【京都大学公共政策大学院】2023年度院試試験 – 解答、経済理論問題2

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問題2

(1)消費者iの公共財の私的財で測った限界代替率は,
\begin{align}
MRS_i^{Gx} = \frac{\partial u_i/\partial G}{\partial u_i/\partial x_i} = \frac{x_i}{G}\quad\quad(15)
\end{align}
である.パレート効率的な資源配分であるための条件は,サミュエルソン条件より,
\begin{align}
\frac{x_A}{G}+\frac{x_B}{G} = 1\quad\quad(16)
\end{align}
となる.また,私的財の合計は初期保有量の合計であるため,パレート効率的な配分における公共財の供給量は,
\begin{align}
x_A+x_B = G \Leftrightarrow G = 10\quad\quad(17)
\end{align}
となる.

(2)このとき,消費者Aは次の効用最大化問題を解く.
\begin{align}
\text{max}_{g_A}\quad (g_A+g_B)(\bar{x}_A-g_A)\quad\quad(18)
\end{align}
効用最大化の一階条件から,
\begin{align}
\begin{aligned}
\label{A_response}
\frac{\partial (g_A+g_B)(\bar{x}_A-g_A)}{\partial g_A}&=\bar{x}_A-g_A-g_A-g_B=0\\
g_A &= \frac{\bar{x}_A-g_B}{2}\quad\quad(19)
\end{aligned}
\end{align}
となる.消費者Bは対照的な状況なので,同様に求めることで,
\begin{align}
\label{B_response}
g_B = \frac{\bar{x}_B-g_A}{2}\quad\quad(20)
\end{align}
となる.式(\ref{A_response}),式(\ref{B_response})より,
\begin{align}
\begin{aligned}
g_A &= \frac{\bar{x}_A}{2}- \frac{\bar{x}_B-g_A}{4}\\
g_A &= \frac{4}{3}(\frac{\bar{x}_A}{2}-\frac{\bar{x}_B}{4})\\
g_A &= \frac{2\bar{x}_A-\bar{x}_B}{3}\\
&= \frac{8}{3}\quad\quad(21)
\end{aligned}
\end{align}
これを式(\ref{B_response})に代入することにより,
\begin{align}
g_B &= \frac{2\bar{x}_B-\bar{x}_A}{3}\quad\quad(22)\\
&= 2\quad\quad(23)
\end{align}
また,各消費者の私的財の消費量は,
\begin{align}
x_A &= \bar{x}_A-g_A = 6-\frac{8}{3} = \frac{10}{3}\quad\quad(24)\\
x_B &= \bar{x}_B-g_B = 4-2 = 2\quad\quad(25)
\end{align}
以上より,ナッシュ均衡における各消費者の私的財の拠出量,及び配分は$(x_A,x_B,G)=(\frac{10}{3},2,\frac{14}{3})$である.
\\\\
(3)(1)より,パレート効率的な配分における公共財の供給量,$G=10>\frac{14}{3}$より,ナッシュ均衡における公共財の供給量は,パレート効率的な水準として過小である.\\
これは,自らが貢献した公共財が他者に与える正の外部性を考慮しないために,個々の公共財供給量が過小になり,ただ乗り問題が発生するためである.