社会人の公共政策大学院入学
公共政策大学院が専門職大学院であり他の大学院の研究科とは相違もあるので、公共政策大学院では社会人の入学が他の大学院修士過程より比率が多いです。
また学部時に公共政策関連の分野でなくても合格が可能でもあります。また、バックグラウンドの多様性もかなりあります。
これまで様々なバックグラウンドをもった合格者を見てきましたが、どの分野の職歴が受かりやすいというのもあまりないように感じます。もちろん公務関係をやって来られた方が多いのはありますが、やはりそれまでやってきたこと、入学してどうしたいのか、卒業後はどうしたいのかを一貫させることが必要です。
公共政策大学院の社会人入学者のバックグラウンド
それではどのようなバックグラウンドの方が社会人学生として公共政策大学院で学んでおられるのかを見てみましょう。
東京大学公共政策大学院でのニュースレターには、学生インタビューとして在校生が紹介されております。ここではそのニュースレターに出ている方で社会人入学の方を中心に、参考までに一部を見てみましょう。東京大学公共政策大学院のHPでは他の方も紹介されているので是非見てみましょう。
号 | No. | 名前 | コース | 経歴 |
69 | 38 | E.Y. | 公共管理コース | ・大学卒業Google Japan、で中小企業向けの広告コンサルや検索 ・分析の仕事 ・1年半ほどで退職し、会社を立ち上げました ・選挙関連のライター |
67 | 37 | J.H. | MPP/IP | ・北京大学でダブルディグリーを予定しているキャンパスアジア1年生 ・高校卒業後すぐに中国政府の奨学金を得て、復旦大学国際経済貿易学院で中国語を学び ・オランダのロッテルダムでアジアに特化した貿易管理を学び、2019年には交換留学生として日本へ ・香港で6ヶ月のインターンシップを経験 |
65 | 37 | H.I. | 国際公共政策コース | ・学生自治会のメンバー ・留学は、東アジア三カ国の国際政治に対する見方の違いをより深く知りたいと考え、Campus Asiaプログラムに参加 |
63 | 36 | (T.N.) I. | 国際公共政策コース | ・2000年にはNPO法人東京インターナショナルプログレッシブスクールを設立 ・学校法人とNPOの理事長 ・会社の代表取締役 |
61 | 35 | M.U. | 国際公共政策コース | ・日本経済新聞社で記者の仕事を20年ほど ・取材で養われるのとは違った種類の考え方や分析力を養いたいと考えていた |
59 | 34 | I.U. | 公共管理コース | ・今、新時代戦略研究所(INES)というシンクタンクで理事長を務めており ・製薬系のグローバル企業に38年間勤める ・1年目は経済政策コースを専攻しましたが、2年目は少し幅広に勉強したくて公共管理コースに変更 |
57 | 33 | V.C. | MPP/IP | ・フィリピンの大学を卒業後、エネルギー関連の民間企業で1年、経済系の官庁で2年働いた後、2018年8月に日本に来ました ・学外ではフィリピン人留学生で構成されている在日フィリピン留学生協会(Association of Filipino Students in Japan)に所属 ・ASEAN Youth Networkでも活動 |
56 | 32 | K.Y. | 博士後期課程 | ・東大の修士を卒業して外務省に入省 ・2年間の米国留学後、在米日本国大使館で勤務し、そこで4年間勤めてから日本に帰国 ・霞が関の本省に勤めながら昨年4月博士課程に入学 ・ものすごく悩んだ末、10年勤めた節目に決断して、今年5月末に退職 |
55 | 31 | C.S. | 経済政策コース | ・両親が留学を勧めてくれて、高校3年生の時に文科省のプログラムに挑戦 ・予備教育として1年間東京外語大学で日本語を学んだ後、東京大学の経済学部に入学 |
54 | 30 | Z.B. | 博士課程 | ・ウズベキスタンから2012年に日本に来ました名古屋に6年間 ・4年間名古屋大学法学部で勉強して、その後、大学院 ・卒論でウズベキスタンの政治をテーマに選び、修士では2年間カザフスタンの政治と石油の問題について研究 ・今はカザフスタンとロシアについて勉強していて、今後はまたウズベキスタンの政治を研究したい |
53 | 29 | G.N. | MPP/IP | ・学生自治会長 ・大学3年生の時にはアメリカの大学に留学 ・2019年2月から中国に留学 |
52 | 28 | Y.N. | 国際公共政策コース | ・大学院では農学生命科学研究科に進学 ・自治会や課外活動として大使館ボランティアの活動 ・この4月から社会人として働いている、今の農林水産業関連の仕事 |
