときにf(x)の値もaから少し離れるということを意味します.

2,まず,「$|f(x)|$が連続」であるということは,xがaから少し離れたときに$|f(x)|$の値もaから少し離れるということを意味します.このような場合、$|f(x)|$がaから小さく離れる場合と,aから大きく離れる場合が考えられます.
次に,xがaから小さく離れる場合を考えます.この場合,xがaから離れるにつれて$|f(x)|$の値もaから離れていきます.つまり、xがaから離れるにつれてf(x)の値もaから離れることになります.この場合,f(x)も「x=aで連続」であると言えます.
次に,xがaから大きく離れる場合を考えます.この場合、xがaから離れるにつれて$|f(x)|$の値もaから離れていきます.つまり,xがaから離れるにつれてf(x)の値もaから離れることになります.この場合も,f(x)は「x=aで連続」であると言えます.
以上から,「$|f(x)|$が連続」ならば,「f(x)も連続」であることが証明されました.

 

問5,

$g(x,y) = x^xy^y$ の最小値とそれを与える(x,y)を求めるためには,まずこの関数を偏微分して,その結果が0となる(x,y)を求める必要があります.
g(x,y)を偏微分すると,次のようになります.
$gx(x,y) = x^{(x-1)}y^yxln(x)$
$gy(x,y) = x^xy^{(y-1)}yln(y)$
この式から,g(x,y)が最小値を取るときには,次の式が成り立つことがわかります.
$gx(x,y) = 0$
$gy(x,y) = 0$
このとき,(x,y)は次のように求めることができます.
$x = e^{(1/e)}$
$y = e^{(1/e)}$
このとき,$g(x,y) = x^xy^y = (e^{(1/e)})^(e^{(1/e)}) = e^(1) = e $であることがわかります.よって,g(x,y)の最小値はeであり,それを与える(x,y)は$(x,y) = (e^{(1/e)}, e^{(1/e)}) $であると答えることができます.

 

問6

\begin{align*}
\int\frac{\log x}{x}dx
\end{align*}
を計算します.$\log x=t$とおく.このとき,
\begin{align*}
x &= e^t \\
\frac{dx}{dt} &= e^t \Leftrightarrow dx = e^tdt
\end{align*}
となるので,
\begin{align*}
\int\frac{\log x}{x}dx &= \int\frac{t}{e^t}e^tdt\\
&= \int t dt\\
&= \frac{t^2}{2}+C\\
&= \frac{1}{2}(\log x)^2 + C\quad(C:\text{積分定数})
\end{align*}
となります.
部分積分を用いて,
\begin{align*}
\int x\cos x dx &= x(\sin x)-\int\sin xdx\\
&= x(\sin x)+\cos x + C\quad(C:\text{積分定数})
\end{align*}
と解けます.

問7,

球の体積の導出はさまざまな方法がありますが,今回は球を半円の回転体として考えた場合の導出をします.前提として,原点を中心とした半径rの円の方程式が$「x^2+y^2=r^2」$となることを確認しておきましょう.半円をx軸中心に回転させると球になります.回転した後の部分を円柱と捉えると、この円柱の体積$V_1$は、$V_1=y^2πx$と表すことができます.円の方程式$「x^2+y^2=r^2」$を変形すると、$y=√r^2−x^2$
$\begin{aligned} v & =\int_{-r}^r y^2 \pi d x & =2 \pi \int_0^r\left(\sqrt{r^2-x^2}\right)^2 d x &\end{aligned}$$\begin{aligned}=2 \pi \int_0^r\left(r^2-x^2\right) d x & =2 \pi \cdot\left(r^3-\frac{r^3}{3}\right) & =\frac{4}{3} \pi r^3\end{aligned}$よって,球の体積は$V=\frac{4}{3} \pi r^3$となります.

 

 

 

 

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出典:出版社HP