【行動経済学】大学(学部)ランキング(国内の難易度、偏差値)学べるところ国公立/私立

行動経済学は、心理学経済学を組み合わせ、人間の意思決定プロセスをより現実的に理解しようとする分野です。従来の経済学(古典経済学)が「人は合理的に行動し、自らの利益を最大化する」と仮定するのに対し、行動経済学は感情やバイアス、社会的影響が意思決定に与える影響を重視します。

 

従来の経済学との主な違い

  • 合理性と限定合理性
    古典経済学では、人々が常に完全な情報を持ち、合理的な判断を行うと考えます。一方、行動経済学は、人々が不完全な情報に基づいて判断すること(限定合理性)を前提としています。
  • 一貫した非合理的な行動
    人は時に非合理的な行動を取りますが、これには一貫性があり、特定の状況では予測可能です。例えば、プロスペクト理論では、損失を避けるために人は同等の利益を過小評価する傾向(損失回避)があるとされています。
  • 心理的および社会的要因の重視
    行動経済学では、選択が感情や社会的規範に左右されることが強調されます。たとえば、独裁者ゲームでは、他者への配分が個人的利益を超えることがあり、これは伝統的な経済理論では説明が困難です。
  • 選択の提示方法とナッジ理論
    選択肢の提示方法(フレーミング)が結果に影響することも重要な要素です。例えば、保険のプランを「成功率80%」と提示するか、「失敗率20%」と提示するかで選択が変わることがあります。また、ナッジ理論では、特定の選択を無意識に促す仕組みが注目されています。

 

行動経済学は、現実の人間の非合理的な側面を考慮することで、より実践的な経済モデルを提供します。これにより、政策立案者は効果的な「ナッジ」を用いて、社会にとって望ましい行動を促進することが可能になります。

このように、従来の経済学と行動経済学は互いに補完し合い、社会の複雑な経済現象を理解するための重要な視点を提供します。

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行動経済学の発展の歴史

行動経済学の起源は、18世紀の経済学者アダム・スミスにまで遡ります。スミスは『道徳感情論』で、人々の経済的な意思決定が感情や社会的影響によって左右されることを指摘しました。しかし、この考え方はその後、20世紀中頃まで主流の経済学にはあまり影響を与えませんでした。

1950年代に、ハーバート・サイモンが「限定合理性」という概念を提唱し、経済行動における人間の認知的な限界に注目しました。この研究は、従来の経済学が仮定する完全な合理性を疑問視する重要な一歩となりました【25】。

行動経済学が本格的に確立されたのは、1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トヴェルスキーが「プロスペクト理論」を発表したときです。この理論では、損失回避の傾向が強く、同じ価値の利益よりも損失を大きく感じることを示しました。この研究は、後の行動経済学の基礎となり、2002年にカーネマンはノーベル経済学賞を受賞しました。

その後、リチャード・セイラーが「ナッジ理論」を提唱し、個人の選択を無意識に促す政策や介入が注目されました。彼の研究は、2017年のノーベル経済学賞を受賞するほど評価され、政府や企業が人々の意思決定を支援するための「ナッジ・ユニット」を設置する動きも見られるようになりました。

さらに、行動経済学は近年、金融市場にも応用され、「行動ファイナンス」という新しい分野が誕生しました。この分野では、投資家の非合理的な行動が市場に与える影響を解明し、バブルや市場の過剰反応を説明する理論が発展しています。

このように、行動経済学は経済学の枠組みを拡張し、心理学や社会学との学際的な融合を通じて、人間の意思決定の複雑さを解明する重要な分野として進化を続けています。

 

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大学での行動経済学の学び方

  • ミクロ経済学の基礎を理解する

行動経済学は、従来の経済学(特にミクロ経済学)の理論を基盤に、それを心理学的な視点で補完する学問です。そのため、ミクロ経済学の理論と分析手法を理解することが最初のステップになります。労働経済学や公共経済学といった関連分野の基礎も身につけておくと、行動経済学をより深く理解する助けとなります。

  • 心理学や公共政策や他分野経済学との関連

行動経済学は心理学の要素を取り入れているため、心理学の基礎的な理解も重要です。多くの経済学部では、単独では心理学というのを教養課程であるかもしれませんが、行動経済学という講義があれば、その中でどのあたりが心理学パートなのかを説明してくれるので、そのあたりは心理学を行動経済学前にさほど理解していなくても大丈夫です。大学では、その他マーケティング、公共政策と組み合わせた授業が提供され、実践的な研究を重視し、行動経済学を専門的に学べるカリキュラムもあります。

  • 数学的スキルの向上

行動経済学では、ある程度進むと、実験設計やデータ分析に数学的な知識が必要です。経済学部では経済数学を重視したプログラムが提供されていますので、それも並行して学んでいくことが必要です。

 

 

日本の大学の行動経済学(ランキング一覧)

行動経済学は幅広い大学や研究機関で学ぶことができ、多くの場所で基礎から応用まで体系的に学べる環境が整っています。また、多くの学部や大学には必ず一人は行動経済学の専門家が在籍しているかと思います。

大阪大学などでは行動経済学研究センターなど学部とは違う拠点を持っていたり、行動経済学の教員も多いですが、ある程度の大学でしたら同様の行動経済学の学問はできるので基本的には研究、教育が良いところでは行動経済学を学べると思ってもらって大丈夫です。

 

1 東京大学 経済学部
2 大阪大学 経済学部
3 一橋大学 経済学部
4 京都大学 経済学部
5 神戸大学 経済学部
6 慶應義塾大学 経済学部
7 早稲田大学 経済学部
8 東北大学 経済学部
9 名古屋大学 経済学部
10 北海道大学 経済学部