51 | 27 | K.F. | 国際公共政策コース | ・1年生の時に学生自治会に入った ・最初に参加したのはLKY Japan Study Trip(ジャパンスタディトリップ)というプログラム ・11月にはベトナムで行われたAPECのユース会議にも参加 ・特に印象深いのは、去年から東大で始まったフィールドスタディ型政策協働プログラムで行った青森 |
50 | 26 | Y.Y. | MPP/IP | ・上智大学外国語学部フランス語学科 自分がやりたいことをやろう!と、退学 ・9月にはポーランドに渡り、クラクフにあるポーランド最古の大学、ヤゲヴォ大学を卒業</ td> |
49 | 25 | H.M. | 国際公共政策コース | ・海上自衛隊に所属しています。これまでは主に航空部隊で勤務してきました ・当初パイロットを目指していたが、最終的にはP-3C哨戒機の戦術航空士(TACO)となりました |
47 | 24 | T.T. | 法政策コース | ・勉強よりも部活に打ち込んだ2年間というのが正直なところ ・4月から入社するSGホールディングスも陸上部が強い組織です。陸上とは一生縁が続くのかもしれません |
45 | 23 | T.K. | 国際公共政策コース | ・神戸大学法学部に進学 ・交換留学で1年間オランダのライデン大学で学びました ・国際NGOであるセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンで、神戸大学時代にはアルバイト(大阪事務所)で働く |
44 | 22 | H.N. | 法政策コース | ・総務省で働いており、情報通信分野の仕事の担当 ・人事院の国内研究員制度で派遣という形をとっています |
42 | 21 | N.K. | 公共管理コース | ・ハーヴァード大学で第二言語習得と国際教育を学んで修士号を取得 ・横浜市議会議員 ・2011年4月に入学しました。1年半休学したこともあり、普通より長めの学生生活 ・入学したのは国際公共政策コースですが、公共管理コースに移る |
41 | 20 | A.F. | 法政策コース | ・公務員志望で、一般職(II種)で今の職場に入った ・大学卒業後10年以上経ってから大学院入学 ・国土交通省に出向 |
38 | 19 | Y.S. | 経済政策コース | ・上智大学経済学部に入学 ・大学3年前半までは読売新聞の奨学生 ・就職はベネッセ |
37 | 18 | N.M. | 経済政策コース | ・早稲田大学創造理工学部建築学科出身 ・中学2年のとき、アメリカ・ミシガン州の小さな町に2週間ホームステイ ・今のところ就職先はシンクタンクやコンサルティング会社も考えています |
公共政策大学院の出身学部は?
これについても、公共政策大学院の出身学部は?入りやすい学部があるのか?と言われれば答えは学部は関係ありません。政策関連の学部、また近しい社会科学の経済学部、法学部、政治学部などでなくても大丈夫です。
これまでした経験の多様性
上記で見てみたように社会人経験がある方はそれまでで様々な経験をしており、その分野も様々です。公共政策だから、何かそれに近いことをしておけば良いということではなく、あまり直接的には関係のない分野で経験をされてきた人でも合格をされています。
ですので、社会人経験をされている方はその経験をポジティブに添え、計画書や志望書を書いてみましょう。もちろん公共政策との繋がりを意識しながら計画書や志望書を書くのが良いですが、無理に繋がらないところは無理はせず、今後の学業や、卒業後で何故公共政策を?というのをしっかり添えられれば良いです。
学生や、社会人経験が短い方
学生や、社会人経験が1年を満たないで出願される方もいるかもしれません。その際は企業インターンや、その他非営利分野(国連やNGO等)などがありましたらそれをアピールポイントで書いてみましょう。また職歴はそれ以上伸ばすということはできないので、ある程度リサーチにも力も入れてみましょう。我々の携わった学生さんでも例えば東大経済学研究科と東大公共政策大学院を職務経験なしでも受かられた方もいます。
公共政策大学院では、募集人数で割合などは非公開ではありますが、必ず学生と社会人経験がある方両方取っています。公共政策大学院は先程もお伝えした通り、専門職大学院ですので、リサーチの比重は低いにしてもある程度求められます。
リサーチトピックに関してはある程度のworking paperを書いてみたり、大学/研究関連ポジションのリサーチ・アシスタントなどをしてみるのが良いかと思います。
Front Labでもこの辺りはプログラムで行えることもありますのでお気軽にお問い合わせ下さい。