ミクロ経済学の勉強の順番は?

【入門から】経済学を学ぶ順番ミクロ・マクロ – 参考書を利用しよう

 

 

 

 

神取 道宏 (著)
出版社 ‏ : ‎ 日本評論社、出典:出版社HP

 

ミクロ経済学の学習内容

ミクロ経済学の方がマクロ経済学よりも参考書は体系的な構成になっております。逆を言うとマクロ経済学の方では内容も書かれている順番なども参考書によって違いがでてきます。

ミクロ経済学は大きく価格理論とゲーム理論のパートに分かれているおります。もちろん価格理論のみ、ゲーム理論のみと言った形でそれぞれだけでの参考書も多数あります。

ミクロ経済学の参考書の順番にしても価格理論で消費者→生産者→市場均衡、ゲーム理論では非協力ゲームの枠組みが中心となり、大きく分けて戦略と展開ゲームについて学びます。各ミクロ経済学の教科書の目次は下記のようになっております。

ダロン・アセモグル (著), デヴィッド・レイブソン (著), ジョン・リスト (著), 岩本 康志 (監修, 翻訳), 岩本 千晴 (翻訳)
出版社 ‏ : ‎ 東洋経済新報社、出典:出版社HP

 

 

 

ミクロ経済学の勉強の順番ですが大枠では「価格理論」と「ゲーム理論」について学ぶ必要があります。これらのトピックがミクロ経済学を学ぶ上での根幹になります。

この辺り両方カバーしている書籍もあれば、価格理論のみ、ゲーム理論のみという書籍もあります(古い教科書ですとゲーム理論が少しだけカバーしているという場合もあります)。

ですので教科書等でミクロ経済学を体系的に学ぶときは、下記の1.〜9.が書かれている教科書を選ぶのが良いかです。

 

下記は1,2が入門初級、3〜5が中級の教科書でミクロ経済学の両パートが記載されています。是非参考にしてみてください。

1. 大学の人気講義でよく分かる「ミクロ経済学」超入門

2. アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学

3. ミクロ経済学(伊藤元重)

4. ミクロ経済学の力

5. ミクロ経済学(奥野正寛)

ランキングも確認
出典:出版社HP

 

価格理論

1. 基本的な概念の理解
– 価格理論の基本となる市場メカニズムの特長と問題点を理解する。

2. 消費者の行動
– 「消費者行動の理論」を通じて、消費者の選好、効用、最適消費などの基本的な概念を学ぶ。

3. 企業の行動
– 「企業行動の理論」を学び、企業の生産、利潤最大化、費用関数などについて理解を深める。

4. 市場均衡の理解
– 「市場均衡」で、部分均衡分析、一般均衡分析、市場メカニズムの効率性などを学ぶ。

5. 市場の失敗とその原因
– 「市場の失敗」を通じて、外部性や公共財、独占など、市場が効率的に機能しない原因を学ぶ。

ゲーム理論

6. ゲーム理論の導入
– ゲーム理論の必要性を理解する。

7. 同時手番のゲームとナッシュ均衡
– ゲームの基本的な概念やナッシュ均衡、寡占のモデルなどを学ぶ。

8. 時間を通じたゲームと戦略
– 時間を考慮したゲームや戦略の信頼性について学ぶ。

9. 情報の非対称性とその影響
– 「モラル・ハザード」と「逆淘汰とシグナリング」で、情報の非対称性がもたらす経済的な問題とその解決策について学ぶ。

 

 

 

ランキングも確認
出典:出版社HP

 

ミクロ経済学: 価格理論とゲーム理論の要点、違い

また下記で、主な価格理論とゲーム理論の要点と違いにも見ておきましょう。

ミクロ経済学: 価格理論とゲーム理論

1. 価格理論 (Price Theory)
定義: 市場における商品やサービスの価格がどのように決定されるかを研究する理論。
主な内容:
– 需給の法則: 価格は、商品やサービスの供給量と需要量によって決まる。
– 生産の最適化: 企業がどのように生産量を決定し、コストを最小化するか。
– 消費者の選択: 予算制約の中で、消費者がどのように商品やサービスを選択するか。
利用例: 商品の価格が上がると、その商品の需要は減少すると予測される。

