本書、Paul E. Smaldinoの著書『Modeling Social Behavior』は、社会行動と文化進化の数理的およびエージェントベースのモデルについて詳しく解説しています。この本は、具体的な数学的手法とエージェントベースのシミュレーションを用いて、社会的ダイナミクスや文化進化の様々な側面をモデル化する方法を学ぶための教科書として構成されています。
Paul E. Smaldinoはカリフォルニア大学マーセド校の認知および情報科学の准教授であり、定量的・システム生物学の大学院プログラムの教員でもあります。彼はまた、サンタフェ研究所の外部教授およびスタンフォード大学行動科学高等研究センターの研究アフィリエイトです。彼の研究は、社会ダイナミクスと文化進化に焦点を当てており、協力、コミュニケーション、社会的アイデンティティ、科学機関に関する研究が含まれます。
対象読者:
本書は社会科学、行動科学、認知科学の専門家や研究者を主な対象読者としています。これには心理学、社会学、人類学、経済学、政治科学、認知科学、行動生態学のバックグラウンドを持つ方、また、こ流行病学、進化生物学、コミュニケーション、コンピュータ科学、応用数学、哲学など関連分野の方にもおすすめです。
内容:
1章ではモデリングの哲学的アプローチといくつかの重要なモデリング概念を紹介します。2章ではNetLogoを使用したエージェントベースモデリングについて説明し、簡単なモデルの作成を通じてこれを実践します。3章ではSchellingの隔離モデルと空間モデリングの核心概念について解説します。4章では病気、情報、行動の拡散を研究するために使用される区画モデル(compartment models)を導入します。5章では意見ダイナミクスに焦点を当て、社会的影響を通じて個々の意見がどのように変化するかを探ります。
6章では協力に関する概念と技術について詳述し、ゲーム理論、進化ダイナミクス、ハミルトンの法則を紹介します。7章では進化モデリングパラダイムをさらに拡張し、調整ゲームを用いて規範の出現、グループ構造の役割、労働分担を研究します。8章では科学的探求とその慣行のモデリングに焦点を当て、ベイズ定理を導入します。9章ではネットワーク科学を紹介し、社会的クリーチャーがどのようにして情報の流れを形成するかを探ります。10章では独自のモデルの構築ガイドラインと、それらのモデルを理論的対象として、また実証的データと照らし合わせて分析する方法について議論します。最終章ではモデリングの約束について説明し、結論を急ぐ際の注意を促します。