問題1(IS-LMモデル) – 経済学の数学入門(経済数学)

ある国の経済が、以下の式で示されるとき、均衡国民所得はいくらになりますか。

\( Y = C + I + G \)
\( C = 52 + 0.6(Y – T) \) (ここで \( T = 20 \))
\( I = 80 – 12r \)
\( L = 120 + 0.5Y – 10r \)
\( \frac{M}{P} = 175 \), \( G = 20 \), \( T = 20 \)

 

 

 

 

 

 

 

この条件の下で、財市場と貨幣市場の均衡を解析し、均衡国民所得と利子率を求める問題です。

この問題を解くためには、まず財市場と貨幣市場の均衡条件を設定し、それを元に方程式を解いていきます。以下の手順に従って問題を解いていきましょう。

 

 

 

1. 財市場の均衡
財市場の均衡条件は総支出が総生産 \(Y\) に等しい状態です。したがって、与えられた方程式より、

\[ Y = C + I + G \]

ここで、消費関数 \(C\)、投資関数 \(I\)、政府支出 \(G\) および税 \(T\) が与えられています。これらを具体的に代入してみましょう。

\[ C = 52 + 0.6(Y – 20) \] \[ I = 80 – 12r \] \[ G = 20 \]

これらを代入すると、

\[ Y = (52 + 0.6(Y – 20)) + (80 – 12r) + 20 \]

 

 

 

 

2. 貨幣市場の均衡
貨幣市場の均衡条件は、貨幣需要 \(L\) が名目貨幣供給量 \(M/P\) に等しい状態です。ここでは、

\[ L = 120 + 0.5Y – 10r \] \[ \frac{M}{P} = 175 \]

貨幣市場の均衡条件は、

\[ 120 + 0.5Y – 10r = 175 \]

 

 

 

 

 

3. 方程式の解
これらの方程式を使って、国民所得 \(Y\) と利子率 \(r\) を同時に解く必要があります。これらの方程式を整理してから解きます。

まず、消費 \(C\) と投資 \(I\) を総生産 \(Y\) の式に代入して整理します。

\[ Y = 52 + 0.6(Y – 20) + 80 – 12r + 20 \] \[ Y = 152 + 0.6Y – 12 – 12r \] \[ 0.4Y = 140 – 12r \] \[ Y = 350 – 30r \]

次に、貨幣市場の均衡式を利用して \(r\) を求めます。

\[ 120 + 0.5(350 – 30r) – 10r = 175 \] \[ 120 + 175 – 15r – 10r = 175 \] \[ 295 – 25r = 175 \] \[ 25r = 120 \] \[ r = 4.8 \]

得られた利子率 \(r = 4.8\) を国民所得の式に代入して \(Y\) を求めます。

\[ Y = 350 – 30 \times 4.8 \] \[ Y = 350 – 144 \] \[ Y = 206 \]

したがって、均衡国民所得 \(Y\) は 206、利子率 \(r\) は 4.8% と求められます。