2. ゲーム理論 (Game Theory)
定義: 複数のプレイヤーが相互に戦略的な選択を行う状況を研究する理論。
主な内容:
– ナッシュ均衡: すべてのプレイヤーが最適な選択をしている状態。
– 協力ゲームと非協力ゲーム: プレイヤー間の協力が可能かどうかによるゲームの性質。
– 逐次的ゲーム: ターン制でプレイヤーが行動を選択するゲーム。
利用例: 2つの企業が価格を設定する時、相手の選択によって最適な選択が変わる。

違い:
価格理論は市場の均衡や価格の決定に焦点を当てる。ゲーム理論は複数の意思決定者の相互作用を分析する。

 

 

 

最後に主要な教科書の目次構成も見てみましょう。こういうところからどのような事を学ぶのか知ることが出来ます。

 

 

ミクロ経済学の力 ミクロ経済学(奥野) ミクロ経済学(武隈) アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学 レヴィットミクロ経済学 基礎編
序 章 経済学の目的と方法 序章 ミクロ経済学の方法と目的 1 基礎概念と分析手法 第Ⅰ部 経済学への誘い 第1部 基礎概念
 0.1 ミクロ経済学の方法 0.1 ミクロ経済学とは 1.1 経済分析の基本用語 1章 経済学の原理と実践  第1章 ミクロ経済学の冒険
 0.2 事実解明的な問いとミクロ経済学 0.2 ミクロ経済学の分析対象 1.2 経済循環 2章 経済学の方法と問い  第2章 需要と供給
 0.3 規範的な問いとミクロ経済学 0.3 ミクロ経済学からみた日本の農業政策 1.3 市場経済 3章 最適化:最善をつくす  第3章 需要と供給のツールを使って市場を分析する
1.4 数学的用語 4章 需要、供給と均衡 第2部 消費と生産
第1部 価格理論:市場メカニズムの特長と問題点 第Ⅰ部 経済主体の行動と価格理論  第4章 消費者行動
2 消費者行動 第Ⅱ部 ミクロ経済学の基盤  第5章 個人の需要と市場の需要
第1章 消費者行動の理論 第1章 消費者行動 2.1 選好と効用関数 5章 消費者とインセンティブ  第6章 生産者行動
 1.1 合理的行動:選好と効用関数 1.1 消費者とその行動仮説 2.2 効用最大化と需要 6章 生産者とインセンティブ  第7章 費用
 1.2 消費者の選好と無差別曲線 1.2 消費者の嗜好とその定義 2.3 需要の変化と財の分類 7章 完全競争と見えざる手 第3部 市場と価格
 1.3 最適消費:図解による分析 1.3 効用最大化と最適消費計画 2.4 交換の理論 8章 貿易  第8章 競争市場における供給
 1.4 重要な補論:数理モデルと現実の関係、およびミクロ経済学の考え方について 1.4 所得変化と需要 2.5 双対性アプローチ 9章 外部性と公共財
 1.5 限界分析入門 1.5 価格変化と需要 2.6 スルツキー方程式 10章 政府の役割:税と規制 レヴィットミクロ経済学 発展編
  (a) 限界効用 1.6 価格変化と需要:要因分析 練習問題 11章 生産要素市場
  (b) 消費の微調整と効用の変化 1.7 個別需要曲線と市場需要曲線 第3部 市場と価格
  (c) 限界代替率と限界効用の関係 1.8 応用例 3 企業行動 第Ⅲ部 市場構造  第9章 市場支配力と独占
  (d) 最適消費の条件 3.1 費用と供給 12章 独占  第10章 市場支配力と価格戦略
 1.6 最適消費の性質 第2章 生産者行動 3.2 生産技術と費用 13章 ゲーム理論と戦略的行動  第11章 不完全競争
  附論 無差別曲線は原点に向かって凸であると考えてよいか 2.1 企業とは何か 3.3 生産要素の需要 14章 寡占と独占的競争  第12章 ゲーム理論
 1.7 代替と補完の程度を測る分析道具:補償需要関数 2.2 生産者の技術とその定義 3.4 短期費用と長期費用 第4部 基礎から応用へ
 1.8 支出関数 2.3 生産関数の性質 3.5 費用関数の性質 第Ⅳ部 ミクロ経済学の拡張  第13章 投資,時間,保険
 1.9 所得効果と代替効果 2.4 短期の生産者行動:直接的な利潤最大化 3.6 生産集合 15章 時間とリスクのトレードオフ  第14章 一般均衡
