【京都大学公共政策大学院】2022年度院試試験 – 解答、経済理論問1

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問1

右上がりの供給曲線は,「財の価格が上昇すると,供給者はより多くの財を供給しようとする」という供給の法則に基づくものです.財の供給者が自らの利潤を最大化すると仮定されているので,価格が上昇すればより多く供給します.

短期的には,財の供給者である企業は工場の建設費やオフィスのレンタル料などすぐに(短期的に)変更できない固定費用を抱えています.よって企業の供給量は財の価格に比較的,非弾力的であり,価格の変化が供給量に与える影響は少ない,つまり供給曲線の傾きが緩やかです.

長期的には,工場の建設費やオフィスのレンタル料などは固定費用ではなくなるため,利潤が正でなくなるほど財の価格が下がれば企業は市場に参入しません.また,生産プロセスを調整し,生産能力を拡大するための柔軟性を持つようになります.よって,長期的な供給曲線の傾きは,短期的な供給曲線の傾きに比べて急です.