経済学大学院生向け修士論文,論文等の書き方アドバイス – John H. Cochrane: Writing Tips for Ph. D. Students

 

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John H. Cochraneによる経済学大学院生向け修士論文,論文等の書き方アドバイス(Writing Tips for Ph. D. Studentsより)。

 

 

 

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構成

論文執筆における中心的な貢献を明確にすることの重要性を説いている。以下が要点である。

  • 中心的な貢献を絞る: 論文の核となる新規性ある貢献を一つに絞り、それを具体的に一段落で述べることが求められている。「データを分析して興味深い結果が得られた」などの曖昧な表現は避け、具体的な結果を明確に示す必要がある。
  • 読者の関心を引きやすくする: 読者は論文全体を通して読むことはほとんどない。多くの読者は要点を知りたいだけで、詳細な変数定義や異なる手法での結果にはあまり関心がない。そのため、素早く結果を把握できるよう論文を構成すべきである。
  • 「新聞」スタイルの構成: 論文の構成は「新聞」スタイルが推奨される。重要な情報を最初に提示し、その後に詳細や背景を補足する。結論を最後まで引っ張る「冗談」や「小説」スタイルは避け、最初に結論を示し、その後に論証を加える形にする。
  • 余計な過程の削除: 読者は研究過程や失敗した試行には関心がない。どのようにして正解を見つけたのか、失敗したアプローチなどは省略し、結果に集中すべきだ。
  • 要約と序論: 要約は100〜150語以内に、中心的な貢献に焦点を当てて書く。他の文献には触れない。序論では、研究の結論だけでなく、その背後にある具体的な事実を提示する。

このように、論文の中心的な貢献を簡潔かつ具体的に示し、読者がすぐにその内容を把握できるように論文を構成することが求められる​。

 

 

 

 

 

 

 

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書き方

論文執筆の際に効率的かつ簡潔に書くことの重要性が強調されている。以下がその要点である。

  • 簡潔に書く: 論文は可能な限り短くすることが求められる。各文が意義を持ち、無駄がないか常に確認する。最終的な論文は40ページ以内に収め、草稿はそれより短くすべきだ。
  • 繰り返さない: 一度述べたことを再度言う必要はない。繰り返しは無駄であり、読者の忍耐を浪費する。何度も同じ点を述べないよう注意する。
  • 順序の徹底: 何をしたかを最初に説明し、その後に理由や他の手法との比較を行う。データ変換の説明なども、まず結果を述べてからその意義や別の方法を説明すべきだ。
  • 正確さを心がける: 各文が何かを意味し、正確に伝えているかどうかを確認することが重要だ。
  • 作業の記録: 他の学生が独力で論文内の数値や結果を再現できるよう、記録を十分に行う。標準誤差やシミュレーションの手法などが明確に文書化されている必要がある。
  • シンプルな手法を使用: 数学や複雑な推定手法を過剰に使うのではなく、シンプルな方法が推奨される。
  • 脚注の使い方: 脚注は、読者がスキップしても問題ない情報に限定する。重要な内容は本文に含め、必要のないものは削除する。
  • 表と図のキャプション: 表や図のキャプションは自立して理解できるようにし、必要な情報が含まれていることを確認する。詳細な変数の定義などは省略し、重要なポイントだけを示す。
  • 数字の表現: 有効数字は適切な桁数に抑える。小数点以下の桁数を制限し、簡潔で理解しやすい単位を使用する。
  • 能動態を使用する: 受動態ではなく、能動態を使い、誰が何を行ったのかを明確にする。また、一貫した時制の使用も重要である。
  • 具体性のある文章を書く: 技術的な専門用語や抽象的な表現は避け、具体的でわかりやすい言葉を選ぶべき。

 

 

 

 

 

 

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実証の場合のやり方

  • 識別の重要性: 実証研究の鍵は「識別」である。データ内で見える因果効果をどのように特定したのかを明確に説明しなければならない。多くの実証研究は「AがBを引き起こす」という主張に基づいており、それを証明するための識別戦略が不可欠だ。
  1. 右辺変数のばらつきを引き起こす経済メカニズムを説明する。自然実験に頼ることはほとんどできないため、実際の経済メカニズムを明確にすることが必要だ。
  2. 誤差項を構成する経済メカニズムを説明する。誤差項にどのような要素が含まれ、右辺変数に対してどのような影響を持つのかを明示する。
  3. 誤差項と右辺変数が無相関である理由を経済的な観点から説明する。この重要な仮定は、1と2を理解したうえでしか説明できない。
  4. 使用する計量手法の経済的背景も明示し、右辺変数との相関関係と誤差項との無相関を経済的に説明する。
  5. 操作変数とコントロールの違いを理解することが大切だ。zを右辺に追加すべきか、xの操作変数として使うべきかを判断できるようにする。
  6. 推定値を導くデータの変動源を記述する。例えば、固定効果を追加すると推定値の背後にあるデータの事実は異なることが多い。
  7. 供給曲線か需要曲線かを明確にする。これはモデリングしているのが誰の行動なのかを問うことで解明できる。
  8. 逆因果の可能性に注意する。yがxを引き起こすのか、zがyとxの両方に影響を与えているのかを考える。
  9. コントロール変数の選定には注意が必要だ。多くの論文では右辺変数が過剰に多いことがあり、すべての決定要因を入れるべきではない。
    • 高いR²は必ずしも良い結果ではない。例えば「左足の靴 = α+β 右足の靴 + γ 価格 + 誤差」のように、右足の靴はコントロールにするべきではない。
    • 教育が賃金に与える影響を研究する際に、産業をコントロール変数に含めると、R²が上がるが、教育がより良い産業に移行させる役割を無視してしまう。
  • データ内のスタイライズドファクトを示すことが重要だ。推定値やp値だけでなく、データに存在するパターンを明確に示す必要がある。
  • 経済的な意義を説明することも大切だ。特に大規模パネルデータでは、効果が小さくても統計的に有意になることがあるので、経済的な大きさも重視する。
  • 最後に、すべての重要な数値には標準誤差を含めることが必要。

 

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