【過去問】慶應義塾大学大学院経済学研究科 – 入試問題(院試)解答

2022年度実施(2022/07/09)

問題1

A

A-1
寡占企業での分析となります。

 

(a)

企業1は次の利潤最大化問題を解きます.

\begin{align}
\text{max}_{q_1}\quad (1000-q_1-q_2-100)q_1\quad\quad(1)
\end{align}
利潤最大化の一階条件より,企業1の最適反応は,
\begin{align}
\label{q1}
1000-2q_1-q_2-100=0 \Leftrightarrow \text{BR}_1(q_2)=q_1=\frac{900-q_2}{2}\quad\quad(2)
\end{align}
となります.
企業2についても同様に,次の利潤最大化問題を解きます.
\begin{align}
\text{max}_{q_2}\quad (1000-q_1-q_2-100)q_2\quad\quad(3)
\end{align}
利潤最大化の一階条件より,企業2の最適反応は,
\begin{align}
\label{q2}
1000-q_1-2q_2-100=0 \Leftrightarrow \text{BR}_2(q_1)=q_2=\frac{900-q_1}{2}\quad\quad(4)
\end{align}
となります.式(4)を式(2)に代入して,
\begin{align}
\begin{aligned}
q_1=450-\frac{900-q_1}{4}=450-225+\frac{q_1}{4}
\frac{3}{4}q_1=225 \Leftrightarrow q_1=300\quad\quad(4)
\end{aligned}
\end{align}

を得ます.これを式(4)に代入すると,$q_2=300$となります.

以上より,クールノーナッシュ均衡の生産量の組み合わせは,$(q_1,q_2)=(300,300)$です.

 

 

 

 

(b)

生産量の上限制約がない時の最適な生産量は$q_1=300$なので,与えられた制限の中で利潤を最大にするのは,$q_1=200$です.

企業1に生産量の上限があることは企業2も知っているため,これを企業2の最適反応であす,式(4)に代入すると,

\begin{align}
q_2=\frac{900-200}{2}=350\quad\quad(6)
\end{align}

となります.よって,この時のクールノーナッシュ均衡での生産量の組み合わせは,$(q_1,q_2)=(200,350)$です.

 

 

 

(c)

企業1のタイプがUnconstrainedの時の企業1,2の利潤を求めます.
$(q_1,q_2)=(300,300)$なので,市場価格は$p=1000-600=400$となります.
企業1の利潤は,

\begin{align}
\text{$\pi_1$}=(400-100)300 = 90000
\end{align}
となります.企業2も同様に,
\begin{align}
\text{$\pi_2$}=(400-100)300 = 90000
\end{align}

となります.
また,企業1のタイプがBoundedの時の企業1,2の利潤を求めます.$(q_1,q_2)=(200,350)$なので,市場価格は,$p=1000-200-350=450$となります.
企業1の利潤は,

\begin{align}
\text{$\pi_1$}=(450-100)200 = 70000
\end{align}
となります.企業2も同様に,
\begin{align}
\text{$\pi_2$}=(450-100)350 = 92500
\end{align}

となります.
企業1の取りうる戦略の集合は,$S_1=\{300,200\}$で,

企業2のとりうる戦略の集合は,$S_2=\{300,350\}$です.