  (a) 消費の二面性 2.5 短期の生産者行動:費用最小化 3.7 生産集合と利潤 16章 情報の経済学  第15章 情報の非対称性
  (b) 価格の上昇による所得の実質的な減少 2.6 短期の生産者行動:利潤最大化 練習問題 17章 オークションと交渉  第16章 外部性と公共財
  (c) 価格変化と需要の変化(スルツキ―分解) 2.7 長期の生産者行動:直接的な利潤最大化 18章 社会経済学  第17章 行動経済学と実験経済学
 1.10 価格弾力性 2.8 長期の生産者行動:費用最小化 4 競争経済の均衡
例題ゼミナール1 効用最大化から需要量を導く 2.9 長期の生産者行動:利潤最大化 4.1 市場均衡
2.10 長期と短期の関係 4.2 市場調整
第2章 企業行動の理論 2.11 個別供給曲線と市場供給曲線 4.3 交換経済における競争均衡
 2.1 経済学における企業のとらえ方 2.12 応用例 4.4 生産経済における競争均衡
 2.2 生産要素が一つ(労働)の場合の企業行動 練習問題
  (a) 生産関数 第3章 市場均衡
  (b) 利潤最大化 3.1 市場経済の分析手法 5 経済厚生
  (c) 費用関数と供給曲線 3.2 部分均衡分析 5.1 資源配分の効率性
  (d) 費用曲線の実例 3.3 長期の部分均衡分析 5.2 厚生経済学の基本定理
 2.3 生産要素が二つ(労働と資本)の場合の企業行動 3.4 部分均衡分析の応用例:物品税 5.3 余剰分析
  (a) 規模に対する収穫 3.5 一般均衡分析:ワルラス均衡 5.4 数量指数と物価指数
  (b) 生産要素間の代替と技術的限界代替率 3.6 一般均衡分析:パレート効率性 5.5 経済厚生の基準
  (c) 利潤最大化 3.7 一般均衡分析:生産経済 5.6 アローの定理
  (d) 長期の費用関数と供給曲線 3.8 市場メカニズムの再検討 練習問題
 2.4 生産要素と生産物がともに多数あってもよい、一般的な場合の企業行動 3.9 一般均衡分析の応用例:所得税・法人税
 2.5 利潤と所得分配:なぜ所得格差が生まれるのか 6 不完全競争
例題ゼミナール2 生産関数と労働者の取り分 第Ⅱ部 ゲーム理論と情報・インセンティヴ 6.1 独占市場
6.2 クールノー均衡
第3章 市場均衡 第4章 ゲーム理論の基礎 6.3 シュタッケルベルク均衡
 3.1 部分均衡分析 4.1 戦略的環境の本質 6.4 製品差別化と独占的競争
  (a) 市場需要と市場供給 4.2 戦略型ゲーム 6.5 価格差別
  (b) 産業の長期均衡 4.3 戦略型ゲームの均衡 6.6 2部料金制
  (c) 消費者余剰 4.4 展開型ゲーム 6.7 交換経済のコア
  (d) 部分均衡分析の応用例 4.5 展開型ゲームの均衡 6.8 極限定理
 3.2 TPPについて、これだけは知っておこう:TPPとコメの輸入自由化 練習問題
  (1) コメの供給曲線はどうすればわかるのか 第5章 不完全競争
  (2) 米作農家とはどのような人たちなのか 5.1 価格支配力の源泉 7 公共経済
  (3) コメの供給曲線を推計する 5.2 独占市場 7.1 課税の効果
  (4) 自由化前のコメ市場の均衡 5.3 寡占市場:クールノー・ゲーム 7.2 公共財
  (5) 自由化でコメの値段はどのくらい下がるのか 5.4 寡占市場:シュタッケルベルク・ゲーム 7.3 リンダール均衡
  (6) 自由化でコメの国内生産はどうなるのか 5.5 寡占市場:ベルトラン・ゲーム 7.4 外部性
  (7) 自由化で得をするのは誰か 練習問題
  (8) コメは自由化すべきか 第6章 不確実性と情報の非対称性
 3.3 一般均衡分析 6.1 不確実性下での意思決定:期待効用理論 8 不確実性と情報
  (a) 経済の全体像を見る:一般均衡モデル 6.2 不確実性下での市場取引:リスク・シェアリング 8.1 期待効用
  (b) 労働供給 6.3 情報の非対称性と契約理論 8.2 危険に対する態度
