ケネディスクールの概要
ハーバード大学ケネディスクール(Harvard Kennedy School, HKS)は、公共政策と公共行政の分野で世界的に高い評価を受ける教育機関です。1936年に設立され、公共政策、公共管理、国際開発などの分野でリーダーを育成しています。ケネディスクールは、政策立案者、学者、実務家が集い、公共政策の革新と実践に取り組む場として知られています。
ケネディスクールは、公共政策の研究と教育において重要な役割を果たしています。その研究センターやプログラムは、メディア、政治、公共政策の交差点を探求するショーレンスタイン・センター(Shorenstein Center on Media, Politics and Public Policy)や、民主的ガバナンスとイノベーションを推進するアッシュ・センター(Ash Center for Democratic Governance and Innovation)など、多岐にわたります。これらのセンターは、政策立案者や研究者にとって貴重なリソースとなっています。
ケネディスクールの卒業生は、政府、非営利組織、国際機関、民間セクターなど、さまざまな分野でリーダーシップを発揮しています。その影響力は、公共政策の形成と実施において世界的に認識されています。
入学の難易度:選考基準と要件
公共政策修士課程(Master in Public Policy, MPP)
- 学歴:学士号が必要で、強い学業成績が求められます。
- 定量的スキル:経済学、統計学、または微積分など、学部レベルでの定量的科目の成績が重視されます。
- 職務経験:推奨ですが必須ではありません。入学者の平均職務経験は2~3年です。
- 標準テスト:GREまたはGMATのスコアが必要ですが、関連する科目の優れた成績があれば免除されることもあります。
国際開発の公共行政修士課程(Master in Public Administration in International Development, MPA/ID)
- 学歴:経済学と数学で優れた成績が求められます。
- 必修科目:マイクロ経済学、マクロ経済学、および多変数微積分の大学レベルのコースを少なくとも1つ修了していること。
- 職務経験:推奨ですが必須ではありません。多くの合格者は2年以上の開発分野での職務経験を持っています。
- 標準テスト:GREまたはGMATのスコアが必要です。
公共行政修士課程(Master in Public Administration, MPA)
- 学歴:学士号が必要で、強い学業成績が求められます。
- 職務経験:最低3年の職務経験が必要です。
- 大学院レベルの科目:MPPプログラムの基礎カリキュラムに相当する4科目、うち2科目は定量的な内容であることが求められます。
- 標準テスト:GREまたはGMATのスコアが必要ですが、関連科目で優れた成績がある場合は免除されることもあります。
中堅キャリア向け公共行政修士課程(Mid-Career Master in Public Administration, MC/MPA)
- 学歴:学士号が必要です。
- 職務経験:7年以上の職務経験が必須で、入学年度の6月30日までに満たす必要があります。
- 標準テスト:GREまたはGMATのスコアは不要ですが、提出することも可能です。
全プログラム共通の追加要件
- エッセイ:リーダーシップ経験やキャリア目標、公共サービスへのコミットメントに関するエッセイを複数提出する必要があります。
- 推薦状:通常、3通の推薦状が必要で、学業や職務での実績を証明できる人物からのものが望ましいです。
- 英語力:非英語圏出身の志願者は、TOEFL、IELTS、またはケンブリッジ英語テストのスコアを提出する必要がありますが、英語で行われた学士課程を修了していれば免除されることもあります。
合格者のプロフィール,年齢層
ハーバード大学ケネディスクール(HKS)の合格者は、多様な職業的背景、年齢層、国籍を持つことが特徴です。各プログラムの典型的な合格者プロフィールは以下のとおりです。
公共政策修士課程(Master in Public Policy, MPP)
- 職務経験:必須ではありませんが、平均して約3年の職務経験を持つ学生が多いです。
- 年齢層:入学時の年齢は20代半ばから後半が中心です。
- バックグラウンド:政府機関、非営利団体、国際機関、民間セクターなど、幅広い分野からの出身者がいます。
国際開発の公共行政修士課程(Master in Public Administration in International Development, MPA/ID)
- 職務経験:通常、国際開発分野で約5年の関連経験がある学生が多いです。
- 年齢層:20代後半から30代前半が多く見られます。
- バックグラウンド:開発援助機関、NGO、国際金融機関などでの経験を持つ人が多いです。
公共行政修士課程(Master in Public Administration, MPA)
- 職務経験:最低3年の職務経験が必要です。
- 年齢層:主に20代後半から30代前半です。
- バックグラウンド:公共サービス、コンサルティング、リーダーシップのポジションなど、多岐にわたります。
中堅キャリア向け公共行政修士課程(Mid-Career Master in Public Administration, MC/MPA)
- 職務経験:少なくとも7年以上の豊富な職務経験が必要です。
- 年齢層:30代半ばから40代前半が中心です。
- バックグラウンド:政府機関、軍、非営利団体、民間セクターなど、豊富な経験を持つプロフェッショナルが多いです。
国際的な学生の割合 ケネディスクールには多くの留学生が在籍しており、MPPプログラムでは約18%が海外からの学生です。さまざまな国籍と多様な視点を持つ学生が集まっており、国際的な視野が広がる環境が整っています。
学問的な背景 経済学、政治学、法学、工学、人文学など、多様な学問分野からの学生が集まっており、公共政策と公共行政の学際的な性質を反映しています。
このような多様性が学習環境を豊かにし、グローバルな公共政策の課題に対する包括的な理解を深めることに貢献しています。
ハーバード大学ケネディスクール(HKS)について、入学に関するデータと合格率について以下の情報がわかります:
総人数:HKSは800〜1000人の学生が合計で学んでいます。公共政策修士課程(MPP)、国際開発の公共行政修士課程(MPA/ID)、公共行政修士課程(MPA)、および中堅キャリア向け公共行政修士課程(MC/MPA)の学生数を合わせたものです。
各プログラムの平均的なクラス規模(5年間の平均)は次の通りです。
- MPP:約250人
- MPA/ID:約80人
- MPA:85人
- MC/MPA:220人
合格率:HKSの合格率は約10~20%とされており、非常に競争が激しいです。HKSの選考は、優れた学業成績だけでなく、リーダーシップの潜在能力、公共サービスへのコミットメント、専門的な経験など多方面から評価されるため、総合的な審査が行われます。