公共政策大学院の存在
これまで質問も多くあったのが公務員試験との関係です。公共政策大学院を出ると公務員試験に有利になるのか、予備校的に使えるのかと言った質問ですが、結論から言うと決して有利になることはないが、上手く活用できる、ということです。この辺りは司法試験を目指す他の専門職大学院である法科大学院等とは違います。
公共政策大学院は、公務員試験の対策に特化した予備校ではなく、また公務員試験に有利になる特別な待遇を得られる場所でもありません。公共政策大学院は、政策の企画立案や分析能力を高めることを重視し、官民問わず実務能力や幅広い視野を育むための教育を提供しています。これにより、卒業生は中央省庁や地方自治体、シンクタンク、ジャーナリズムなど多様な分野での活躍を目指すことができます。
公共政策大学院のカリキュラムは、公務員試験に直接的に対応するものではなく、むしろ公務員試験合格後の実務において役立つ知識やスキルの習得を目指しています。具体的には、政策の企画・分析、法的知識、経済学や政治学に基づいた高度な教育が含まれ、これらの能力が実務での活躍を支える基盤となります。そのため、試験合格のためだけに必要な知識を短期間で集中的に学ぶ予備校のような場ではありません。
また、公共政策大学院に進学することが、公務員試験で特別に優遇されるわけではなく、試験の合否はあくまで個々の能力と努力によるものですが、公共政策大学院での授業を上手く使うことも出来ます。
公共政策大学院の授業と公務員試験の内容
公共政策大学院のカリキュラムと公務員試験の内容には、一部重複が見られます。これには、政策形成や分析の基礎的な知識、行政法規、経済学、財政学といった分野が含まれます。この重複は、大学院と公務員試験の両方が、公共政策の理解や、実際に行政で働く上での基礎知識を重視しているためです。
公共政策大学院のカリキュラム
公共政策大学院では、政策分析や評価、経済学、行政学、法律といった科目が提供されています。これらの科目は、政策の立案から実施、評価までを包括的に理解し、現実の課題に対応するための理論的な基盤を提供します。また、ケーススタディや実務に即した演習を通じて、実際の政策課題への対応力を高めることが重視されています。
実際に、例えば東京大学公共政策大学院を含む多くの公共政策大学院ではミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学、政治学、国際政治学、国際関係学、行政学、等々の授業が開講されています。
公務員試験の内容
例えば、国家総合職試験の院卒での国家総合職(院卒者試験)での専門試験（多肢選択式）では
行政区分の場合、専門試験（多肢選択式）は選択群ごとに選ぶことができ、
・選択Ⅰは政治・国際・人文系科目
・選択Ⅱは法律系科目
・選択Ⅲは経済系科目
があります。
受験者の基礎的な知識や問題解決能力を測るために、幅広い分野からの出題が行われます。行政や法律の基礎的な理解、経済学や財政に関する知識、また社会問題に関する論文の作成能力が求められることが一般的です。
重複内容
上記の公共政策大学院のカリキュラムと公務員試験での選択Ⅰは政治・国際・人文系科目、選択Ⅱは法律系科目、選択Ⅲは経済系科目は上手く授業でやったことを使えることができます。ですので公共政策大学院での学習内容が公務員試験に重なることで、大学院で得た知識が試験対策にも活かせるという利点があります。
また政策分析や行政学に関する深い理解は、試験の専門科目での有利な要素となります。また、大学院でのケーススタディや演習を通じて培った実践的な問題解決能力は、試験の論述問題や面接においても有用です。
授業以外での対策は必須
しかし、カリキュラムと試験の内容が重複しているとはいえ、それが全ての試験範囲をカバーするわけではありません。
授業での単位は公務員試験のために作られているわけではないので、しっかりとした公務員試験のための勉強を傾向を取られてしていく必要があります。
ただ、他の研究科での忙しさに比べると落ち着いて勉強できる時間が公共政策大学院ではある方なので対策もできやすいです。
総じて、公共政策大学院のカリキュラムは、公務員試験対策に有益な部分が多く含まれているものの、試験のためには追加の学習や最新情報の把握が不可欠です。そのため、大学院での学びを試験対策の基礎として活用しつつ、試験独自の対策を組み合わせることが求められます。
公務員試験以外の可能性も
最後に、公務員試験をひとまずは念頭に置いて公共政策大学院に入られた方でも、その後のキャリアを変更や、周りに触発され、民間であったり、国連などを目指す方もこれまで見てきているので、公務員試験を考えられている人でも、是非公共政策大学院に入ってから他の可能性も一度は見てみると良いでしょう。
その上でもし公務員試験と決めたのなら、試験準備には個々の努力が不可欠であり、大学院での学びと試験対策をどうバランスよく進めていきましょう。