  (c) 一般均衡モデル(つづき) 6.4 事前の情報の非対称性:逆選択とシグナリング 8.3 保険と資産選択
  (d) 超過需要関数の性質 6.5 事後の情報の非対称性:モラル・ハザード 8.4 不確実性下の市場均衡
  (e) 均衡の存在 6.6 応用例:情報の非対称性と政策 8.5 モラル・ハザード
  (f) 交換経済の分析:エッジュワースの箱 6.7 オークションの理論 8.6 情報と期待
  (g) 市場メカニズムの効率性の論証:厚生経済学の第1基本定理 6.8 期待効用理論を超えて:プロスペクト理論 8.7 シグナリング
  (h) グローバリズムはなぜ起こるのか?:市場均衡とコア 練習問題
  (i) 厚生経済学の第2基本定理と効率性のための条件 第7章 外部性と公共財
  (j) 厚生経済学の第2基本定理と経済政策 7.1 外部性 9 証券市場
  (k) 市場メカニズムの特長とは?:分権的意思決定と情報・誘因 7.2 外部性の交渉による解決:コースの定理 9.1 証券市場の均衡
7.3 外部性の内部化:排出割り当て 9.2 平均・分散アプローチ
第4章 市場の失敗 7.4 外部性の内部化:ピグー税・補助金 9.3 資本資産価格付けモデル
 4.1 外部性 7.5 外部性の内部化:2点セット政策 9.4 企業の資金調達
  (a) 外部不経済下の市場均衡 練習問題
  (b) ピグー税 7.6 公共財
  (c) ピグー補助金 7.7 公共財の最適供給条件:サミュエルソン条件 10 国際貿易
  (d) 課税か補助金か? 7.8 公共財の私的供給:ただ乗り問題 10.1 貿易の利益
  (e) いくつかのコメント 7.9 公共財の公的供給:リンダール均衡 10.2 交易の理論
  (f) 交渉による外部性の解決とコースの定理 7.10 公共財の公的供給:クラーク・メカニズム 10.3 生産物価格と要素価格
 4.2 公共財 10.4 貿易のパターン
  (a) 公共財の最適供給:部分均衡分析 練習問題
  (b) リンダール均衡
  (c) 公共財の最適供給:一般均衡分析 11 ゲームの理論
11.1 標準形ゲーム
第5章 独占 11.2 2人ゼロ和ゲーム
 5.1 独占企業の行動 11.3 展開形ゲーム
 5.2 独占の弊害 11.4 部分ゲーム完全均衡
 5.3 自然独占と価格規制 11.5 繰り返しゲーム
練習問題
第2部 ゲーム理論と情報の経済学:経済理論の新しい流れ
12 投入産出分析
イントロダクション なぜゲーム理論が必要なのか 12.1 産業連関表
12.2 レオンチェフ体系
第6章 同時手番のゲームとナッシュ均衡 12.3 行列乗数
 6.1 ゲームとは? 12.4 一般化されたレオンチェフ体系
 6.2 ナッシュ均衡 練習問題
 6.3 ナッシュ均衡が実現する理由
 6.4 個人の利益追求と社会全体の利益の関係
 6.5 寡占への応用(I):数量競争と価格競争
  (a) 数量競争(クールノー・モデル)
  (b) 価格競争(ベルトラン・モデル)
 6.6 不確実性と期待効用
 6.7 混合戦略均衡とナッシュ均衡の存在
第7章 時間を通じたゲームと戦略の信頼性
 7.1 例:銀行の破綻処理
 7.2 部分ゲーム完全均衡
  (a) 展開型と時間を通じたゲームの戦略
  (b) 部分ゲーム完全均衡とは?
 7.3 寡占への応用(II):シュタッケルベルク・モデル
 7.4 コミットメント
 7.5 長期的関係と協調
第8章 保険とモラル・ハザード
 8.1 効率的な危険分担と保険の役割
 8.2 モラル・ハザードとその対策
第9章 逆淘汰とシグナリング
 9.1 逆淘汰とは?
 9.2 シグナリングの原理
 9.3 労働市場のシグナリング均衡
終 章 最後に、社会思想(イデオロギー)の話をしよう
 10.1 社会問題に対する意見の対立の根本にあるもの:共同体の論理 対 市場の論理
  (1) 共同体の論理とは
  (2) 市場の論理とは
  (3) 社会主義の失敗と共同体の論理の限界
  (4) 二つの論理の役割
 10.2 市場の恩恵を受けるのは誰か:補償原理と社会正義
奥野 正寛 (著)
出版社 ‏ : ‎ 東京大学出版会、出典:出版社HP