 

 

上記では、東大でも経済学部で行動経済学の先生は多いと言えませんが、その他分野の先生も行動経済学のち知見を使った研究を多くしており、単にメインの選考が行動経済学となっている先生以外でも行動経済学を学ぶことができます。例えばゼミで開発経済学寄りでのゼミでも行動経済学の箇所を取り入れたいときなど、そこで行動経済学の分野を学ぶことも可能です。なので上記は決して偏差値ではなく、総合的な学ぶ環境があると考えてもらえればと思います。

 

 

 

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以下では行動経済学の専門の先生方を紹介します。

一部での紹介ですので、各大学の教員のHPに実際行ってみてどのようなことをやられているか確認してみましょう。

 

東京大学

 

阿部 誠(あべ まこと)

  • 専門分野:マーケティング・サイエンス、消費者行動、行動経済学
  • 主な研究テーマ
    • 個人レベルの購買行動モデルの構築と分析
    • ベイズ統計手法による顧客行動のパラメータ推定
    • マルチエージェント・シミュレーションによる戦略の検証
    • CRM(顧客関係管理)やワン・トゥー・ワン・マーケティングへの応用

萱場 豊(かやば ゆたか)

  • 専門分野:行動経済学、行動ファイナンス、実験経済学、応用計量経済学
  • 主な研究テーマ
    • ネットワークにおける分配に関する実験的研究
    • オークションにおける行動経済学的研究
    • 内発的動機付けに関する実証研究
    • 繰り返しゲームにおける戦略分析
    • 生理学的データを用いた意思決定モデルの推定

元木 康介(もとき こうすけ)

  • 専門分野:消費者心理学、消費者行動論、食行動科学、感覚マーケティング、応用心理学
  • 主な研究テーマ
    • 多感覚知覚とクロスモーダル対応の研究
    • 食行動と購買行動の分析
    • ブランドネームの効果と音象徴に関する研究
    • アイトラッキングやfMRIを用いた消費者行動の神経科学的分析
    • サステナビリティと健康増進を目的とした広告とプロダクトデザイン

 

 

一橋大学

竹内 幹(たけうち かん)

  • 専門分野:実験経済学、行動経済学
  • 主な研究テーマ
    • 時間選好に関する経済実験:利得の遅延がリスクとして認識される状況下での意思決定
    • アイトラッキングを用いた意思決定過程の研究:視線と意思決定の相互関係の分析

井伊 雅子(いい まさこ)

  • 専門分野:医療経済学、政策経済学
  • 主な研究テーマ
    • 不確実性下の医療と合理的意思決定の分析
    • 保健医療制度における質と財政の両立
    • ヘルスリテラシーの向上と情報提供のあり方
    • 医療費統計の国際比較

會田 剛史(あいだ たけし)

  • 専門分野:開発経済学、行動経済学、アジア経済
  • 主な研究テーマ
    • 農村コミュニティのリスクシェアリングと資源管理
    • 開発政策のインパクト評価
    • 途上国における技術移転と契約農業の研究

毛 柏林(もう はくりん)

  • 専門分野:応用計量経済学、行動ファイナンス
  • 主な研究テーマ
    • 因果関係の発見に向けた統計・計量経済学および機械学習の応用
    • 金融市場における個人の意思決定の理解

中村 良太(なかむら りょうた)

  • 専門分野:医療経済学、健康政策
  • 主な研究テーマ
    • 保健財政:医療保障システムの構築と評価、Sin taxによる財源調達
    • 健康行動と予防:ナッジ・ブーストを用いた健康行動の変容とその効果分析
    • 国際的な健康の不平等と社会的決定要因の研究

 

京都大学

依田 高典(いだ たかのり)

  • 専門分野:応用経済学
  • 主な研究テーマ
    • 行動経済学における限定合理性の研究
    • フィールド実験を用いた経済仮説の検証
    • 経済学と機械学習の融合研究

若井 克俊(わかい かつとし)

  • 専門分野:ミクロ経済理論、行動ファイナンス
  • 主な研究テーマ
    • 個人の意思決定とその理論的分析
    • 行動ファイナンスによる資産価格の分析
    • 期待形成過程と意思決定への影響

 

 

大阪大学

今井 泰佑(いまい たいすけ)

  • 専門分野:ミクロ経済学、行動・実験経済学、メタサイエンス
  • 主な研究テーマ
    • 社会科学研究の透明性と再現性
    • メタアナリシスによる実証・実験経済学のエビデンス統合

大竹 文雄(おおたけ ふみお)

  • 専門分野:行動経済学、労働経済学
  • 主な研究テーマ
    • 社会的・経済的影響の調査研究プロジェクト
    • COVID-19感染防御行動に関する経済学的研究
    • ワクチン接種意思額へのナッジ効果の分析
    • 行動経済学の政策応用(医療、防災、防犯、労働、教育)

花木 伸行(はなき のぶゆき)

  • 専門分野:実験・行動経済学
  • 主な研究テーマ
    • 限定合理的な行動のマクロ経済学的含意
    • 決定権・参加の本源的価値の測定
    • フューチャーデザインによる持続可能な社会構築

室岡 健志(むろおか たけし)

  • 専門分野:行動経済学、産業組織論、ミクロ経済理論
  • 主な研究テーマ
    • 企業の価格付け戦略を分析する産業組織論
    • 消費者保護政策と市場における情報提供の分析
    • 「競争的媒介における欺瞞」の研究(企業の情報戦略)

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